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感情を「取り戻す」ためのマインドフルネス



この記事は、何をやっても楽しくない、幸せな想像ができない、感情が薄くて何も感じない、そんな人が自分の心を取り戻すためのやり方です。

もちろん自分の体験をもとに書いています。

マインドフルネスの考え方・実践法そのものを知りたい方は、
以下の記事に飛んで、自分に合った解説を読んでください。

また、この記事で扱うものは基本的に、

に書いた、視覚や音楽や食事といった五感を使う実践法に適しています。

ですが、全く初めての人が、下記の記事でオススメしたガイダンス付き瞑想から始める場合も、とても有用なヒントになると思います。


「感情は胸にある」と思い込む

感情を取り戻すコツはこれです。

感情が発生する場所は脳でもないし、五感の受信器にすぎない目・耳・鼻などでもありません。

そう思い込んでマインドフルネスを実践しましょう。

具体的に説明します。

これまで、視覚を使った瞑想や音楽を使ったマインドフルネス、食事を使う方法など、いろいろ解説してきました。

その実践の際に、意識を置く場所を変えるのです。

人は通常、何かを「聴きとろう」「細かく観察しよう」と思うときに、メインで使う器官の目や耳に意識が持っていかれがちです。

そうではなく、目も耳も鼻も口もすべて胸の中心にあり、音や光やその他すべてのものは胸で感じ取っている、と強く思い込んでください。

科学的に言うと、感覚・感情は、五感の情報が目や耳などから入りこみ、神経から脳に伝わって生まれますが、その正体は身体中の深部にある筋肉のものすごく微妙な震えです。

特に感情の大部分は胸の位置に集中します。

だから「胸に刺さる」とか「胸が痛い」といった表現があるのです。

またヨガの世界には、身体の中心線に沿って7つの「チャクラ」があり、胸の中心のチャクラは愛や感情を司るという考え方をします。

科学的な話はさておき、大事なのは強く思い込むことです。

実際、「マインドフルネス実践(うつ状態・依存症・基礎編)」で紹介したスマホアプリにも、「足の先から息を吸って、頭のてっぺんから吐く」という瞑想があります。

呼吸をしながらそう思い込むことで、身体全体の感覚が研ぎ澄まされ、神経伝達物質の代謝が促されるわけです。

「音や光や五感の情報は目や耳でなく胸から入ってくる」

そう思い込んでマインドフルネスをすることで、リラックス感や安心感が増し、日常生活においてもちょっとしたことで感動する瞬間が増えていきます。

僕の場合は「音楽をかけて、特定の楽器の音だけを聞き続ける」というマインドフルネスをやっていますが、ある時から無意識にこの感じ方をしていたようです。

行っている途中に一度「音楽でこんなに心が揺れるのか!」と驚いたことがあります。

しかし瞑想(?)が終わると、不思議と静かな気持に戻り「ああ、楽しかったなぁ」と、日常へ帰っていったのでした。

以前の僕は、音がないと心がザワザワして、家で一人でいるときは何でもいいから音楽を流す、ということをやっていました。

ですが、その経験をしてから徐々に「今はこの曲が聴きたいな」「今の気分はコレ一択だな」というふうにパッと思いつくようになりました。

自分の心がいま何を思っているか認識できる。

感情がない人はこの世に存在しません。
感情豊かというのはそういう事なのです。

「思い込み」は現実を動かすか?

合気道

話はそれますが、合気道や古武術の世界に「足を踏んづけて動きを封じる」という技があります。

これは体重が軽いと役に立たない技のように思いますが、実際僕は自分より15キロ軽い人にこれをやられ、まったく身動きが取れなくなったことがあります。

以前、建築現場で働いていた時の親方が古武術をたしなんでいたのです。

僕は驚いて、どうやったのかを聞きました。

いわく、寸分の狂いもなく真下に体重をかければ、力がまったく分散しないので、結構な体重差があっても動きを封じられるそうです。

しかしそんなミリ単位のコントロールは、ものすごく繊細な運動神経がないとできません。

が、親方は言いました。
「簡単だよ。技をかける瞬間に自分は岩だ、と思い込むだけだ」

僕はハッとしました。確かに岩なら寸分の狂いなく真下に落ちます。

マインドフルネスの考え方は、勝手に浮かんでくるネガティブ思考について、あえてコントロールを放棄することで逆にコントロールを可能にする、ということです。

これは、コントロールを放棄することで逆に身体をコントロールする、身体版マインドフルネスと言えるでしょう。

もちろん、「さあ今から思い込もう!」と思っても、すぐに思い込めるものではありません。

その人もある程度修行してこの技を習得したのです。
(ただし、それ一本で何十年やってきた達人ではありません)

「思い込む練習」が現実を動かす

よく自己啓発書のタイトルなどで「イメージしたことは実現する」という考え方を目にすることがあります。

かなり胡散臭いあおり文句ですが、半分は本当のことだと思います。

何かを習慣化すると、つい無意識にそれをやってしまうことは誰にでもあります。

僕は外出するときにスマホをズボンの右の尻ポケットに入れます。
それが癖になっていて、左に入れるとなぜか違和感があります。

そのように、感じ方(意識を置く場所・対象)を習慣化すると、無意識のうちに感じ方自体が変わってきます。

これを上のあおり文句で考えると、イメージする習慣を身につけると、その達成に沿う選択を無意識にしてしまうようになるのです。

(ちなみにニューロフィードバックという発達障害/精神疾患の治療法には、脳波を最適化してこのイメージトレーニングを行うというメニューがあります)

1時間後でも明日でも、近い未来の幸せをリアルに想像して、そのために今できることをしていく。

感情豊かな人というのはそういう人です。

いま気力がわかず、何をしても感じない、何も想像できない人は、マインドフルネスをするときに「音や光は胸で感じる」と思い込んでください。

自分に合ったやり方で習慣化できれば、必ず失われた心を取り戻せるはずです。

さまざまなことに気がついて、そこかしこに小さな感動を見つけることができるようになります。

そしてそこら中に転がっている幸せになるチャンスに、きっと気づけるようになります。


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