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夢と現実の間

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#コラム

吸い殻

彼女が残した吸い殻を思わず、写真に撮った。

僕が吸っていた銘柄とはまたちがう彼女の煙草。

そこに彼女が確かに存在したことをのこしたくて、写真を撮った。

その数ヶ月後、彼女は別の男のところへいった。

その頃にはもう覚悟していたのもあって、そこまでつらくはなかった。

ただ涙がもう枯れていただけかもしれない。

しあわせになってくれればいい。

そんなふうに自分に言い聞かせて。

最後に残った

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おひるねびより

おひるねびより、そんな名前の花があったら買いたい気分。外の空気を吸った日はよくねむれるきがする。このすこしばかり存在感をアピールしてくる腰痛さんとも長い付き合いになったなぁ、気持ちだけはおじいちゃん家の縁側で。

名前もしらない花に名前をつけよう。

おひるねさん、添い寝しませんか。

りんご

よく僕は悩んだり、迷ったりしたら

りんごを買う。

普通にすきでよく食べるんだけど

そうではなくて

僕の原点がりんごなんです。

小さなころ、絵の教室で先生は美大出身のおばあちゃん。生徒は4人。

テーブルの真ん中にりんごを置いて、それを子ども4人がそれぞれ絵を描く。

りんごというとこれというぐらい決まった画角や向きが存在しているのだけど

4人はそれぞれ自分が座った席から見えた自分のりん

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ぬくもり

あたたかいものに触れずに育つとじぶんの体がつめたいことなんて知らずに大きくなる。

一度でもあたたかいものに触れると、なぜだか知らないが涙がでて、じぶんは人間だったんだと思い知る。

そしてあたたかいものを知った体は、つめたいままでは満足できない体になってしまう。

それがいいのかわるいのかはわからない。

いちど知ってしまったぬくもりを求めつづけてしまう。

それが人間というものなのかもしれない

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最も美(かな)しい記念の小説を書くつもりです。

太宰治さんが小説「斜陽」のモデルとされる愛人の太田静子さんにおくった手紙にこう書いていた。

美しいをかなしいとルビをふる。
かなしさ。そこに美しさを見出し、表現する。

太宰治さんの小説は正直何冊かしか読んだことがないのだけど、太宰治さんと酌み交わせたら楽しかっただろうなと妄想したことはある。

恐れ多いけれど、どこか似ている部分があるなと思っている。

だからか、作品に触れるのを躊躇していた時

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えすえぬえす

友達の名前が出てきて、何かあったのかと思ったら別にそんなこともなくて、心臓にわるい。自由気ままに一方的に発信して、調子が良い時にすきなひとたちのところを訪れる。それぐらいの付き合い方が一番いい。えすえぬえすってやつは。

昨今はかなしい事件も多いし、結婚という言葉や不倫というワードも飛び交っている。

えすえぬえすってやつから距離をとっているので、友人が結婚したとかそういう話は、共通の友人経由で聞

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うんこ

芸術は爆発だ。
と岡本太郎さんは言った。

溜め込んで我慢することは悪いことだとよくいう。
確かに体にとっては悪いこともあるかもしれない。

最近、僕は人間って水をどれだけ美味しく飲めるかが人生の醍醐味なのかもしれないと思っている。
たくさん運動して、汗をかいて、水を欲して、やっと飲めたときの感動。
あの美味しさは我慢をしてない人間は味わえない。
同じ水でもそれをどれだけ美味しく飲めるか。
そこが

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