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息子に紡ぐ物語

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1男1女の子供を持つ平凡なサラリーマンと、父で作家の「長谷部さかな」は、不思議なキッカケから毎日メールをやりとりすることに。岡山県の山奥にある見渡す限りの土地や山々はどのように手…
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2021年11月の記事一覧

【88日目】ふゆ物語

【88日目】ふゆ物語

ご隠居からのメール:【ふゆ物語】

いくらなんでも五歳の娘が出産するはずがないと思って、信谷家の戸籍をじっくり点検した。字がかすれていて正しい読み方がわかりにくいね。

肝心のふゆさんの生年月日は「安政六年六月八日」と以前に書いたが、これでは「元治元年三月八日」に安次郎さんを生んだことになる。そんなはずはないと思った。安政六年は誤読で、正しくは文政十年ではなかろうか。それなら西暦で1827年で、

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■【より道‐29】人は死ねども刀は残る_白虎隊の脇差②

■【より道‐29】人は死ねども刀は残る_白虎隊の脇差②

ファミリーヒストリーを通じて、日本の近代史を学んでいくと色んな出来事が全てつながっているんだなとつくづく思う。いままでは、その時代、その時期、その出来事ごとについて学んできた。

「明治維新」「戊辰戦争」「西南戦争」「日清戦争」「日露戦争」「満州事変」「日中戦争」「ノモンハン戦争」「太平洋戦争」

特に、GHQからの敗戦教育を受けた我々団塊ジュニア世代は、『日本は悪い国、真珠湾攻撃で「太平洋戦争」

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【87日目】歴史の空白

【87日目】歴史の空白

ご隠居からのメール:【歴史の空白】

三井財閥の益田孝は佐渡出身で出雲益田藩とは関係がない。では益田氏は消滅したかというと、どっこいDNAはどこかに生きている。成功者の有名人がいないからめだたないだけだ。萩の長谷部氏や出雲松田氏も同様。

高瀬の長谷部氏の古墓地には尼子の落人と呼ばれる大きな岩のような苔むす墓石があった。今は古墓地と新墓地がいっしょになってどの石が誰の墓かもわからなくなっている。

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【86日目】原敬

【86日目】原敬

ご隠居からのメール:【原敬】

原敬の生没年は1856(安政3)~1921年(大正10年)で、大正7年(1918年)に総理大臣に就任した。 大正10年(1921年)11月4日、東京駅丸の内南口コンコースにて、中岡艮一に襲撃され、殺害された。満65歳没。墓所は岩手県盛岡市の大慈寺。

盛岡藩・盛岡城外の本宮村で盛岡藩士・原直治の次男として生まれた。 幼名は健次郎。 原家は祖父・直記が藩の家老職を務

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【85日目】豊島陽蔵

【85日目】豊島陽蔵

ご隠居からのメール:【豊島陽蔵】

豊島陽蔵さんの情報は初耳だ。貴重な情報をありがとう。経歴を知って驚いた。嘉永五年生まれということは喜代太郎さんが嘉永三年生まれだから、ほぼ同年代ということになるが、喜代太郎さんは金鵄勲章も藍綬褒賞も貰っていない。そもそも、日清戦争や日露戦争のために出征もしていたかどうかもわからない。

おかげで徹さんが、随筆「尼子の落人」を読んで、「家柄を自慢しているね」と皮

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■【より道‐28】人は死ねども刀は残る_白虎隊の脇差①

■【より道‐28】人は死ねども刀は残る_白虎隊の脇差①

父の親族関係を紐解いていくと色んな人物が登場するのでいつも頭のなかが混乱してしまう。でも、父の親友でもある従兄弟の徹さんが亡くなったことをきっかけに、ファミリーヒストリーを探究する身となったからには、そうもいってられない。

父の母、自分のお祖母ちゃんには兄と4人の妹、そして弟がいた。残念ながらお祖母ちゃんは、父が1歳のときに中国の張家口で亡くなってしまったが、お祖母ちゃんの兄弟姉妹たちは父のその

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【84日目】私小説

【84日目】私小説

ご隠居からのメール:【私小説】

>いままでは、成功者しか書くものではなかったが、
>現在は、自分みたいに、ブログで残せるし

>だから、80年後の子孫たちが、
>ご隠居の「尼子の落人」を読んで
>人生の糧にする可能性は大いにあるよね。

わかった。だが、やはりブログよりも紙のほうが読みやすい。それなら、「山椒魚の故郷」「方谷塾入門」の他に、「尼子の落人」も本のかたちにして子孫のために残しておいた

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【83日目】2100年の人口予想

【83日目】2100年の人口予想

ご隠居からのメール:【2100年の人口予測】

2100年には日本の人口は6千万人にまで減少するのか。そうなると、お家断絶が続出してファミリーヒストリーの物語の多くは消え失せるだろう。その予測があたるかどうかわからないが、2021年の現在でもファミリーヒストリーはほとんど存在しない。われわれは父母のことも祖父母のこともほとんど知らないからだ。

たとえば、生母の名前が貴美か貴美子かということさえ

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【82日目】価値観の違い

【82日目】価値観の違い

ご隠居からのメール:【価値観の違い】

GHQがファミリーヒストリーのいい伝えを無くそうとする試みが、自由主義や個人主義だったのかというと、Yesであり、また、Noであると思う。

Yesというのは、民主主義、自由主義という欧米の価値観に対して、天皇制という日本の価値観を崩そうとGHQが試みたからだ。その試みは成功したが、一般家族の価値観までも破壊する副作用をともなっていた。これはNoという反応に

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■【より道-27】結婚式の演出

■【より道-27】結婚式の演出

2008年大好きな女性と結婚した。彼女のお腹には新しい命が宿っていたので、運命の人との出会いと、子孫が未来につながったことをご先祖様に報告しようと思い、お互いの両親には内緒で岡山県と広島県にある父と母の故郷へ向かうことにした。

ふたりの父や母の故郷は、神奈川県、広島県広島市の横川、岡山県新見市の釜村と高瀬で、一番遠いところだと東京から6時間以上かかる場所にご先祖様のお墓がある。幼いころの記憶をた

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【81日目】ふりかえってみると

【81日目】ふりかえってみると

ご隠居からのメール:【ふりかえってみると】

ふりかえってみると、花嫁さんとの人前結婚式で披露したサプライズ・ビデオメッセージがファミリーヒストリーの原点だね。それから十数年後に同じカップルがタイムトリップをはじめる。旅を重ねていくうちに、断片的な出来事の点がつながって線になり、さらに面になっていくというストーリーか?

昭和二十年以前の日本人は結婚するにしても、個人の意志などはほとんど配慮されな

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【80日目】フィクションの世界

【80日目】フィクションの世界

ご隠居からのメール:【フィクションの世界】

できたら長谷部元信、出雲松田氏、安芸井上氏のフィクションの物語を書いてみたいとのこと、三人に共通するのは毛利元就や山中鹿之助ほどには有名人ではないこと、及び、歴史的事実が少ないことで、したがってフィクションの要素が大きくなることだ。

作者は面白いと思っても、読み手は三人のDNAを引き継いでいるとはかぎらない。そんな読み手がおもしろおかしく読んでくれる

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【79日目】風化

【79日目】風化

ご隠居からのメール:【風化】

墓石はまだ消滅してはいないが、風化している。記憶も風化するのだろう。それを防ぐために、御先祖様はお盆の墓参りという文化を残したが、住人がいなくなってしまうと、墓参りもしなくなる。体力的にも経済的にもできなくなる。随筆『尼子の落人』ではそのようにはっきりとは書いてはいないが、気持ちは伝えているつもりだ。

信谷治恵さんはおそらく先祖からの暗示を伝えるためにわざわざ電話

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■【より道‐26】千鳥ケ淵戦没者墓苑と吹き抜ける空

■【より道‐26】千鳥ケ淵戦没者墓苑と吹き抜ける空

年齢を重なるにつれて、いくら運動しても痩せなくなってきた。食事を制限したとしてもちょっと気を抜くとお腹がポッコリでてくる。長年のデスクワークとうつむきながら歩くクセが猫背となり、首に深い3本くらいのシワができた。

目じりには笑いシワがくっきりのこり、ほうれい線が目立つようになった。腕は垂直にあげられず四十肩に苦しみ白髪も増えた。髪の毛が薄くなってきたので、皮膚科に行ってプロペシアという薬を飲み、

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