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メディアの話。

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メディアの話を、します。
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2021年9月の記事一覧

メディアの話その127 料理とファッションとサバイバルと、文化の知性と。

料理は、日本人にとって最も大きな「知性」である。

唐突にそんなことを思った。

イタリアは、「ファッション」である。

アメリカは、「サバイバル」である。

ものすごく「ベタ」なことなんだけど、偏差値とか収入分布とは別に、それぞれの文化にどっしり根差している「非言語的な知性」みたいなものが、それぞれの文化にある。

で、日本の場合、それは圧倒的に「料理」ではないか。

たとえば、イタリアでは「フ

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メディアの話その126 iPhone13と赤瀬川原平さんと写真がことばになる時代と。

iPhone13が発売された。

売りは、圧倒的に「映像」と「写真」である。

アップルの宣伝も、メディアの反応も映像と写真がすごい!に集中している。

アップル自体が「ポケットからハリウッド映画」という動画をつくっている。

写真もすごい。

世界中のプロ写真家が絶賛している。

落合陽一さんも、驚愕している。

さて、一方で、こんなiPhoneの「写真」「映像」推しについて、冷ややかな意見が以

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メディアの話その125 匂いというメディアとメタバースと記憶と最後の現実世界と。

2021年の夏、メタバースの話が急速に一般メディアに広がりつつある。

メタバースってなんだ。

語源を知らなかった。Wikipediaさんにきく。



SF作家・ニール・スティーヴンスンによる1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界のこと。転じて、将来におけるインターネット環境が到達するであろうコンセプトモデル[要曖昧さ回避]や、仮想空間サービスの通称

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メディアの話その124  クソ漫画とエコーチェンバーと暇つぶしとメディアの今

講談社の現代ビジネスの記事。

「LINEマンガ」上で9本の連載を抱え、うち6本は常に人気トップ 10 入り、連載開始からの総合ビューは9本合計2億ビュー超という圧倒的な成果を挙げるマンガ家・外薗昌也&その息子であるマンガプロデューサー・外薗史明が手の内を明かした著作のタイトルは『クソコンテンツを爆売れさせた ハリウッド流マーケティング術』(クロスメディア・パブリッシング)。

オリジナルはこちら

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メディアの話その123  91歳のイーストウッド、54歳のサザエさん波平 49歳の小津映画笠智衆。

80年代、明石家さんまさんは「今年で30、しっとるけのけ」と唄っていた。30歳にもなってこんなかぶり物をするなんて、というため息とともに。
それから40年、さんまさんのキャラは変わってない。30歳手前のしっとるけのままである。さんまさんだけではない。あらゆる人間は、80年代のある日あるとき、年をとることを許されなくなった。あらゆる人間が強制的にピーターパンになった。

強制したのはだれか。「高齢化

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メディアの話その122 北朝鮮とロケットと007と。

2021年9月11日12日。北朝鮮が新型長距離巡航ミサイルの発射実験を行った。

発射の模様の動画が、Twitterなどでたくさん流れてきた。

たとえばこちらだ。

https://twitter.com/Global_Mil_Info/status/1438467273564504064

この映像を見た時に瞬時に連想したのは、007映画だった。

カメラワークから、鉄道車両からミサイルを発射

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メディアの話その121 鉄道資本主義が貫徹してない街、西武線の魔力。

ターミナルに百貨店をつくり、沿線に計画的な住宅街を設け、それぞれの駅前には系列のスーパーをつくり、病院や学校を誘致し、奥座敷には高級住宅街を設け、終点エリアにはアミューズメントパークをつくる。

阪急グループの小林一三が成功を納め、渋沢栄一が田園都市株式会社をつくり、東急の五島慶太が、実現した。

こうした「鉄道資本主義」のまちづくりは、東京の各私鉄がこぞって真似をした。

でも、鉄道資本主義を完

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メディアの話その120  シン街道資本主義と浜松の何もない駅前。

メディアの話その120  シン街道資本主義と浜松の何もない駅前。

浜松唯一の私鉄、遠州鉄道の駅前は、ほとんどがどんどんさびれている。

今に始まったことではない。2011年。いまから10年前に、こんな話をフェイスブックに書いていた。↓

浜松に電車で帰る。地元の遠州鉄道に乗り、20分ほど北の駅につく。駅に降り立つといつも自分の中でかかる曲がある。レイチャールズのインザヒートオブザナイト。夜の大捜査線のテーマ。あの映画では都会から来たシドニーポアチエ演じるチップス

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メディアの話その119 「フェイク」と「ニュース」と「生態系」と。

メディアの話その119 「フェイク」と「ニュース」と「生態系」と。

藤代裕之さん編著の『フェイクニュースの生態系』(青弓社)を読んだ。

「フェイクニュース」が蔓延する昨今の話を本書で読んだときに思ったのは、フェイクニュースがいいか悪いかという「価値判断」を保留して、フェイクかそうでないかにかかわらず、どんなニュースが拡散しやすいのか、ということを見た方が良さそうだ、ということだった。

想起した雑念を記す。

「生態系」ということば。

生態系は、もともとニュー

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メディアの話その118 下河辺淳さんと16号線。

メディアの話その118 下河辺淳さんと16号線。

東京に人が集まるのは「情報」に需要があるから。情報さえ手に入れば、人々は地方により分散する。
関東平野は肥沃で、徳川家康が江戸をつくり、大東京という世界都市ができた。でも、縄文人に相談したら、ちょっと否定するかもしれない。
19世紀20世紀の東京の展開は、縄文時代には海底にあった元ヘドロ地帯。
縄文人は、武蔵野台地、大宮台地、下総台地、多摩丘陵という高台に暮らした。
20世紀の日本人はその谷間の低

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メディアの話その117 シン・街道を行く。鉄道から再び街道へ、都市が動く。

メディアの話その117 シン・街道を行く。鉄道から再び街道へ、都市が動く。

シン・街道をゆく。
鉄道の街が終わって、街道の街が復活するのがモータリゼーション。

日本のモータリゼーションって、けっこう遅くって実は20世紀の終わりから21世紀の初めになってようやく当たり前になっている。

1世帯あたりの自動車保有台数が1台を超えたのは1990年台半ば。バブル崩壊してから。ピークは2005年ごろ。その後も、保有台数全体の数字がマイナスになったことは2021年まで、ない。車が減

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メディアの話その116 トースト娘の消失と氷河期と男女雇用機会均等と。

女の人が夏に肌を焼かなくなったのは、いつからだろうか? 
焼くのがやばくて、色白が正義になったのはいつだろうか? 
そして、価値転換はなぜ起きたのか? 
夏目雅子のCMやトースト娘ができあがる。
は、どこに行ったのか?

最大の理由は明白である。
1994年からの就職氷河期と1992年のリオ会議である。
かつて、夏にこんがり焼けた肌は、ステイタスであった。
沖縄へ、さらに遠くの海外の南の島で優雅に

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