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「先延ばし」は悪か? タイミングを創造力に変える工夫とは

「なるほど、『先延ばし』も活かし方次第ということか」

日々仕事をしていると、「タイミング」について考えることがあります。最も身近なところで言うと、スケジューリング。いつ何をするのか。やらなければならないこと、やりたいことという「to do」はリスト化できていても、それを「いつ」やるのかは曖昧ケースもあります。

時間がなかったので先延ばしにする、もしくは時間ができたので前倒しでやってしまおう、ということは日常的に起こりえます。この「タイミング」について、学びを与えてくれる言葉に出会いましたのでご紹介します。

チャンスを最大化するタイミング

その言葉がこちら。

『明後日にできることを、明日に回してはいけない』
Never put off till tomorrow what may be done day after tomorrow just as well.
マーク・トゥエイン

マーク・トゥエインは、アメリカの作家で『トム・ソーヤーの冒険』の著者として有名ですね。数々の名言を残された偉大な作家です。このほかにも、『真実は小説より奇なり。』 、『最も偉大な発明家は誰か。それは「偶然」である。』などの言葉もグッとくるものがあります。

この『明後日にできることを、明日に回してはいけない』という言葉は「オリジナルズ」という本の第4章「賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ(チャンスを最大化するタイミング)」の中扉ページに引用されている言葉です。

この本の魅力は先日書いた『「人と違うこと」をどう生み出すのか? 「オリジナル」でいるための工夫とは』という記事にまとめていますので、お時間があればご参考ください。

この『明後日にできることを、明日に回してはいけない』という言葉は「正しいタイミング」について気付きを与えてくれます。

よく聞く言葉は「今日出来ることを明日に延ばしてはいけない」です。これは今この瞬間に集中して、「今」を精一杯生きるということですね。積み残さずにその日を全力で全うする。非常にシンプルです。

一方でマーク・トゥエインの言葉は少し視点が違います。というよりも逆の視点とも言えます。一般的には「やること」があればそれを次々に消化していく方がスッキリするようにも思います。人は「ヒマ」を嫌います。何もすることがないのは結構辛い事です。さらに、深く考えるのも嫌う人が多いでしょう。そして将来のことを考えることも。

それゆえに、やることを次々と「処理」しがちです。処理している間はそのことに集中できますので、難しいことを考える必要もありません。「次々に処理する」の対極にあるのが「先延ばし」です。この先延ばしは「生産性の敵」と見られるケースが多く、基本的にはネガティブな印象をまとっています。一方で「先延ばし」には別の顔があります。

「先延ばし」のメリット

「先延ばし」もう一つの顔、それは「創造性の源」になるということ。古代エジプトでは「先延ばし」を意味する二つの言葉があったそうです。一つは「怠惰」。もう一つは「好機を待つこと」

歴史上最も優れた「先延ばし屋」はレオナルド・ダ・ヴィンチです。ダ・ヴィンチと言えば代表作「モナ・リザ」ですが、実はこの絵は1503年から描き始めて、その後描いてはやめるを繰り返し、その後放置。そして亡くなる直前の1519年にやっと完成させています。その間なんと16年。批評家たちは、「光に関する実験など余計な事をして時間の無駄をした」と考えました。しかし、そのような数々の「余計な事」がオリジナリティには欠かせないことをダ・ヴィンチは知っていたのです。

ダ・ヴィンチは15年の歳月をかけて「最後の晩餐」のアイデアを練り、スケッチに着手します。そこから10年以上経って、そのスケッチが土台となり13人がテーブルに配置するあの有名な構図が生まれます。ダ・ヴィンチは急いてはオリジナリティが発揮できないことをわかっていました。

「天才は最小限しか仕事をしないときこそ、最も多くを成し遂げることがある。そういう時、天才は発明を考え出し、頭の中で完璧なアイデアを形作っているからだ」

ダ・ヴィンチの言葉だけに、とてつもない説得力を感じてしまいます。「先延ばし」という言葉を使うと悪いイメージを持ってしまいますが、アイデアを熟考し孵化させる時間と捉えるとそれは「必要な時間」ともいえます。クリエイティブな仕事ではとくに有益です。

先日、ツァイガルニック効果について考えをまとめましたが、それに通じるものがあります。これは『人間は達成できなかった物事や、中断・停滞している物事に対して、より強い記憶や印象を持つ』という心理効果です。ダ・ヴィンチはこの効果を最大限に引き出す天才だったのかもしれません。

まとめ

人は目の前の仕事を次々と片付け、処理しがちです。生産性に意識を置いているビジネスマンは特にそうかと思います。一方で、創造性、クリエイティビティを仕事で発揮しなければならない人は、「片づける」「処理する」というスタンスではうまく創造性を発揮できません。

アイデアが他のアイデアと結合し、孵化し、大きく成長する。そのプロセスには「時間」が必要です。そのためにも、意図的に「先延ばす」というマインドセットが重要なのかもしれません。

『明後日にできることを、明日に回してはいけない』

「先延ばし」は「創造性の源」。焦らず好機を待つ。そうした余裕も、時には必要なのかもしれません。自分でタイミングをコントロールし、アウトプットの質を高められると良いですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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