魂のかたわれ
窓を開けると、一気にもわりとした残暑の空気が流れ込む。湿度をたっぷりと含んでいてしっとりと身体に張りついてくる。
目をつぶってゆっくりと息を吸い込んだ。
忙しい日々に追われるとすぐに呼吸が浅くなってしまう。
時間の通り過ぎる早さに時々眩暈がした。
あの人と会えなくなってから、もう二年という月日が過ぎようとしている。
どうやら今日は午後から雨になるらしい。
空は、薄い青と灰色のグラデーション。いつ降ってもおかしくない。
また、あの人の夢をみた。
初めて会ったときから、ずっとずっと昔から知っているような、なんだか懐かしくもあるそんな感覚をくれた人だった。
深く澄んだ声と柔らかなまなざしは、私の胸をいつもじんわりと温くしてくれた。
もう一度、会いたいなって思う。
でも、二度と会えなくてもいいとも思う。
ただ、ただあの人が幸せで、ずっと元気でいてくれたらそれだけでいい。
好きとか恋しいとか忘れられないとか、そんなものじゃなくて。
どこにいても繋がっているような、奇跡みたいな解けない魔法をかけて遠くへいってしまった人。
明日晴れたら、海の見える公園まで歩いてみよう。
あの澄んだまなざしを感じながら。
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