6月の短歌
電線が街からすべて消えたとき空が途端につまらなくなった
金平糖かじるたびに一等星手に入れた気になった真夜中
野良猫を追いかけ迷う路地裏で君と出会った真夏の昼間
人混みは好きじゃないからこの夏も花火をベランダでひとりじめ
履歴書に書き連ねてるもうひとりの自分が生まれる不気味さ
地下鉄が地上にでてく瞬間がなぜだかすごく安心できた
離れてるほうが愛せる星空も君の寝顔も知らなくていい
真っ白なアイスがソーダに溶けるまで君を待つ夏の喫茶店
レイコーのグラス汗かく君はまだ新宿地下で迷ってますか
気の抜けた三ツ矢サイダーみたいな夏だったよ君がいないと
きみのこと三割増しでかわいく見えているから風邪ひいたかも
きみじゃなく尾崎豊がうたうから泣けてくるんだうたわないでよ
その涙で湖つくりふたりきりのんびりボート漕ごうじゃないか
駅で人を待ってる足元の逃げない鳩に名をつけてやる
死ぬときは祖母の家で飼っていた柴犬だけをおもいだしたい
作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。