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二年目

121
2020年の詩まとめ
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#毎日note

おはよう

寝ること、怖くなくなったのは君が眩しい朝日と共にわたしの寝顔見ていること、知ったから、うっすらと目を開けて幻かと手を伸ばす、あたたかい
おはよう、目覚ましは心地良い君の声、窓の外で囀ずる小鳥より身に染みた
今夜もわたしは深い闇に包まれて、君を待つ
眠っているあいだに世界がわたしを置いていってしまう夜は昔のこと

目覚めること、怖くなくなったのは君が夜に安心しきっていたから、夜の一部に深く沈んだ冷た

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酔って

なんにも残そうとしない唯一の梅酒は形見にもらうね

自分の物を残さない人間の漬けた梅酒をのんで君を思い出す月命日。あと何回夢に現れてくれますか。唯一君と共有できたこの味は誰にも伝えることなく最後の一滴まで僕のもの。
これで本当になにもなくなったよ。さようなら。

青くて

アルコールランプの炎を消すこと、なにがそんなに怖かったのかわからないな、
線香花火の死骸をバケツに浸ける

「基本いい人」じゃない人がいるなんて本気で思って生きているの
無条件の優しさは時に相手を殺すんだ
いいとかわるいとか、皮を一枚剥いでしまえば一緒だよ

ひかり

僕のために泣いてくれたとき
初めて君のこと、わかった気がしたよ
なにも教えてくれないじゃないか、その程度の間柄だったんだね、うそ、
傷つくことが、傷つけてしまうかもしれないって
全て僕の我が儘だったんだ
最期に、君のぬくもり感じながら
闇に沈ませて

すきになった人がわたしのことをすきになってくれたら良いのに、確信犯ね
すきだと言ってくれた人をすきになれたらわたしはわたしを愛せるでしょうか

ト”

ワンニャン時空伝はぼくらの未来、猫型ロボットを青タヌキにできなかった人類は完璧を求められて昨年の殺処分数は2112人でした

311

まだ冷たさが勝つ砂浜、軽々と裸足で突き進み膝まで汚れを知らない青に浸かる
何処からか降ってきた梅の花が水面に模様をつくり境界線
今年も君にあえなかった
すこし透けたそれが腐る前に底の君に届きますように
重たい脚を無理矢理引き揚げて数分間の繋がりシャワーで消して束の間の忘却

ぐにゃ

君がみた景色、みてみたくて命日に遺品の眼鏡かけて視界ぼかして青空仰いだ
歪んだそこは君の世界にワープできる気がして手を伸ばす

停電

暗闇に浮かぶ体育館のステージ、月光だけが僕らを照らして青白い
ステージ下の収納、パイプ椅子の隙間から取り出すのは黄ばんだ外国の絵本、開きたいのに開いたらいけない気がしてそのまま集めて重ねて重い扉を開いて退出
目覚めて教室、かわらず月光が僕らを照らしてる、黒板は新学期初日のように濃い緑でチョークの粉は見当たらず、日直の名前に覚えはなく、扉は開いたままなのに誰も廊下にでようとせずなにかに怯える
埃っぽ

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数年前に山を切り開いて大規模団地を建設しました、広場でこどもたちが賑わってる、食糧不足で人里おりてきた猪鹿熊は大根とうもろこし美味しいところだけ頂きます、収穫時期は人間よりも正確で羨ましくなるよ、たまたま知恵をもった僕らの誰かが食べられたなら食べ返せ、あそこの息子は目黒のレストランで炙られたらしいよ、賄賂の金で頂きます、復讐を受け入れよう、来年は一族でとうもろこし畑食べ尽くしてニュースで騒ぐタレン

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エンドロール

どうしようもうすぐそこまでエンドロールが待機してる、出演者クレジットの先頭は勿論君、知ってるメイクさんも知らない美術さんも僕らの歴史の一部です、蟻の行列はつい目で追ってしまいます、自分と同じ苗字を発見してすこし嬉しくなったりしてる、終わりは始まりだって神様は言いました、その始まりに君が隣にいてくれる保証はなくて終わりを逆再生したくなるのはいけないことですか、始まらなくていい、監督でとまるエンドロー

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暗転

死について恐怖するとき、世界で一番幸せな人間になること、漸くわかった気がしたよ