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【心理学30】カリスマの特徴(組織心理学、リーダーシップ論分野)

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はじめに

子供の頃にヒーローや戦隊モノに憧れたりしませんでした?
ドラゴンボールの孫悟空、ワンピースのルフィ、北斗の拳のケンシロウ、特捜ロボジャンパーソン!など。

誰も知らないだろうけど、ジャンパーソン憧れてました


それぞれの時代・世代のヒーローがいます。
そして、私達の日常生活においても、ビジネス、私生活、学校、どこの世界にもカリスマ性を有している人がいます。
数は多くないですが、1,000人に1人くらいはカリスマ的な人物がいると思います。

ビジネスの世界で日本でも有名な人といえば、スティーブ・ジョブズ、孫正義、松下幸之助、稲盛和夫、盛田昭夫、永守重信などが該当するかと思います。

組織心理学・組織行動論の分野では、こういったカリスマ経営者の特徴・特性を研究する分野があります😁
それが、リーダーシップ論という分野です。

1940年代から盛んに研究が進められているようですが、実際のところ、よくわかっていないというのが現状です。
でも、我々実務界に生きるビジネスマンの関心度は高い分野です。

そこで今日は、リーダーシップ論の中でも「カリスマの特徴」について簡単に解説させていただきます。
この要件さえ揃えばカリスマになれる!という立証がなされているわけではないですが、カリスマ性のあるリーダーには、そういう要素を備えている人が多いというのは事実だろうと思います。
ビジネス上の参考にしていただけたら嬉しいです😁



1.昔の研究

今は昔…1900年代初頭の話ですが、当時から「帝王学」のようなものが唱えられていて、カリスマ的な人物、経営者、政治家などの偉人になるためには、何らかの「資質」「特性」があるはずだと考えられていました。
ここでいう「資質」は、持って生まれた特徴のようなものです🤔

1940年代頃になってもその価値観は残っていて、当時の経営学(まだ経営学という名称ではなかった)でも、カリスマ的な人物、偉人、経営者、政治家などについては、何らかの資質があるはずだと考えられていて、その資質(持って生まれた特徴)とは何かという研究が行われていました。

例えば以下のような資質です。

・年齢
・容姿
・体格
・出身階級
・学歴
・出自
・生い立ち
・知性

などなど

上記の項目を見てわかるとおり、当時はカリスマ性やリーダーシップというものは持って生まれた才能だと考えられていたようで、今となっては果たしてそれらは「資質」といえるほどのものなのか?という疑問も湧きますが、当時は真剣に「偉人の資質」として研究されていたようです。

その後、1940年代後半になって、ストッグディル教授(R.Stogdill, オハイオ州立大学教授, 経営学・心理学)が、3,000を超える文献を研究して、カリスマ的な人たち(リーダーシップがある人たち)の客観的な資質を研究しました。

その結果、リーダーとしての成功に、ある程度関係していると思われる項目はあったものの、リーダーとそれ以外の人達に際立った資質(客観的特徴)の差は見られなかったという結論を出しました😁

つまり、見た目とか出身階級とかあまり関係ないかもという話です。
その後、リーダーとして成功するために関係がある要素についても、結局のところ因果関係や測定方法の確立が難しいので、限界があるという結論に至っています。


2.カリスマの特徴

その後もリーダーシップ論の研究は世界中で行われていて、性格的特徴があるのではないか?とか、行動に傾向があるのではないか?など、様々な視点から研究が進められている状態です。

その中で、私が面白いなと思った研究を一つ取り上げます。

それが、コンガー氏(Jay A Conger, クレアモント・マッケナ大学)カヌンゴ(Rabindra Kanungo, マギル大学)教授の研究です。


細かい話は省略しますが、この研究では、カリスマ的なリーダーシップを発揮する人物が、どのような行動的特徴を持っているかを心理テスト(尺度)で分析できないか?という試みでした。
アメリカとカナダにいる750名の管理職に対して心理テストを実施し、結果として以下のような要素が浮かび上がってきたそうです😁


・ビジョンの表明(Vision and articulation)
・環境に敏感(Environmental sensitivity)
・型破りな行動が多い(Unconventional behavior)
・リスクを好んで取る(Personal risk)
・メンバーのニーズに敏感(Sensitivity to member needs)


これを一つずつ全部丁寧に説明すると長くなってしまうので、簡単にですが説明していきます😁
なお、これから説明することは、上記の研究で明らかになったことではなく、彼らが作った尺度(心理テスト)に基づいて考えると、カリスマ性を有するリーダーの多くは、こういう傾向を持っているようだという仮説だと思ってください!



(1)ビジョンの表明


まず挙げられている特徴として、カリスマリーダーの多くが、自己のビジョンを明確に表明しているという点があります。
フォロワー(リーダーについていく人たち)を鼓舞するような組織的目標を全員に対して示す傾向が強いようです😁
映画でもよく見ますが、良きリーダーがやっていることですね!

その他、リーダーたちはフォロワーの意識を高める言動が多く、組織のメンバーとして活動することの重要性をフォロワーに対して説明し、フォロワーのモチベーションを高めます。
この際、フォロワーを熱狂させるような語り方で話す人が多いようで、話術にも長けています。

その上、組織の将来のために、新しいアイデアを継続的に生み出す傾向が強く、新たなビジネスチャンスを捉える敏感さも有しているのがカリスマリーダーの特徴です。
ビジネスチャンスを捉える能力に長けているからこそ、ビジョンを打ち出せるのでしょうね🤔

この時点でだいぶ天才肌の匂いがします。

し~んぱいないさ~!


(2)環境に敏感


続いて、カリスマ型リーダーは、自分が置かれている環境に敏感である点が挙げられています。
ここでいう環境とは、『内部環境』と『外部環境』を意味します。
内部環境とは、自組織の技術的・資源的・文化的な制約や自組織内にいるフォロワーの能力・スキルのことです。
カリスマリーダーは、これらを正確に認識する能力に長けています。

この特徴は極めて重要だと思います。

上記(1)で説明した「ビジョンの表明」は、言ってしまえば誰でもやろうと思えばできることです。

しかし、自組織の置かれている内部環境を正確に理解するのは普通の管理職にはできません。
自分の組織にしっかりと興味を持ち、その財務状況・技術力・能力・スキルなどに対して常日頃から気を配っていないと把握できないです。

そういうマメさがカリスマ的リーダーの特徴です。

これは納得感がある特徴だと思います😁
自分の上司が自分の能力について詳しく理解してくれているというのは部下にとっても嬉しいことです。

一方で外部環境については、市場動向・競合他社の趨勢などを意味するので、この点はビジネスマンであればある程度皆さん研究しているだろうと思います。

マメな上司は慕われる



(3)型破りな行動


こちらの特徴は、あまり関連性は強くないようですが、特徴としては挙げられていました。

具体的には、組織の目標を達成するために型にとらわれない行動に出ることや、組織の目標を達視するために従来の方法にとらわれないことフォロワーを驚かせるようなユニークな行動をしばしばとることなどが項目として挙げられています。

確かに、カリスマ性の高い人というのは、人が思いつけないような方法で目標を達成したりするので、特徴としては納得できます。
ただ、それが成功にとって必須かといわれると少し疑問が残ります。
現に、後の研究でも型破りな行動が結果に結びついているかという点については関連性は薄いという結果が出ているようです。

後述しますが、この特徴はおそらく「諦めが悪い」ことの結果です。
多くの経営者が諦めが悪いタイプが多いので、結果的に型破りな行動になってしまっているだけだと思います。
そのため、あまり意味のない型破りな行動・破天荒な言動を意味するものではありません。
それはただの黒歴史です。

コガネムシになりたかった黒歴史


(4)リスクを好んで取る


カリスマリーダーたちに限らず、成功者の多くは原則としてリスクを取っています。
しかも、自ら進んでリスクを取りに行きます。
高いリスクを取るからこそ、高いリターンが得られます。
その賭けに勝てば、晴れて成功者です。

優れたカリスマリーダーたちは、組織目的のために個人的なリスクを取る傾向があります。
カリスマリーダーたちは、自分にとってある程度不利になるようなリスクであっても、組織のために高い個人的負担を背負って行動します。
ここがおそらくフォロワーから尊敬される点なのでしょう。

私は慎重な性格なので基本的にはリスクを避ける傾向が強いです。
自分で背負えるリスクをある程度決めていて、それ以下のリスクになるまで何年も待つ傾向があります🤣
それゆえ、成功度合いもミドルリスク・ミドルリターンという感じ。

一方で、私が知る経営者の皆様は、通常では考えられないほど大きなリスクを気軽な感じで取っています。
WARCの創業者である山本さんもその一人だと思います。
私から見ると「え?🙄それ大丈夫!?」と思うようなリスクも笑いながら取っています。

良い意味で、ネジが飛んでいる感じがします。

その他の経営者の皆さんも、事業として借り入れをする際、億単位の借金の連帯保証人なのにサクッと引受けます。
感覚が麻痺しているだけかもしれませんが、そういう麻痺ができる異常性がカリスマの特徴なのだろうと思います。

先日、とある創業者の方が笑いながら仰っておりました。

「最初の1回目の借金は1,000万円くらいだったんだけど、死ぬほど緊張して手が震えて印鑑押すの3回ミスった。でも、今は10億くらい借金あるから今更いくら借金が増えてもどうでもいい」

だそうです。
人間は慣れるんでしょうね。

これを逆に考えると、早い段階で借金に慣れてしまっていれば、カリスマ性が養われるともいえますね。
絶対にオススメはしませんけども!

借金は怖い



(5)メンバーのニーズに敏感


最後の特徴として、メンバーのニーズ(感情など)に敏感である点が挙げられています。

具体的には、メンバー(フォロワー)の感情に対して、個人的な関心を持っていることをしっかりと伝えて、実際にそれらの感情、ニーズに応えようという活動を行う傾向が強いようです。

このようなリーダーがいれば、部下と上司で相互に好意を抱く関係性が構築されていき、良いチームが出来上がるのでしょう。

これも納得感がある特徴です。

良きリーダー



3.カリスマリーダーになるには

上記のとおり、カリスマ性を持ったリーダーたちは、以下のような特徴を持っているようです。

・ビジョンを表明する
・環境に敏感
・型破りな行動が多い
・リスクを好んで取る
・メンバーのニーズに敏感

ということは、これらの特徴を日頃から行動として習慣化し続けていれば、良きリーダーに近づくのではないかと考えられます。

もちろん、上記の5つの要素はただの特徴なので、仮にその5つをすべて有していてもカリスマ性がない人だって存在します。
しかし、少なくとも今よりはカリスマに近づくと思います。
それに、いずれの特徴も行動で習慣化しても別に損はないはずなので、管理職や経営層を目指す若手の皆様は、日頃から上記の要素を意識する程度のことはやっておいてもよいのではないかと思います。


そこでまずは、ビジョンを表明し慣れるところからスタートしましょう😁
管理職や経営層の重要な役割の一つに、未来(ゴール)を示すという点が挙げられます。
このゴールこそがビジョンであり、自分の目指している理想像です。
リーダーになると、それを外部に表明し、共感を得ないといけません。
その共感の輪が広がることでチームが強固ないしは大きくなっていきます。

しかし、この「外部に表明」するという点が実は難しいのです。
自分の夢や理想を語るって普通はなかなかしないじゃないですか😱
なんか恥ずかしいし、下手すると痛い人ですからね…

だからこそ、日頃から少しずつ未来を語る習慣をつけておくべきです。
そういう習慣が周りの認識を変えていきます。
「この人は結構未来を語るタイプの人」という認識が広がれば、周りが勝手に受け入れてくれるようになります。


ただ、このときに「内部環境」及び「外部環境」に配慮しないといけません。
自分の能力、周りの人間の能力、市場の状態等を完全に無視した夢を語っても、誰も聞いてくれません。
私が「これから努力してSnowManに入るわ」と言い出したら笑われるのと同じです。
しっかりと内部環境・外部環境を理解し、実現可能性があることを語らないといけません。
これも日頃から情報収集をして、周りに気を配っていないとできないことです。
こういう習慣も若いうちから身につけておきたいところです。


一方で、型破りな行動については無理をしてまで行う必要はないと思っています。
自ら進んで型破りな行動をしようとするよりは、単に「目の前の問題から極力逃げない」ということを習慣化した方が良いと思います。

カリスマ性を有するリーダーたちの多くは、たしかに破天荒に見えたり、型破りな行動をしているように見えるときがあります。
しかし、実際に経営者の皆さんを観察していると、破天荒・型破りという印象は、諦めが悪い性格に起因しているということがわかってきます。

彼らの多くは、目の前の課題から全然逃げません🙄
普通なら諦める(べき)ところで、更にもう一歩踏み込んで解決を試みます。
その行動が世間一般から見ると破天荒に見えたり、型破りな行動に見えたりするだけです。

それが仇となることも多いのですが、10回に1回くらい大きなリターンを獲得します。
そのリターンが大きいからこそ彼らはどんどん諦めが悪くなっていきます(笑)

そのため、もし良きリーダーになりたいと思うのであれば、最初から型破りな行動を目指すのではなく、目の前の問題にもう一歩踏み込んで、課題を解決しようとしてみることをオススメします。
その一歩が確実に自分を成長させてくれると思います。


次に、リスクを好んで取るという特徴については、一歩間違うとギャンブラーになってしまうので注意が必要だと思います。
経営者の皆様は、単にリスクを取っているのではなく、リスクの大きさを認識した上で、あえて取っています。
自分の理解が及ばない領域のリスクはけして取りません。
ここが極めて重要です。

自分で許容できるリスクの幅を理解しているからこそできることなので、日頃からどの程度のリスクがあるのかを分析する癖をつけておくと良いと思います。
経済的・精神的にどの程度の損失を被るおそれがあるのか、そして、仮に今回の機会を見送った場合にどの程度の機会損失が生まれるのか、日頃から考える癖をつけておくと、いざ大きなチャンスが来たときにリスクを取りやすくなります。


最後に、メンバーのニーズに関しては、上述した「内部環境」の中に含まれると思うので、改めて追加でお伝えすることは少ないです。
日頃から自組織の構成員に対し関心を払い、メンバーが現在どういう心理状況なのかという点を把握しようと努めていれば、おそらくあまり困ることはないだろうと思います。

組織のメンバーのことを日々観察していると、誰がいつ頃辞めそうかというのもある程度予想がつくようになります。
組織というものは大抵優秀な人間から辞めていくものなので、優秀な人材の精神状態には特に注意を払っておく必要があります。

そして、一人の優秀な人材が辞めることで芋づる式に退職者が増えることがあるので、少しでもリスクを感じたら、その人とのコミュニケーションを増やすべきです。
コミュニケーションを通じてその人がどういう点に不満を感じているかを把握し、その不満の解決のために自分に何ができるかを考え、提案する習慣を持っておくと良いかと思います。
良きリーダーは自組織のコアメンバーに対する関心が非常に高いので、日頃から他人に興味を持つ習慣を身に着けておくと良きリーダーに近づいていくと思います😁



おわりに

今日は珍しくリーダーシップ論の分野を扱いましたが、参考になりましたでしょうか。
組織開発や組織の健全性維持のために、心理学やリーダーシップ論の理論を上手に活用いただければ嬉しいです。

組織マネジメントは人の心を扱う分野なので、大変難しく、正解もわかりにくい(存在しないかもしれません)と思います。
そこで、現時点までの研究で明らかになっていること、有益だと思われる仮説などを駆使して運営してみると上手くいくかもしれません。
少なくとも、何らかの施策を考えるヒントにはなると思います。

学問と実務を上手に融合させて、ぜひ実証研究をしてみてください。

それではまた次回!


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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