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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき… もっと読む
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#洋楽

Judas Priest / Invincible Shield(2024)

Judas Priest / Invincible Shield(2024)

UKメタルの祖とも言えるジューダスプリースト(鋼鉄神)、プリーストの結成は1969年とブラックサバスとそれほど変わらないが、デビューは1974年、そして本格的な商業的成功を収めるのは1980年のブリティッシュスティールからとやや遅咲きのバンド。ただ、それ故か「British Heavy Metal」に拘り「ヘヴィメタルとは何か」という音像を追及してきたバンド。以前書いたようにヘヴィメタルの誕生は1

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Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

★★★ 感動した/ウルッと来た
★★ ワクワクした/耳を惹かれた
★ 平常

全体評価:★★★19年ぶり、アイアンメイデンのボーカリスト、ブルース・ディッキンソンのソロ作。前作同様ロイ・Zとタッグを組み、コンセプトアルバムとしての作品。

まず、メタル色は薄い。というか、最近改めて思うが00年代以降「メタル」というとグロウルボイス(いわゆるデス声)の印象が強くなっている気がする。そもそもブルースは

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Creeper / Sanguivore

Creeper / Sanguivore

2014年デビューのUKのバンド、Creeperの3枚目のフルアルバム。気が付けば毎回アルバムを出すたびに取り上げています。

1st。

2nd。

「凄く好きなバンド」というほどでもないと思っていたんですが、毎回記事を書いているし過去2作はLPも持っているからかなり好きなのかもしれない。正直、前作はあまり出来が良くないなぁと思っているんですがLPを買っていました。何かコレクター心をくすぐるとこ

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Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

USメタルの巨人、A7X(Avenged Sevenfold)の新譜がリリースされました。8枚目のアルバムで、前作「The Stage(2016)」から7年ぶりのリリース。2018年からアルバムの制作はスタートし、2020年末にはほとんど完成していたそうですがコロナ禍によりツアーが延期され、アルバムのリリースも今のタイミングにずれこんだ、とのこと。

A7Xは1999年結成、2001年デビュー。最

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Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

いよいよMetallicaの新譜が公開されました。あまり前情報を入れず、初聴した感覚を書き残しておこうと思います。

1."72 Seasons" 7:39 ★★★★☆先行発表されていたタイトル曲、リフがなだれ込んでくる。これはすべてダウンピッキングだろうか。今の基準だとそこまで高速というわけでもないが体感として早く感じるリフワーク。そのまま疾走感のあるドラムが入ってくる。アップテンポなナンバー。

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Jake Shimabukuro / Jake & Friends(2021、ハワイ@US)

Jake Shimabukuro / Jake & Friends(2021、ハワイ@US)

おススメ度 ★★★★☆

日系ハワイ人のウクレレ奏者、ジェイクシマブクロの15作目(になるのかな)のアルバム。エフェクターを用いてウクレレの枠にとどまらない、一般的な「ウクレレ」からは外れた、いわゆる「ロックギターのインスト」に近い曲を奏でるアーティストですがやはり楽器特性からくるどこか親しみやすい、かわいらしい音像が特徴。聞いていて楽しいし寛げるんですよね。ハワイ音楽は独特のさわやかさと透明感が

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Night Resident / Darkness Is My Home

Night Resident / Darkness Is My Home

昨日の「Black Soul Horde」と中心メンバー2名が同じバンド。こちらはイニシャルで活動しているようですが、JT=John Tsiakopoulos、CP=Costas Papaspyrouですね。JTはBlack Soul Hordeではリズムギターとベースを兼任していましたが、こちらではベース兼ボーカルのよう。こちらはメタルよりもう少しロック寄りの音像のようです。こちらも2021年作

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C. Tangana / El Madrileño

C. Tangana / El Madrileño

総合評価 ★★★★☆

CタンガナことAntón Álvarez Alfaro (born July 16, 1990)はスペイン、マドリッド生まれのラッパーです。ラッパーといいつつかなりメロディアスな歌も歌うので、「ラップが本職のポップシンガー」というべきか。基本的に最近のラッパーって歌えますからね。特に海外は。で、スペインのヒップホップグループAgorazein(アゴラゼイン)の1員でもあるよ

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Mägo de Oz / Bandera Negra

Mägo de Oz / Bandera Negra

総合評価 ★★★★★

そういえば今年はほとんどスパニッシュメタルを聞いていない。何か大物の新譜がないかと調べてたどり着いたのがこちら。結成33周年(1988年結成)を迎える大ベテラン、マゴデオズ(オズの魔法使い、のスペイン語)の最新作。

ベテランではあるがどこかB級メタル感はある。プロダクションがややチープ。だけれど作編曲能力は高いし、単調になりがちなメロディックパワーメタルの形式でさまざまな

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TEKE::TEKE / Shirushi

TEKE::TEKE / Shirushi

総合評価 ★★★★★カナダを拠点とするカナダ人と日本人の混合サイケデリックバンド。本作は2021年のデビュー作でカナダの権威ある音楽賞であるポラリス賞のロングリストの選出(ノミネート)された。もともと寺内タケシのカバーバンドが母体らしく、日本音楽とサーフミュージックがルーツだそう。バンド名も「テケテケ」。エレキギターのテケテケ音の擬音から。

ジャケットはアンビエントだったりスピリチュアルな環境音

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Mdou Moctar / Afrique Victime

Mdou Moctar / Afrique Victime

総合評価 ★★★★★

サハラ砂漠西部に住むトゥアレグ族にはギタリストのシーンがあるようで、砂漠のブルースでも呼ぶべき一群がいるらしい。その筆頭はTinariwen(ティナリウェン)だと思うのだけれど、新世代(まだ35歳)のギターヒーローがこちらのMdou Moctar(エムドゥ モクター)。バンド名ではなく個人名、ジミヘンドリックス、みたいなもの。砂漠のジミヘン、と呼ばれているそうな。ハウサ音楽

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hodíla ízba/Ходуном

hodíla ízba/Ходуном

総合評価 ★★★★★

ロシア発、11人組(4人の女性ボーカル)を擁するビッグバンド。ミクスチャーで祝祭感がある音像。グローバルポップの中でこうした音像のバンドはいくつかあるけれど完成度が高い。「ロシアならでは」の特異性があり、演奏技術も高く、作編曲能力も高い。4人もいる女性ボーカルのポリフォニーが迫力があるし、サックスソロやギターリフ、「いかにもロシア(というか旧共産圏)」な電子音、展開も盛り込

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Mon Laferte / 1940 Carmen

Mon Laferte / 1940 Carmen

総合評価 ★★★★★

チリ出身でメキシコで活躍するモル・ラフェンテの2021年作。2021年に2枚のアルバムをリリースしていてこちらは2作目。ラテングラミー賞にもっとも多くノミネートされたチリ人アーティストであり、勢いに乗っているSSW。本作はタイトルの通り1940年代というか、ちょっとオールディーズな感覚をテーマに作られているようで日本のムード歌謡とかサザンのバラード(サザンはもともとラテンロ

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Jaubi / Nafs At Peace

Jaubi / Nafs At Peace

総合評価 ★★★★☆

パキスタン、ラホールの4人組バンドが多くのゲストを迎えて作ったアルバム。基本はジャズロックと北インド音楽(ヒンドゥスターニー音楽)の融合であるが、北インド音楽とロックの融合、という意味ではこの記事で取り上げたアーティストのような衝撃はない。その分、西欧音楽というかジャズロックの範疇には収まっており、より普遍的な層にもアピールできるというか、バランスが良いのかもしれない。イン

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