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【コラム】ベンチャー企業における大量退職の原因と防止法

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はじめに

ここ最近、世界的なIT企業がバタついておりますね。

Twitter社がイーロン・マスクに買収され、あっという間に改革が断行されていき、この記事執筆時点で、社員の半数近くが解雇されたそうです。
いやぁ、解雇自由が原則のアメリカらしいニュースです…

さらに、業績不振が続いているFacebook社についても、11,000人規模のレイオフ(解雇)を実施する予定だというニュースが出てきました。

どちらも、一世を風靡した巨大ベンチャー企業ですが、今回は急拡大と急縮小(大量退職)を経験することになりました。
これはベンチャーあるあるなので、特に珍しいことでもないですし、ベンチャー界隈では、規模の大小はあれど、頻繁に起こっています。

日本での事例は社名を伏せておきますが、ベンチャーの急拡大・急縮小は日常茶飯事です。
私も何度か経験しております。

そのため、特に珍しいことでもないのですが、若きベンチャー経営者の皆様にとっては、とても心労が多い事象となることもあるので、今日はなぜベンチャーで急拡大と急縮小が起こるのか、どうやったら防げるのかという点について、私見を述べさせていただこうと思います。




1.大量退職が発生する原因・プロセス

私が思うに、ベンチャーでの急縮小、つまり、大量退職が発生する原因(又はプロセス)は、以下の7点の理由のいずれか、またはその複合だと思っています。
多くのベンチャー企業が経験することだと思いますが、未然に防げるのであれば防いだ方が良いです。


【大量退職の原因又はプロセス】
(1)小さな成功体験
(2)将来への甘い予測
(3)採用基準の無意識的引き下げ
(4)組織力の低下
(5)業績不振
(6)優秀な人材の退職
(7)連鎖的退職


以下、一つずつ解説していきます。



(1)小さな成功体験


ベンチャーにおける大量退職の前提として、通常は、小さな成功体験というものが存在します。
この成功体験は、CEOが思い描いたとおりに事業が進んで、予想よりも儲かったという体験です。

ベンチャー企業である以上、その多くが何らかの先進的な分野に挑戦していて、一か八かの博打に近い事業を行っています。
だからこそ、当たったときに脳がバグります。

「俺はすごい」
「やっぱりこの事業が世界を変えるんだ」
「これはすごいことになるぞ」
「今こそアクセル全開にするべきときだ」

などと様々な夢が膨らみます。

10億、20億の売上が転がり込んできて、ウハウハになり、テンションが上がって、堅実性や謙虚さが鳴りを潜めます。

ここが大量退職の第一歩といったところです🙄

ベンチャー企業を興そうなんていう人は、大抵がビッグドリーマーなので、基本的には思考の枠が広いです。
でっかい夢を追いかけてワクワクしちゃうタイプです。
そういう人がちょっと成功すると、もう誰も止められなくなります。
そこでグッと堪えて、こんなのがずっと続くわけがないと戒められる経営者は少数派です。

小金持ちの頃が一番危ない



(2)将来への甘い予測


小さな成功体験を経ると、多くのCEOが万能感を手にします。
選民意識といってもいいかもしれません。

これは、経営者にとってとても重要な意識だと思います。
自分なら絶対にできる、自分は選ばれし者だ、自分にしかできない、そう思えない人は経営者には向いていないかもしれません。
それくらいの根拠のない勘違いを本気でできる人じゃないと、ベンチャー企業の経営者は務まらないと思います。

それくらいハードな職業ですし、通常の精神では成し遂げられないことを目指すのがベンチャー企業です。

しかし、それと同時に、この万能感は副作用をもたらします😰

それが、将来への甘い予測です。

万能感が悪い方向に作用してしまって、将来予測が甘々になるのです。
ほとんど根拠がない、ほぼほぼ不可能な数値目標を掲げがちになります。

将来における様々な目標というものは、今現在手にしている能力、人材、お金で成し得る範囲内に留めないと、達成できない確率が上がっていきます。
マンガやドラマのような奇跡的な事象は、現実ではほとんど発生しません。

無謀な目標や非現実的な目標は、社員のモチベーションを一気に低下させるだけです。

しかし、小さな成功体験を経て、イケイケな状態になっているCEOには「イケるっしょ」と思えてしまうのです。

従業員がこの暴走を止めることはほぼ不可能なので、仕方なく、形上従うことになります。

その結果、無謀な目標を達成するための無謀な人事戦略が組まれることになり、普通では考えられない人数の採用に動き出すことになります。
ベンチャー界隈では、このような状態に陥ったときによく使われる言葉があります。
それが「当社は人材に投資します」です🙄

要するに、資金調達又は小さな成功体験で稼いだお金を採用コストに使いますということです。
けして「社員の給料を上げます」ということではありません。
そのタイミングで社員の給料を上げられるCEOは数少ないでしょう。
大半は、人材紹介業者と転職サイト運営業者にお金が流れます。
人材業者にとっては美味しいお話ですが、ベンチャー企業としては黄色信号です。

もちろん、適性な採用規模であれば何ら問題ないのですが、波に乗っているベンチャー企業の多くは「そりゃ無茶やろ…」という人数を採用しようとします。

これが「急拡大」の入口です。

パンパンになっていく



(3)採用基準の無意識的引き下げ


小さな成功体験を経て、甘い将来予測がなされ、ガバガバの目標が設定されます。
その結果、それまで年間で10名程度しか採用してこなかった人事部に対しても、ある日突然「1年で100人採用!」などの無謀な目標が降りてきて、そこから無謀な採用計画を練らされます。

その結果どうなるかというと、人事部門がまずパンクします😑

様々な媒体を利用して、なんとか面談数を稼ごうとスカウトを打ちまくります。
しかし、これまでの人員数では到底回せないので、採用補助係を何名か雇って、手分けしてスカウトを打ち、怒涛の面談ラッシュをして、人材を獲得しようと頑張ります。

その結果、無意識的に採用基準が引き下げられていきます

これまで、そのベンチャー企業を熟知している人事担当者が、一人ひとり丁寧に分析し、時間をかけて何度も面談を重ね、慎重に人選を行ってきたのですが、急に何倍もの人数を採用しないといけなくなり、一人ひとりにかけられる時間が減り、人材を見極めることができなくなっていくのです。

結果的に、書面上及び短い時間の面談で選考を通さざるを得ず、十分な選考ができないまま各事業部のマネージャー面接や役員面接に進むことになります。

しかし、各事業部のマネージャーは人材を見極めるプロではないので、何となくの感覚で採用してしまうケースが多くなります。
役員陣も拡大期は非常に忙しくなるので、面接が雑になりがちです。

そうやって、少しずつ人材を見極める能力が低下していき、いつの間にか採用基準が下がっていくのです。

本来ならば、絶対に通さない、通してはいけないような人材でも、こういう拡大期にはスルッと採用されてしまうことが多くなります。
人材紹介業者にとっては稼ぎ時だと思いますし、能力が高くない候補者にとっても良い会社に入る絶好のチャンスです。

しかし、ベンチャー企業本体にとってはこれが致命傷に繋がるのです😰


また、この時期によく起こることとして、人事担当者の退職があります。
急拡大期は、それだけ人事担当者に負荷がかかってしまうため、その負荷に耐えきれずに退職に至るケースが非常に多いのです。

その結果、急ごしらえで人事担当者が決まり、会社のことをよく知らない、人を見る目がまだ養われていない状態で採用面接をこなしていくことになります。

本来、人材獲得は、CEOと同等かそれ以上の情熱がないとできない仕事です。
会社のビジョンをCEOと同じ熱量で語れる人じゃないと、良い人事とはいえません。
ただの面接担当なら居ない方がマシだと思いますが、現実はただの面接担当の方が多いでしょう。

その結果、あまり選考というものをせず、なんか良さそう、問題なさそうという程度の基準で選考が前に進んでしまいます。

結果は同じことで、無意識的に採用基準がどんどん下がっていきます。

ザル審査と言われたりする



(4)組織力の低下


採用基準が下がってしまった結果、本来であれば採用されないレベルの人達が大量に入ってくることになります。

高い経営目標と能力不足の人材というミスマッチがここで発生します。

しかし、実際に事業をやっていると、そのミスマッチに気をかけている時間はほとんどありません。

「まだ入社したばっかりだし、様子を見よう」

という判断をしてしまうことがほとんどでしょう。
そうやって、3ヶ月、半年と過ぎていく。
一向に成果が上がってこない。
どうしたのだろう?

と思って各事業部のマネージャーに聞いてみると、どうやら組織としてまだまとまっていなくて、小さな意見の食い違いや衝突が日々起こっていて、その火消し活動にマネージャーの時間が大量に使われている。

小規模ベンチャーだった頃の組織力はもうどこにもなくて、いつの間にか、気持ちはベンチャー、組織は旧態依然とした大手企業という状態に陥ります。

このような状態からはイノベーションはほぼ生まれませんから、組織力の低下は致命的な欠陥といえます。

この頃には役員陣も危機感を覚えはじめ、なんとかして組織の立て直しを図ろうと頑張ります。
その結果、役員陣の時間の多くを組織内の火消し活動に費やすようになっていきます。

大体の場合、組織の中で問題を頻繁に起こしているのは、数名です。
多くて十数人でしょう。
その少数派こそが、採用基準の低下によって組織に入ってきてしまった人材です。

この人達が組織の歯車を狂わせているのですが、一度狂ってしまった歯車を正常に戻すのは、採用するときの10倍以上の労力がかかります😑
やったことがある人はわかるはず…
地獄です。

役員陣が潤滑油になれるかどうか



(5)業績不振


上記のような状態に陥ると、良いプロダクトも作れませんし、サービス品質も自ずと低下していきます。

その結果は火を見るより明らかで、緩やかな業績不振を招きます。

酷いときには数年間で売上が8割減くらいになることもあります🙄
ベンチャー企業は基本的に薄利構造なので、こういう状態に陥った企業は大体営業赤字に陥ります。

それが1年程度であれば、資金調達でなんとか乗り切れると思います。
しかし、2年、3年となると、投資家の皆さんにもバレますし、資金調達すらできなくなっていきます。

「売上はすべてを癒す」

という言葉がありますが、まさしくそのとおりで、業績不振(売上低迷)は全てを害していきます。

一番かき乱されるのは、役員陣の精神だろうと思います。
売上が低迷している時期は、本当にしんどい状態で、CEO、COOなどの創業者メンバーは、通常ピリピリし始めます。

役員陣がピリピリして良いことなんて一つもないですから、それがこの後解説する事態につながっていきます。

今月も未達か…



(6)優秀な人材の退職


組織崩壊や大量退職が顕在化し始めるのは、優秀な人材が退職し始める頃です。

優秀な人材は、周りの状況をよく分析できるだけの視野の広さを持っています。
また、多くの優秀人材が会計分野に明るいので、会社の財務状況をある程度把握できます。

その結果、どうやらこのまま行くとこの会社ヤバそうだぞと気づきます。

ただ、そう思ったとしてもすぐには辞めません。
まだなんとかできるのではないかと自分にできることを検討し始めます。

会社に対する愛情があるからこそ優秀人材なので、そこはほぼ全員が持っています。
なんとかしようと。

それでもなお、どうしようもないと判断されたときに、優秀人材の退職が発生します。
不思議なことに、同時期に複数人が辞めます😰

私が過去に見た事例でいうと、マネージャークラス(部長クラス)が一気に7名辞めた会社があります。
ベンチャー企業の部長クラスが同時期に7名も辞めるという事態は、はっきりいって異常事態です🙄

そのような事態になった段階で、一旦は事業を止める又はスピードを落とさないといけません。
重要な人物が抜けたまま無理に推し進めると、より大きな被害、不正等が発生しやすくなるので、まずは足元を固めないといけません。

ただ、多くの場合、優秀人材の退職が発生した段階で動き始めても手遅れです。

恐怖の手紙



(7)連鎖的退職


ここからはもうドミノ倒しのように連鎖的に社員が抜けていきます。

優秀人材の多くが管理職になっているでしょうから、その管理職としての人望があればあるほど、連鎖的に部下が辞めていきます。
むしろ、連鎖的に部下が辞めるというのは、退職した管理職人材の優秀性を示す一つの指標です。

それだけ重要な人材を失ったのです。

最悪の場合、部署にいる人材の半数以上が一気に辞めるなんてこともありますし、部署の全員(十数名)が丸ごと退職したという事例も見たことがあります。

そうやって一気に人が減ります😑

あっ…



2.大量退職の防止方法

上記が大量退職の原因であり、プロセスだと思います。
もちろん亜種はたくさんあると思いますが、大抵は似たような原因に基づいて、似たようなプロセスを辿ります。

これをどうやったら防げるのか🤔

この点についても私見を述べさせていただきます。
私は、大量退職を防ぐ方法は以下の5つあると考えています。


(1)健全な成長を志す
(2)組織の拡大ペースを調整する
(3)CEOが最優先すべきは採用
(4)優秀でない人が辞める仕組みを整える
(5)違和感を絶対に放置しない


以下、一つずつ解説させていただきます。



(1)健全な成長を志す


まず重要なことは、無謀・無茶な成長を目指さないということだと思います。
つまり、健全な成長を志すことです。

最近、この考え方に至っているベンチャー企業の経営者が増えてきていると実感しています。

自分たちの身の丈にあったペースで成長していく。
それがきっと、先々の大きな成功の基礎になるという考え方です。

無茶な目標を掲げたり、無理な成長をしすぎると、必ず誰かにしわ寄せが行きます。
それがCEO自身に行くなら別に構いませんが、大抵は社員の誰かが犠牲になります。

その結果、心身を壊す人が量産されます。

それって大きな社会的損失だと思うのです。
誰かの人生の犠牲の上に成り立つ成功は、本当に必要なものでしょうか。

私みたいな小物はそういう事を考えてしまいます。

だからこそ、健全な成長を志す経営者に出会うとテンションが上がります😍
素晴らしい人だなと思って、優秀な知人や友人を紹介したくなります。

おそらく、そういう会社の方が、採用競争でも勝つと思うんですよね。
実証研究はできていないですが、肌感覚的には徐々にそういう会社を選ぶ風潮が出てきているなと感じています。

ベンチャー業界では、リモートワークが原則になっているイケてる会社も増えてきているので、そういう従業員の利益を考えられる会社は、概ね健全な成長を志しているので、採用競争でも有名企業に競り勝っていることが多いと感じます。

健全な成長を続けていれば、組織は自然と良いペースで拡大していくはずなので、急激な縮小(大量退職)は発生しづらくなるはずです。

売上成長率20~50%くらいあれば十分



(2)組織の拡大ペースを調整する


ベンチャー企業の中には、時々大当たりを引く企業があります。
何らかの事情で市場が急拡大し、たまたまその分野の事業を行っていたベンチャー企業が恩恵を受けて、売上が倍増するというようなケースです。

このようなケースでは、売上がどんどん上がっていくがゆえに、それを支える人員がどうしても不足してしまいがちです。

また、売上が上がっているからこそ、気持ちが大らかになって、人が足りないなら採用すればいいだけだ!と考えがちです。

その結果、組織の拡大ペースが上がっていきます。
これは非常に危険な状態です。

ここであえて、組織の拡大ペースを調整できる経営者こそが優秀な経営者だろうと思います。
小規模ならば1年で倍増することもあり得ますが、数十名単位の規模で、1年で倍増するというペースだと明らかに危ないので、そのペースに至っていたらちょっと立ち止まって考え直すべきです。
拡大がスタートした時点の規模によりますが、100名程度のベンチャーなら、年間20名程度の採用に抑えておかないと、先々の大量退職を招くおそれがあります。

そもそも、一つの部署で抱えられる「新人」の数には限界があります。
そして、その限界を超えてしまうと、一切教育されない人、放置される人、粗末に扱われる人が出てきます。
それは確実に組織への愛着を低下させる行為で、組織に対する愛情がない人がいくら増えても、組織はどんどん非効率になっていくだけです。

むしろ、人件費を無駄にかけて、利益にならない人材を養うだけになりやすいです。

だからこそ、各部署で採用できる人間に上限を設けるべきですし、新人を最低でも3ヶ月はしっかり育てられる環境を整えるべきです。
それが整っていない部署に誰かを入れても、消費されて削られるだけです。

そして、組織が拡大期に入る前までは、業績を出せる人間をマネージャーに置くべきですが、拡大期に入ってからは、人を育てる能力が高い人をマネージャーに置くべきです。
流れに乗る前と乗れた後では、マネージャーに求められる役割が変わるはずで、両方の役割を演じられる人は少数です。
だからこそ、拡大ペースを一旦調整し、適切なマネージャー配置を行った後、時間的間隔を空けて徐々に人を入れていくという方法を採用すべきだと思います。

人材は苗木と一緒なので、最初に手間ひまかけて、じっくり育ててあげないと、すぐに枯れてしまいます。

見てこれ、ミキプルーンの苗木!



(3)CEOが最優先すべきは採用


ベンチャー企業の一部には、事業が上手く行きすぎて、急拡大を目指しているわけではないけども、どうしても拡大してしまうという嬉しい悲鳴もあるでしょう。

その場合であっても、CEOだけは絶対に採用から離れてはいけません。

どんな小さなポジションであっても、自社に入る人材については、どこかのタイミングで必ずCEOが面談をしましょう。
できれば1時間くらいはかけたいところです。

CEOとして、自分の価値観をしっかりと述べ、その人の価値観も聞いて、マッチしているかどうかを吟味しないといけません。
その手間を面倒くさがって、行程をすっ飛ばすから、採用基準が下がっていくのです🙄

CEOが採用に本気では無くなった時点から、組織の衰退は始まります。
どんなに忙しかろうが、必ず全員に会う!
採用より重要なことなんてそうそう無いはずですし、そもそもCEOが忙しすぎる時点で経営が上手く行っていない証拠です。

経営が上手く行っているのであれば、それだけ優秀な人材が揃っているはずで、任せられる人たちが経営メンバーに入っているということです。
ということは、事業が順調になっていけば行くほど、本来的にCEOは暇になるはずなので、採用に集中できるようになるはずです。
CEOが忙しすぎて面接すらできないのであれば、それは事業が上手く行っていないのと同義です。

それか、CEOが出しゃばり過ぎているのです🤔
事業家あるあるですが、人に任せることが苦手な人が多いので、何でもかんでも自分でやろうとしたり、不要なMTGを大量に生み出すことが多いです。

面接すらできなくなったら、相当危険な状態だと思ったほうが良いと思います。
CEOは、面接と経営会議をするだけのおじさんくらいでちょうどいいです。

社長!仕事してくださいよ!



(4)優秀でない人が辞める仕組みを整える


続いて、少しブラックな話をします。

組織の拡大を止められず、必要以上に肥大化してしまってからその危険に気づくということもよくあります。
間接部門割合が異常に高くなってから気づいたり、営業の一人当たり生産性(営業利益等)が低下してから気づいたりと、気づくタイミングは人それぞれですが、どこかでおかしいぞと気づきます。

その時点からでもできることがあります🙄

それが、優秀でない人が辞める仕組みを整えていくことです。

組織というものは、放っておけば必ず一部の人間がサボり始めます。
できる限り労力をかけずに給与だけはもらいたいと考える人が一部出てくるからです。
それは致し方ないことですし、どこの組織でも一定数は存在すると思います。

小規模ベンチャーの中には、人選が非常に上手く行って、全員が熱量高く仕事をしているという組織もあるのですが、規模が大きくなればなるほど、その熱量を維持することは困難になっていきます。

だからこそ、仕組みで解決せざるを得ません。

結果を出す人、努力をした人、会社に貢献した人に高い報酬を与え、努力も結果も出していない人にはそれ相応の報酬しか支払われないという制度を構築していくしかないです。

その結果、その組織に不向きな人材の居心地が徐々に悪くなっていきます。
組織のお荷物であるという自覚が芽生え始めたら、通常の精神ならその会社に留まりません。
自然減少していきます。

そうやって新陳代謝を高めることで、過度な組織拡大を抑制し、適性な規模に落ち着かせることができます。

それと同時に、優秀な人材に高い報酬が支払われるので、離職予防にもなります。

最悪のケースは、優秀な人材が安い報酬しかもらえず、努力も結果も出さない人間が高い報酬をもらうという不公平組織です。
急な拡大をした組織では意外と多いので、注意が必要です。

なぜこういう事が起こるのかというと、小規模ベンチャーの頃からいた社員というのは、いわゆるベンチャー価格で雇われています。
そのため、相対的に安い報酬のままです。

一方で、中途採用で入ってきた人たちは、前職の報酬を基準にして、そこに上乗せされた額で雇われるので、下手をすると同じ職種、同じ役割なのに200~300万円くらい差が出たりします。
それを良しとできる既存社員はほとんどいないでしょう。

そういう不公平を放置しておくと、優秀な人材から辞めていくので、早めに手を入れて、制度を整える必要があります。
既存社員を粗末にしていると、既存社員の優秀層から辞めていきます。

なる早で制度を整えないと、組織崩壊待ったなしです😰

給与は意外とバレる



(5)違和感を絶対に放置しない


最後に、とても重要な防止法があります。
それは、違和感を絶対に放置しないという方法です。

経営者も人間なので、忙しい状態だとついつい違和感を放置しがちです。

しかし、実務上、小さな違和感こそが健全な組織構築のヒントであることが多いと感じています。

特に経営者になろうというような人は、ビジネスにおける感覚が一般人より遥かに敏感で、優れています。
そういう人たちが抱く違和感は、ほぼ間違いなく正しいです。

直感に近いものだと思いますが、大体どこかに問題を抱えているから違和感を抱くのです。

だからこそ、それを放置してはいけません。

組織の中で「何かおかしい」「このまま行くとヤバそう」「大丈夫かな?」と感じたら、即動きましょう。
十中八九その部署は問題を抱えています。

下手をすると、マネージャーレベルでは気づけていないことも多いので、直接踏み込んで解決しておくべきです。

問題の芽がまだ小さいうちは、解決も容易です。
組織の問題が顕在化してしまってからでは、多くの問題が手遅れで、一旦壊すしかなくなります。

顕在化する前の小さな違和感を大切にしてください。

小さい芽を摘む!


おわりに

ということで、今日はベンチャーでよく起こる急拡大後の大量退職について、その原因やプロセス、防止法などを考察してみました。

ただの私見なので、間違っている見解も多いと思いますが、ベンチャーで働く皆さんの参考になれば幸いでございます。

なお、大量退職は、会社や従業員にとってメリットも多い事象なので、あながち全否定はできません。

大量退職を経て強固な組織が出来上がった会社も多いですし、大量退職時に上手に転職した結果、報酬が大幅に上がったという人材も多いです。
悪い側面ばかりではないので、自分(自社)にとってプラスになるように動ければそれで良いかと思います。

もし今、どこかのベンチャーで働いている人の会社で、大量退職が発生しそうだと感じたら、早めに転職サイトに登録して、案件を物色し始めましょう。
全員が辞める時期に辞めると、すでに「あの会社の人たちは危ない」なんて噂が流れていることもあるので、転職するなら早い方が良いです。

その際はぜひSYNCAを使ってください😁


ベンチャー企業の経営管理部門や専門職に特化した転職サイトなので、お役に立てるでしょう🙆‍♂️


では、また書きます。



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著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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