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フィンランドの幸せのメソッドとは? 「SISU(シス)」に学ぶタフに生きるための工夫

「北欧の国はなぜこうも幸福度が高いのだろうか…」

「幸福であること」これは誰もが望む永遠のテーマかと思います。特に、このコロナの影響が続く今の世の中においては、先行きの不安感から、なかなか幸福感を感じにくい環境とも言えます。

一方で、そんなコロナ禍の生活もしばらく経ち、我々の生活の中にもある種の「慣れ」ができつつあります。世の中はニューノーマルな世界にシームレスに移行しているいえます。目線を未来に向けて、タフに生き抜いていく必要があります。

そんな時に、幸福大国フィンランドに古くから受け継がれるメソッドがあると知り、興味を持ちました。それは「SISU(シス)」と呼ばれている幸せのメソッド。このSISUとは何なのか?幸せになるためのヒントを探ります。

幸福度調査(1位は3年連続フィンランド)

コロナの影響がまだピークを迎える前の3月、国際幸福デーに国連の関連機関は「世界幸福度ランキング」という調査結果を発表しました。これは毎年発表されているランキングで、日本は前年より4つ順位を下げ62位でした。ここ数年の日本の順位の推移は46位→58位→62位と右肩下がりの状態。このランキングを毎年知るたびにため息が出ます。

上位20位まではこんなランキングとなっています。

世界幸福度ランキング2020
1. フィンランド
2. デンマーク
3. スイス
4. アイスランド
5. ノルウェー
6. オランダ
7. スウェーデン
8. ニュージランド
9. オーストリア
10. ルクセンブルク
11. カナダ
12. オーストラリア
13. 英国
14. イスラエル
15. コスタリカ
16. アイルランド
17. ドイツ
18. 米国
19. チェコ
20. ベルギー

首位は3年連続でフィンランド。3年連続トップはすごいですね。その裏には幸福感を感じられる秘訣があるはずです。堀内都喜子さんの著書「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」という書籍にそのヒントがあります。

フィンランドの暮らしの特徴を挙げるとこんな内容です。
•1人あたりのGDPが高い
•教育レベルは世界トップクラス(無料で大学まで行けるシステム)
•午後4時には仕事を終えるプライベート重視の仕事
•男性の育児参加(8割が育休を取得)
•リラックスタイムをしっかり持つフィーカの文化
•医療、公共サービス、福祉の充実

フィンランドは人口が日本の1/10程度ですが、非常に優れた社会エコシステムが回っており、誰もが無理なく日々を過ごせる環境が整っていると言えます。

幸せメソッドSISU(シス)とは?

フィンランドの幸せの秘訣を探る上でもう一つの書籍に出会いました。「フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)」という本で、著者はカトヤ・パンツァルさんというカナダ人。カナダからフィンランドへ移り住んだ彼女が実際に生活して理解した幸せのメソッドを紹介してくれる一冊です。

この中で「SISU」というメソッドが紹介されています。

【SISU(シス)】
フィンランドの人々に古くから受け継がれる特別な精神力、いわば「フィンランド魂」。厳しい状況で発揮されるしなやかな精神性、困難に立ち向かう勇敢さ、忍耐などを指す。そんな「折れない心」は、日々の健やかな心身に宿るとされる。

こう解説されています。フィンランドには独特の「意思の強さ」、決してあきらめない、安易な道に逃げない「強い心」があると言います。

この本で面白いエピソードが紹介されています。著者が会社のフィンランド人の同僚と仕事で移動する際、会社経費でタクシーに乗ろうとした著者を置き去りに、その同僚は自転車で仕事場に向かったそうです。はじめは著者も、なぜそんな面倒な手段を選ぶのか困惑したそうです。後になって、それは根底に実用性を好む北欧の精神と、健全なグリット(やりぬく力)があるからだと理解したそうです。

確かに自転車に乗って移動する方が運動になるのと新鮮な空気を吸うことができ健康の面では最良の選択です。また道路を走る車が1台減る環境上のメリットはもちろん、実際問題渋滞の道で車内でじっとしているより、自転車レーンを走った方が早く着くこともあります。つまりこの判断はSISUに裏付けられた行動だったのです。

とはいえSISUは捉えどころない言葉とも言います。聞く人によって答えが違うようですが、要約すると「あきらめない力(とりわけ逆境にある時に)」という感じだそうです。

SISUを柔軟に解釈すると、例えばこんな行動がSISUによって行われます。

・粘り強い行動
・活発な行動
・屋外での活動(天候に関係なく)
・自分の手でやる(DIY)

例えばDIYで見ると、フィンランド人は新しいものを買う前に自分で修理する、自分でリノベーションするという発想をします。この裏には「経験は所有に勝る」という価値観があるのかもしれません。


フィンランド人が幸福である背景には優れた社会エコシステムが回っているだけではなく、フィンランド人に脈々と受け継がれる「フィンランド魂」が寄与しているのかも知れません。それは、あきらめないタフな精神力と自然とともに生き、自分で行動するというメンタリティ。このSISUというタフな精神力が、ひいては日々の生活で幸せを感じられる秘訣になっているのかも知れません。

タフなメンタリティをどう身に着けるか

上記のSISUは「あきらめない」というグリットの精神と、「折れない心」というレジリエンスを融合したような価値観だと思います。この中で、レジリエンスについては、近年レジリエンス・マッスルという考え方で鍛えることができる言われています。それは4つ「I」で鍛えるアプローチです。

・I can(私は◯◯できる)
自分が過去に経験した困難な状況を思い出し、どのように乗り越えたか、その時の学びを思い出しましょう。自分の中にある隠れた魅力に気づけるかもしれません。

・I have(私には友人・知人がいる)
自分の周りの大切な人、お世話になった人を思い浮かべてみて下さい。きっと自分の持っている宝物に気づくはずです。

・I like(私は◯◯が好きだ)
自分の大切な人の写真や楽しかったことを考えましょう。わくわくして自分の中にある楽しむ力、ポジティブなマインドを感じる事ができます。

・I am(私は◯◯である)
自分の得意なこと、強みを考えてみましょう。また、自分の強みは自覚していない事も多いです。自分では当たり前でも、周りからすると異端な能力である方は多いです。周りの人にも「私の強みは何だと思いますか?」と質問するのも良いでしょう。自分でも気づかなかった自分の宝物を発見できるのかもしれません。

この4つの視点で自分という存在、自分が持っているものを客観的に理解する事で、逆境を乗り越える心の筋肉を身につける事ができます。このレジリエンスマッスルが身に付ければ、フィンランド人に備わっているSISUというタフな精神力に少し近づけるのではないでしょうか。それはひいては、どんな境遇でも自分の中に幸せを見つけ出せる力になりえるのかも知れません。

まとめ

幸福度ランキング3年連続No1のフィンランド。この国には優れた社会エコシステムがあるとともに、フィンランド人に脈々と受け継がれたSISUという精神力があります。

私はこのSISUという概念を知るまで、なぜこんなにフィンランド人が精神的な豊かさを感じているのか理解できませんでした。しかし、その裏には逆境に負けず、あきらめずに、自ら行動するという、パワフルさとタフさがあることことがわかりました。どんな境遇にも立ち向かう強靭な精神力があるからこそ、どんな環境でもポジティブに思考し、前向きに行動できるのだと思います。こうしたメンタリティと行動が、ひいては日々の幸せを感じることにつながっているのではないかと思います。

「幸福度」という言葉からからは「環境的に恵まれている」ということを連想しがちですが、フィンランドにはその側面だけでなく、「人としての強さ」が同居しているところがその秘訣だと思います。

このフィンランドのSISUからは、「環境におんぶにだっこだけでは幸せになんてなれませんよ」と言われているようにも思います。精神的なタフネスを身に着け、どんな境遇でも「自分で自分を幸福にする」という力強さを身に付けなければいけないのかも知れません。

そのためにも、「あきらめない」というグリットの精神と、「折れない心」というレジリエンスマッスルを鍛え、タフなメンタリティを身に着けて行きたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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