見出し画像

10月の短歌

読むのはわたしだけだから許される単行本の帯を栞に
靴下で隠れてしまうペディキュアは君だけが知る秘密の印
音姫で消してしまえば大丈夫 この恋だってなかったことに
マグカップなみなみ注ぐ珈琲とひとりで過ごす あなたは留守で
どんぐりを辿っていくと見えてくる丘のベンチで読書するきみ
死にたいとツイートのたび確実にわたしのなにかぷちっと弾け
死んでいる野良猫みつけ立ち止まるわたしじゃなくてごめんほんとに
真夏日に叩き潰して腕の蚊を 殺意を秋に持ち越さぬよう
警察密着番組 一昨日に君と歩いた路地が現場で
天国とBluetoothで繋いだら 君の鼻歌 讃美歌みたい
君にマニキュアを塗るときすこしだけ濃くなるわたしの独占欲
スーパーでおつとめ品を買う僕を照らすきれかけの蛍光灯
もういっそ溶かしてほしいわたしごとリップクリーム溶かす唇

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。