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ツキノエッセイ

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なにげない日常だったり、ふらりと立ち寄った過去や、ふと思い出した記憶を拾い集めて、言葉の花束にしてみたい。 切り取ったシーンをそのままに ノンフィクションを始めてみる。 人生…
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#日記

曇りガラスの記憶

曇りガラスの記憶

今日はふと、
父のことを考えていた。

長年、自動車業会で働いていた父。
三年前に定年退職し、
今は再婚した奥さんの実家の神戸で
タクシー運転手をしている。

言葉数は少なく、
いつも穏やかで優しい人。
怒られたことは一度もないし、
怒っているところを見たこともない。
とは言っても、
父とは生まれてから9年しか
一緒に暮らしていないから、
もっと長く一緒にいられたら…
もしかしたら、
怒られること

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魂のかたわれ

魂のかたわれ

窓を開けると、一気にもわりとした残暑の空気が流れ込む。湿度をたっぷりと含んでいてしっとりと身体に張りついてくる。

目をつぶってゆっくりと息を吸い込んだ。
忙しい日々に追われるとすぐに呼吸が浅くなってしまう。

時間の通り過ぎる早さに時々眩暈がした。

あの人と会えなくなってから、もう二年という月日が過ぎようとしている。

どうやら今日は午後から雨になるらしい。
空は、薄い青と灰色のグラデーション

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泣けないわたし

泣けないわたし

湿った薄灰色の空のにおい

ちょっとだけ強気な風が通りすぎる

午後はものすごーく、眠くて
ほんの少しだけうとうとした。。

色のない夢を見た

内容はあまり覚えてないけど、
小さなわたしが泣いている夢だった

わたしは、昔から
泣いちゃいけない。って思っていて
気づいたら、
泣くことができない人間になってた

嬉しくても
悲しくても
痛くても
怖くても

人前では絶対に泣かなかった

我慢強い子

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