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エッセイまたは日記

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文学フリマ岩手8お疲れさまでした!(備忘録も兼ねて)

文学フリマ岩手8お疲れさまでした!(備忘録も兼ねて)

昨日、文学フリマ岩手8にお店のひととして参加してきました。
たくさんの方々にお会いできてよかったです。
私のブースを訪ねてきてくれただけでもうれしいのに、本まで購入していただいて、本当にありがとうございます。
それから運営スタッフの皆さま。皆さまのおかげで、とても楽しい時間を過ごすことができました。本当に頭が下がります。ありがとうございました。

ここからは個人的な備忘録です。文学フリマになんども

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自分の文体なんてものはない

自分の文体なんてものはない

宇佐美りん著『推し、燃ゆ』を読んだとき、主人公が定食屋でバイトをしている場面に感動してしまった。定食屋の忙しなさと主人公の至らなさが、描写だけでなく文体のレベルであらわされていると思ったのだ。上手く言えないのだが、文体は作者の癖とも違うのだということが、はっきり分かった。ここまで持っていくには相当書かなきゃ駄目だぞ、と身が引き締まる思いだ。

以前は文体に対して理想を抱いていた。書いていくうちに「

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いつまでも迷い続けろ

いつまでも迷い続けろ

今年9月26日、pictSQUAREにてオンライン即売会イベント「ジャンル迷子オンリー」が開催された。名前のとおり、自分の創作しているものが、どのジャンルに属するのかが分からない、一言では言い表せないというひと向けに、開かれたオンリーイベントである。

私は「あおものや」というサークル名で参加した。イベント自体が初めてだったので、販売したものは以下ひとつだけ。

https://www.amazo

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電子世界でも積み本が増える

電子世界でも積み本が増える

今年に入ってから、あらゆる本をKindleで読んでいる。はじめは「漫画本だけ電子でいいや」と思っていろいろ読んでいたが、そのうち歌集、小説と移っていった。装丁がめちゃくちゃ綺麗とか、本自体が電子化していないとかではない限り、 Kindleで買う癖がついてしまった。

歌集だと好きな歌に、小説だと好きな一節、好きな描写に、マーカーを引くことができて、とても良い。紙の本だと、汚したくないという気持ちの

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美しい屋敷に魅いられている

美しい屋敷に魅いられている

先日『The Others』という映画を観た。ジャージー島の大きな屋敷に住んでいる母と子どもたちのお話。戦争から帰ってこない父を待ちながら、不安な日々を送っていた家族のもとに、あるとき三人の使用人があらわれ、彼らが暮らし始めると、様々な怪奇現象に見舞われてしまい……というホラー映画だ。

最後のどんでん返しもさることながら、あの屋敷の閉塞感がとてもとても好きで、物語がほとんど屋敷のなかで完結すると

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「……」

「……」

「……(三点リーダー)」は甘えだ。余韻や間を点々で埋めるなんて怠惰だ。きちんと文章で表現しなきゃ。そんなんで上達できるはずがない。と思い込んでいたので、私が昔書いた小説には三点リーダーがない。同様の理由で三点ダッシュも使ったことがなかった。

でも今は違う。ガラリと考えが変わった。服部まゆみの小説に出会ってからだ。今年の初めに『シメール』を読み、最近『罪深き緑の夏』を読んだ。幻想文学最高。どちらも

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毎日投稿

毎日投稿

できない。私にはできない。ひとつの原稿を仕上げるのに時間がかかりすぎる。日記でも小説でも、毎日投稿できる人はすごいし、偉い。

どうやって書いているのだろうと思う。もしかしたら休日にあるていど書きためて、平日に少しずつ出しているのかもしれないが、それにしたって、とてつもない文章の量だ。
仮に1日あたり2000字書くとして、1週間で14000字、1ヶ月で60000字だ。たった1ヶ月で中編小説が1本書

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ヴァーチャル受胎

ヴァーチャル受胎

ヴァーチャルYouTuber(以下:V)を観ていると、本当に様々なひとたちがいるのだなあと感心する。歌がうまかったり、喋りが良かったり、多才だなと思う。外見も千差万別で、動物も無機物もいる。動く人も動かない人もいる。それぞれ思い思いに活動をしていて、楽しそうなのが伝わってくる。

外見や設定が個性的であればあるほど観られるのかと言われれば、そういうことでもないみたいだ。声も大切なのだと思う。そして

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身体と魂の癒着度

 そういえば幽体離脱ってしたことないな、と思いたって、大学時代に試みたことがある。その頃はスピリチュアルなものに傾倒していたけれど、別に希死念慮があったわけではない。やったことないことを、ただやってみたい時期だった。明晰夢もみてみたかったし。
 金縛りになると幽体離脱しやすいと聞いて、さっそく実行した。昼寝(午後三時くらいが、私のなかのベスト)を習慣にして、金縛りに遭うようにはなったのだが、肝心な

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みんな被害者になりたがっている

 先月25日、白人警察がアフリカ系アメリカ人の男性を殺害してしまった事件を発端に、アメリカ各地でデモ活動が起きた(今も続いている)。正当に人種差別を訴えているひとが大半だと思うのだが、なかには抗議しているひとたちに乗じてただ暴れたいやつ、抗議がヒートアップして暴力に発展してしまうやつがいる。こういうひとたちは、はたから見ると加害者に他ならないのだけど、たぶん当人は自分を被害者だと思いこんでいる。

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引用という名の暴力

 私は小説や映画の物語に触れたとき、その面白さを追究しなければ気が済まないたちだ。趣味でものを書いているからっていうのもあるけれど、たぶん思考停止するのを恐れているから、色々と考えてしまうのだと思う。そして、それを誰かに聞いてほしいときも、もちろんある。

 去年八月に上映された『ドラゴンクエスト ユアストーリー』についての考えがまとまったので(遅い)、ひとつ映画批評を書いてみようかなと、ペンをと

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有袋類のうさぎ

 ある朝、眼を覚ますと、ドアのそばに母が立っていた。私が起きるまで、ずっとそこで待っていたみたいだった。朝日のせいで部屋のなかが霞んでいて、でも母の顔だけは影がかかってよく見えなかったのを覚えている。

「あなたが欲しいって言っていたぬいぐるみ、つくったから」

 母はゆっくりと近づいてきて、白いなにかを差しだした。私は無意識のうちに手をのばして、それを受けとる。平べったいうさぎのぬいぐるみだ。お

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蝶々結びとショパン

 当時、私は大学を卒業したあと、ちょっとした資格がとりたくて専門学校生をやっていた。実習の兼ね合いで、いろんな場所を転々としていたが、埼玉の学生寮に住んでいたときが一番長かったと思う。単純に期間がだけど、体感的にも長かった。

 その寮に大学時代の友達が遊びにくる夢をみた。すごくリアルだった。久しぶりに会えて嬉しかった。内容は覚えていないけど、取り留めのないことをずっと話していた、気がする。きめ細

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