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シン・映画日記『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』

TOHOシネマズ日比谷にてドキュメンタリー映画『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』を見てきた。

1963年に東芝の洋楽部のビートルズ担当ディレクターだった高嶋は、イギリスから送られてきたザ・ビートルズのレコードを聴き、ラジオ各局や音楽雑誌など当時洋楽を取り扱っていた媒体を回るが、けんもほろろで相手にしてもらえずにいた。そこから、ある曲をきっかけにアメリカで人気に火がつき、日本でもついに爆発的な人気を得ることに。

洋楽を好んで聴く者だけでなく、中学・高校の音楽の教科書に取り上げられるアーティストでもあるビートルズ。彼らが日本で初めて紹介されてから来日至るまでの裏舞台を中心に構成されたドキュメンタリー映画。ビートルズのメンバー本人の証言がないドキュメンタリーであるにも関わらず、レコードが売れた経緯や来日招聘の苦労話に熱があり、事細かで、完璧に「日本とビートルズ」にまつわるドキュメンタリー映画に仕上げている!

冒頭でのジョン・レノンの妹ジュリア・ベアードの語らいから、日本で最初にビートルズを広めた東芝の音楽プロデューサーでもある高嶋弘之氏、当時ニッポン放送のラジオDJだった亀渕昭信、音楽評論家の湯川れい子など、大半をザ・ビートルズの活動期間を生で知り、現在生きているベストメンバーを出し、その語り部とビートルズを事細かに熱く語ることで構成。

ただデビューから来日までの順を追っただけでなく、ビートルズ登場前の戦後の日本の洋楽事情から、エルビス・プレスリーの登場を機に発した日本のロカビリーブームなどもきちんと取り上げ、土台を固めている。

また、単に昔話だけではなく、奥田民生や峯田和伸、King Gnuの井口理などリアルタイムでのビートルズを知らない世代のビートルズ体験を語っていることも重要で、後の世代にも確実に引き継がれている事実を映している。

また、序盤の証言者にエルビス・プレスリーの熱烈なファンである星加ルミ子氏を起用し、素直な証言や貴重な写真を見せたり、ドローイングの絵を随所で提供しながら僅かなリアルタイムでのビートルズの原体験を語った浦沢直樹氏など、キャスティングとインタビューの引き出し方が絶妙。

エンドロールのはじめでの無茶な演出に唯一微妙な雰囲気を感じはするが、それ以外はJALのCAから日本武道館の元担当者から加山雄三、黒柳徹子まで有名無名を問わず、熱く語る日本から見たビートルズという名の月光。リアルタイム体験者はもちろん、リアルタイムではない後発体験者もこの狂想曲と熱量を映画館で見てほしい!

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