青木夕海

話を書きます。最近は詩とか。

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月刊詩誌「ココア共和国」2024年5月号に、私の投稿詩が掲載されています。とても嬉しいです。紙と電子どちらでも読めます。 https://www.youyour.me/cocoa202405

    • 【短編】すいかたべたい

      あなたがうたたねをしていると、ふいにでんわがなる。非通知としるされている。ほんとうはこういうのはとらないほうがよいといわれているけれどあなたは気になって気になってしかたがなくてつうわボタンをおしてしまう。ひとのいきづかいすらしない。ただの沈黙。いや、かすかになにかがきこえる。水のおとがする。ほそくいとのようにでている水がはつらつなおとをたてながらじゅんかんしてひとつながりにおちる。母だ。母がばらのはなに水をやっている。ごねんまえはたえず庭からしていてどうしていまもしているのだ

      • 【詩】氷像

        吹雪には吹雪の憂いが 神様には神様のてらいがあり 影すらも青白い氷像が ひとりでにつくられる それはあなたによく似ていて あなたの指紋はしたたり落ちる (第19回文芸思潮現代詩賞 入選)

        • 【詩】デパート

          緑光灯は死化粧のように デパートを覆い 回転扉から 古い海の匂いがやってくる 家電売り場にいくつも映っている 象牙質めいたトランポリン選手 そのたくましい跳躍のあいだに 私は誰かの死を感じていた あの日 遠雷があった日 寝具売り場に横たわる あなたの妊娠線は この世でいちばん美しいものだった (第19回文芸思潮現代詩賞 入選)

        月刊詩誌「ココア共和国」2024年5月号に、私の投稿詩が掲載されています。とても嬉しいです。紙と電子どちらでも読めます。 https://www.youyour.me/cocoa202405

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          【詩】変電所

          私の背骨が燃える音を どうかあなたが聞いてください 果実を沈めたくなるような湖に 変電所が埋まっているものだから 虚ろなコインランドリーの乾燥機は かつて踊りに耽っていたのを すっかり忘れてしまったようなのです (第19回文芸思潮現代詩賞 入選)

          【詩】変電所

          第19回文芸思潮現代詩賞に応募した作品が入選しました。嬉しいです。本当にありがとうございます。当該作品は後日公開しようと思います。

          第19回文芸思潮現代詩賞に応募した作品が入選しました。嬉しいです。本当にありがとうございます。当該作品は後日公開しようと思います。

          【俳句】雑十三句(その二)

          カルディで珈琲しばく春の昼 瓶詰めの安納芋や春来たる 経年のaiboが踊る蝉時雨 海底を這う夢を視る夏木立 人形を組み立ててゐる夜長かな そぞろ寒レンブラントの昏き陰 初嵐ざつくばらんに墓標立つ 表裏逆に着ていた赤セーター 寒の雨積もる話があるはずだ 音だけの世界にいたい冬景色 走つても孤独同士の木馬たち 人間が機械を演じるときは青 ほんたうに冷たいさうだ満月は

          【俳句】雑十三句(その二)

          【俳句】雑十三句

          カーディガン葡萄酒めいて光りたり 珈琲をただしく蒸らす春隣 新緑のセロハンテープで指を切る 推敲を繰り返し繰り返して春 音楽堂すみわたるほどの無音 花疲れ社内メールの波来たる どうしてもあの子が欲しい青嵐 泣きながらブランコを漕ぐ又従兄弟 提灯のひかりに紛れ死ぬ蛍 晩夏光ショート動画をスワイプす 熱帯魚水の一部になってゐる ブローティガン甘酒を舐めるやうに読む 返り血をしづかに落とす冬薔薇

          【俳句】雑十三句

          群像新人賞に応募したよ。けっこう締め切りぎりぎりだった。とりあえず書きたいこと書けたから良かったかな。来年また新しい話考えよう。

          群像新人賞に応募したよ。けっこう締め切りぎりぎりだった。とりあえず書きたいこと書けたから良かったかな。来年また新しい話考えよう。

          文藝の短編賞は予選落ちだった。わ~頑張るしかない。

          文藝の短編賞は予選落ちだった。わ~頑張るしかない。

          空中浮遊のバレリーナ

          お知らせです。 私のお友達でイラストレーターの萩原ぎんいろさんが素敵な個展をひらきます。 空中浮遊のバレリーナ 【日時】2023年10月6日(金)~9日(月)     12:00~17:00 【場所】Gallery Stella (ギャラリーステラ) 【住所】〒167-0042     東京都杉並区西荻北3-13-11-1F 以下、詳細のサイトです。 きれいで、かわいくて、ひりっと毒のある少女たちが、あなたを迎えてくれることでしょう…… そして! 萩原さんの画集に私

          空中浮遊のバレリーナ

          【詩】少女たちの夜会

          少女たちが鱗粉を顔にぬる そのために 真っ青な蝶ばかりを死なせている 少女たちは朽ちた式場にあつまり おおきな鏡が 泉のようになびいている衣装部屋で 薄絹をかさねがさね ひとつの四阿をつくる あしたこそ 生まれることのないように 少女たちは祈り 蚕の似姿でねむる しだいに空が白んでゆくことを 少女たちは悔やむ いつしか 少女たちは 大人のかたちになる 影をともなう 真っ青な蝶となる

          【詩】少女たちの夜会

          【詩】ナイフ

          生きるたびに ためらいきずが ふえる ローズ・セラヴィの 口紅のような きずが わたしの胸に浮かぶ どうか 致命的にしてほしい あなたのナイフで

          【詩】ナイフ

          【詩】祭り

          りんご飴をかじる 薄い硝子がふいにあらわれ あなたの舌はよく切れる 昔レントゲン室で撮った わたしたちの写真は 裸になりあった体温までは 写してくれなかったね 緑色の骨はとても熱くて わたしはあなたの傘を思った 裏庭に埋めるはずだった 金魚がプールを泳ぐ カルキの匂いにやられる妊婦たちがいる 桃の缶詰に蟻がたかる 今年も夏は死語となり 日射しがあぶらの膜のように あなたにはりつく もうすぐ祭りがおわる 寂しいと言って あなたは目を覚ます

          【詩】祭り

          文学フリマ岩手8お疲れさまでした!(備忘録も兼ねて)

          昨日、文学フリマ岩手8にお店のひととして参加してきました。 たくさんの方々にお会いできてよかったです。 私のブースを訪ねてきてくれただけでもうれしいのに、本まで購入していただいて、本当にありがとうございます。 それから運営スタッフの皆さま。皆さまのおかげで、とても楽しい時間を過ごすことができました。本当に頭が下がります。ありがとうございました。 ここからは個人的な備忘録です。文学フリマになんども出店されている方々からみれば当たり前だよ~って思うことかもしれませんが、つらつら

          文学フリマ岩手8お疲れさまでした!(備忘録も兼ねて)

          【短編】サーカスナイト(後編)

          前編はこちらです↓ すべてが硝子でできた美しい街や、まぼろしの鳥たちがすむ植物園のような街、要らなくなったおもちゃの集まる街や、いつまでも夜が明けない街……人魚の少女が訪れた街の数々を、少年は心を踊らせながら聞いていました。 「うらやましいな。僕はここから出たことがないからさ」 「出ようとはおもわないの?」 「きみが来るまで、考えたこともなかったんだ」 「じゃあ、今は? 出たいとおもう?」 「うん、少しね」 「……そう」 それきり口をつぐみ、少女はうつむいてし

          【短編】サーカスナイト(後編)