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家具の物語

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工房へ届く修復される家具たちの物語。同じものがひとつもないアンティーク家具の世界は深い!
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#家具修復

遂にギターのリノベに挑戦

遂にギターのリノベに挑戦

これは確か去年の年末の話。
最近あまりにも仕事の事を書いてないのでまとめてアップしておきます。

リノベーション途中で座礁したギターを
「何してもいいから!センスを信じてるから!」って友達に託されました。
それって猛烈にプレッシャーなんですけど😂

でも同時にめっちゃ燃えます🔥

工房の向かいのマンションの中庭のお手入れに来る庭師・エマヌエル。
同い年の彼はファンクミュージックを奏でるバンドマ

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お宝出てきた。Jacob & Josef  Kohn

お宝出てきた。Jacob & Josef Kohn

曲木の椅子でよく知られているのはトーネット社。
この名前は世界で曲木の椅子の代名詞として知られています。
無垢材を蒸気で曲げて大量生産できるタイプの椅子で、
座面の多くは籐を編んだものでできていることが多いのが特徴でもあります。

曲木技術は座面の縁、背や脚と全てのパーツに見られることもありますが
そこから派生して
座面のみ、または座面と脚のみ、など、いろんなデザインを可能にした技術です。

修復

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モデルニスモ・マダム

モデルニスモ・マダム

新しいお客様が来る時の一番嬉しいきっかけは、すでにお仕事頂いたお客様からのお薦めという口コミ。

今回も工房オープン当時からお付き合いのあるお客様・ラモンからの紹介です。

ラモンとの馴れ初めはこちら↓

新しいお客様はラモンの相方、アルベルトの幼馴染のお客様・クリスティーナ。

幼稚園の先生をしているとっても朗らかな人です。

クリスティーナのおじいさんの家だった大きなお家を親戚で分担してリフォ

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自分に修復プレゼント

自分に修復プレゼント

このタイプのロッキングチェア
昔から好きで
いつか自分用に欲しかった‼️
そしてついにゲット✌🏼

何脚かすでに修復したことあるんですけど
自分だったらこんな布張るな〜とか
木の仕上げはこうしたいな〜とか
思っていたのが遂にできるぞ✌🏼

暗かった色を明るいトーンに
布張りは北欧スタイルなテキスタイルを張ろうと思っていたけれど、
たまたま手元にあった素材がビビっと来たので試してみました。
好き

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ツートン家具、納戸からよみがえる

ツートン家具、納戸からよみがえる

家にあるのは知っていたけどいつしか忘れられかけていた家具。そんな家具ありませんか?

こちらはお客様の納戸にしまってあった、途中まで修復仕掛けたけどいつしか忘れられていた家具です。無垢材で重さもあってしっかりと作られた立派なものですが中途な状態なので使えないまま。
乾き切って落ちかけたダークな仕上げがますます悲しげです。

幸運にも持ち主が我が工房のシンボルであるツインカラーのビッグキャビネットを

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60個のボタンに込めた姉妹愛

60個のボタンに込めた姉妹愛

ウベコ工房が気に入ってるアイデアの中に、縮緬端切れで作ったくるみボタンがあります。

チェスター風に椅子を張ったりする時のボタンにしようと思いつき、デニム地にこの色華やかなくるみボタンを合わせてみたりしてます。

ちりめんくるみボタンでデニム張ったチェアのエピソードはこちら↓

その時に余った素材で小さな額を作り、サンプル感覚で店に飾ってあります。

ある日、それを見たお客様が飛び込んできて、

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おばあちゃん集会でロッキングチェア

おばあちゃん集会でロッキングチェア

嬉しい再会がありました。
かわいい憧れのおばあちゃん・ウルスラがまた工房に来てくれました。

ジブリ実写版なおばあちゃんとの出会いはこちら⤵︎

今回は
ロッキングチェアを探していると言う問い合わせ。

この仕事をしていると時々こんなことが起こるんですが、
実はこの日の午前中、
要らなくなったので家具の引き取り手を探していると言う男性が来たところで、
その家具の中にロッキングチェアがあったのです!

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2m20cm、150歳、工房史上最大サイズ 

2m20cm、150歳、工房史上最大サイズ 

市の遺産になっているお家の家具修復の回顧録です。
このお家の一番の年長者はこちらの記事にも買いた150年越の書斎キャビネットでした。

詳しいお話はこちら。

が、

もうひとつ、多少パーツが足りていないものの同じくらいの年長者がいます。
それが高さ2m20cmのこちら。

すでに何回も手を加えられた様子が見られます。
虫喰い処理はもう数回されているみたいだし(穴を埋めてあるパテの色にいろいろ違い

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ペンキの種類と仕上げのコツもまとめてみました。

ペンキの種類と仕上げのコツもまとめてみました。

もともとは修業時代から家具は修復するものとして学んできたんですが

ペイントをするかどうか修復屋のジレンマについてはこちら↓

近年、ヴィンテージブームのようなものが始まって
(このヴィンテージっていう言葉、マーケティング的に便利なんだよね。笑)
シャビー、プロバンスという南仏の田舎のおうちにあるようなスタイルに仕上げるというのが大流行し始めました。

それに伴い、かの有名なチョークペイント、をは

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修復屋のジレンマ。ペイント?修理?修復?

修復屋のジレンマ。ペイント?修理?修復?

家具修理工房で修業時代、
師匠フリアはいつも家具のペイントについてケチョンケチョンに言ってました。
あんなことをしたら木目が日の目を見れなくなって台無しだわ!と。
当時は古い家具に対してペイントするというのがマイナーな、というか粗々しい解決策という定義が普通でした。
今ほどペンキの種類もなかったし、
古い家具そのものに人々は興味を示してなかったんです。
もちろん一部のアンティーク、高級家具を持って

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自分にしかできない仕事・魔女の宅急便に教えてもらった見つけ方 ウベコ工房自己紹介

自分にしかできない仕事・魔女の宅急便に教えてもらった見つけ方 ウベコ工房自己紹介

私は現在、スペイン・バルセロナの郊外の小さな町でアンティーク家具の修復工房を運営しています。
工房をオープンして一年が経ち、少しずつ町にも馴染み、お客さんも増えてきました。
スペインで暮らすようになって今年で19年。
40歳でやっと「これが私の仕事」と心から言える仕事を得ました。
これまでにも様々な仕事を日本やスペインで経験してきましたが
今感じている、「これ!」という感覚は一度も感じたことはあり

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孔雀の魔除け椅子。玄関に是非。

孔雀の魔除け椅子。玄関に是非。

ウベコ工房の活動の一環としてリサイクルアート、と言っては申し訳ないくらいのクオリティの着物を使ったミックスカルチャープロジェクトがあります。日本の箪笥で眠っているたくさんの着物に別大陸で活躍の場を見つけるというものです。

着物を着るものとしてだけでなく、インテリアのなかに日本文化のカケラとして楽しんでもらえるといいな、と考えて生まれたのがそもそもの着物椅子プロジェクトです。

海外に着物ファンは

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16世紀のおうち

16世紀のおうち

お仕事の話というのは一体ぜんたいどういうことで私の元へ舞い込んでくるのか。
InstagramなどSNSは多少利用しているけれど
どちらかと言うと備忘録・ポートフォリオ的に使っている感じで集客活動というのはほとんどしていません。
物理的にオンラインでできるような仕事ではないので、オフラインの地域密着式の方がお仕事は入りやすいです。
Instagramで問い合わせてくれてもアルゼンチンからの問い合わ

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初仕事・ベビーベッド

初仕事・ベビーベッド

我が工房TallerUBEKOの記念すべき最初のお客様のお話です。

オープンする前からいろんな人が訪ねてきてくれましたが
正式に仕事を依頼してくれた初めてのお客様は
中学校で音楽の先生をしているモンセでした。

パッと見た時、あ、この人知ってる、って思ったくらい
わたしの親戚のおばさんに似ています。
日本人とスペイン人でも
あ、似てるって思う人いるんです。

親戚のおばさんは白髪混じりのショート

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