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4月の短歌

自販機で迷った挙げ句綾鷹の冷たいの買う春が来ました


わたしたちパスタもうどんも啜るからいっそ一緒に暮らしませんか


いつまでも君と一緒にいたいから今年は梅酒をつくりませんか


靴擦れを我慢しながらきみの待つ一番線へかけあがってく


インスタの投稿全部削除して迎える社会人一年目


風邪のとき君が作ってくれるうどんで知った愛情の柔らかさ


君が焼くお砂糖入りのたまごやきの匂いで朝を迎えたい


ポテサラに刻んだ林檎当たり前に加える君がずっと好きです


珈琲にミルクを注ぐ瞬間がすきで淹れるきみのぶんだけ


留守電のあなたの声は偽物とわかっていても繰り返し聴く


お豆腐に薬味をのせず食べるきみは優しさに飢えているんだね


クリームソーダのアイスとソーダの境目みたいな関係


必要な時だけ入れる珈琲のミルクのような君の存在


おがくずの匂いをかいであの夏のカブトムシの気持ちとシンクロ


死神の鎌を綺麗に研ぎながら また今度にしない?と囁く


すこしだけ力んで肉を切り分ける罪はないが唐揚げにする


ボールペンカチカチ鳴らす つまらないギャグばかり言う上司を爆破


マフラーを綺麗に首に巻く人はきっと首吊り自殺はしない


通学できみとイヤホン分け合っていたいからAirPodsは捨てた


公園で蟻の行列眺めてるあの子はきっと新人天使


朝日よりヨーグルトの蓋の裏 銀色眩しくて目が覚める


寂しさを飼ってる人はいつだって困ったように優しく笑う


どうしたの と訊いてくるけど本当は全部知ってるきみはずるいよ


あまりにも安らかな顔してるから呼吸確かめるきみの寝顔


まだ僕を見つけていない駅前でひとりぼっちのきみはカワイイ


流行ってるからあなたに57577で愛を告白します


#(ハッシュタグ)短歌に溢れる俵万智さんしか知らない女子の短歌


孤独な君は美しい永遠に誰も愛さないでくださいね


遠慮して煙草ベランダで吸うキミの横顔見たくてでるベランダ


きみが吸うタバコの煙吸い込んできみと同じだけ寿命縮める


放課後にひとり教室残るきみ明日の世界を整えている


虫たちをいくら殺しても裁かれず今年の夏も蚊を殺します


丁寧に桃の産毛を撫でているあなたはきっと前世は天使


明日はくると信じているから今日はなにもしないで猫と遊ぶ日

毎年、桜の花を見る時間が短くなっている気がする、咲き始めたなとおもったら満開、つぎに意識するときは散り始めている、自転車で桜並木の坂道を下るとコートに花弁が紛れ込んでいて春を感じました、散るから美しい、死ぬから美しい、終わりあるものの美しさには敵わないな、美しく死にたいとおもっているとき、まだわたしたちは死に呼ばれていないから、しんどくても生きている、それでも何処かのあなたが笑っている明日を信じています

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。