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3月の短歌

限定のパフェをほおばるあなたのその笑顔はわたし限定


不器用なあなたが焼いたパンケーキ ムラだらけの焦げ目も愛しい


新品の消しゴムの角削るとき心のなかでごめんって言う


この春は君は隣にいないけど桜は綺麗に咲いているよ


コンビニで桜餅買う君はちゃんと女の子していて可愛いね
(3/3の短歌)


ルミネのキャッチコピーほどわたしたち単純じゃないよと笑い合う


スーパーの特売品のカルピスの瓶を眺めて夏を迎える


目薬をさしてぼやけたその間だけ君のことまっすぐ見れる


新宿駅前で待つ人たちは誰も待ってないような顔で


あなたさえこの世界にいなければ簡単に嫌いになれたのに


笑ってよお願いだから君だけは僕の最期に華を添えてよ


食パンをトーストせずに食べるきみは優しさを頬張っている


ストーブをしまう前日 愛猫とまるくなってる君はかわいい


本棚の隙間に本をさしこんで僕の心の隙間も埋まる


青空に向かって指をさすあなた なにもないけど良い日の予感


忘れないんじゃなくって思いだすまで無かったことにしてたいの


ねぇあの日なにしてたってきいてくる一年前も一年後も(3.11の短歌)


路地裏で野良猫たちが話してるこの世の終わりがいつなのかを


お豆腐を手のひらのせて包丁で切り分けていく君に恋した


好き嫌いっていうか君のことなんか見てなかったよ自惚れるな


新作のフラペチーノを頼んでる呪文みたいで舌がたのしい


世界平和を祈るふりして今日もこの世の終わり願ってみたり


花束を抱えて電車乗りたくて知らない駅で降りた祝日


めざましの占いでキミ最下位できっともうすぐLINE通知が


なまぬるいココアを混ぜる混ざりきらない君への気持ち


死にたいと告白しあう喫茶店で次のデートの予定をたてる


あなたの鼓動ききながら眠りたいそのまま目覚めなくてもいいな


雲ひとつない青空に眼を凝らし天国の入口探してる


あのふたり噛み合ってないんだけどいつも笑ってて幸せそう


何処からか流れてきたシャボン玉を追いかけて迷子になりたい


風に舞う桜と共に消えちゃえるほどわたしたち綺麗じゃないわ


綿飴を丁寧にちぎる指先で野良猫たちをなでているキミ


お互いに最後のクッキー譲ってる無言で紅茶かきまぜながら

3月は寒さと暖かさの中間にいて、感情もぐにゃぐにゃといったりきたりが激しくなります、春のにおいは嫌いではないけれど、新しいことが始まってしまう、始めなければいけない気持ちになるから好きにはなれない、包み込まれるような、すこし肌にまとわりつく風がたまに怖くて、冬の寒さの孤独感が恋しくなります、近所の桜が満開になって、散った後のことを考えてしまっているのは大人になってしまったからだろうか、4月、はやく花粉症がおさまって、会いたい人と公園の芝生でごろごろしたい

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。