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材料学

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木材・金属・プラスチックなど様々な材料について紹介します。
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化石化の原理を応用する

化石化の原理を応用する

博物館などで見かける、球状の岩石に覆われた化石、数万年〜数十万年以上に渡って風化などに耐え、球状コンクリージョンと言われる自然のコンクリートに守られているため、化石の保存状態がとてもいい。

この長期的な耐久性、シーリング効果、そして自然の球状コンクリージョンは亀裂が入ったときも、驚くスピードで再シーリング化するといいます。
この化石化のメカニズムを解明し、化石化を応用した新しいコンクリーション剤

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フッ素樹脂で加工した調理器具

フッ素樹脂で加工した調理器具

フッ素樹脂で加工した調理器具は、焦げ付きづらく、油をわずかしか使わなくても炒め物などの調理ができることから、フライパンの他にも、なべ、炊飯器、ホットプレートなどに利用されています。
しかし、フッ素樹脂は、プラスチックの中でも耐熱性に優れていると言っても、連続した加熱で耐えられる温度は260℃までで、高温にさらされると傷みます。また、フッ素樹脂より硬い金属などで強くこすると、削れてはがれます。フッ素

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感動!!旧東ドイツが生んだ「トラバント」

感動!!旧東ドイツが生んだ「トラバント」

聞いたことのないエンジン音だな、と思ったらトラバント!!ダンボール箱のような外観のレトロ車です。初めて見ました。

日本では、車のボディは主に鋼材で作られており、プラスチック材料はバンパやフロントガラスなど一部に限られています。しかし、東西ドイツ統一(1989年)前の東ドイツでは、プラスチックと布を積層にしてボディに使ったトラバントという車が約300万台製造されていました。排気量は600cc、定員

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木製ロードバイク

木製ロードバイク

先日東京に行った時に、木製フレームのロードバイクを見かけました。タイヤのリム部分の丸い形状も木製でできていることにビックリしました。
ネットで調べてみると、カリモク工業の金子社長が、中学校のころからサイクリング部に所属していて、自転車を改造するのが趣味だったのがきっかけのようです。
リム部の曲げ加工は北海道産の合板を高周波で曲げて加工したとか。国産材を高付加価値製品に変えるすばらしい製品だ!!

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中世ヨーロッパ 銀のカトラリー

中世ヨーロッパ 銀のカトラリー

現代社会において、銀は優れた導電率の高さから、電子・電気部品の分野や、殺菌・抗菌特性を利用した用途など身の回りにたくさん使われています。

また銀の性質として、自動車の排ガスや温泉地の硫化水素などと反応しやすく、表面に硫化銀を生成して黒ずんでしまいます。

中世ヨーロッパのカトラリーに銀食器が用いられていたのは、料理に硫黄化合物などの毒混入をいち早く察知することができるためと言われています。

金属の“硬さ”とは!?

金属の“硬さ”とは!?

だれもが身近に使っている金属の重要な品質項目として“硬さ”が挙げられます。しかし、“硬さ”とはそもそも何か、数百年前から大勢の研究者や技術者が、試験方法や試験機を工夫し、硬さを定義して、膨大な“自分流の試験”を行なってきましたが、統一の定義はいまだ存在していないようです。
みなさんなら、金属の硬さをどのように測りますか?金属の硬さの試験方法のうち、客観的に数値化しやすく、扱いやすいものが現在も取り

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生きる化石 イチョウ

生きる化石 イチョウ

『イチョウは広葉樹?針葉樹?』中学校の理科で学ぶ問題だ。イチョウの葉の形から、イチョウは広葉樹だと思われがちだが、実際はイチョウ属→イチョウ科→ イチョウ綱と大分類に至っても一種だけしか残っていない生きた化石植物といわれ、裸子植物で針葉樹の仲間です。
約1億5000年前の中生代ジュラ紀(巨大な恐竜が活動していた時代)から現在まで生き残っています。

材料としては柔らかめ。木肌が細やかで仕上がりがき

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ポリウレタンを簡単リサイクル

ポリウレタンを簡単リサイクル

ポリウレタンは石油原料の材料で、ゴムのように伸びる性質を持っています。天然ゴムと違って染色も可能で、温度や湿度に強いため、車のシートや競技場の床、マットレス、枕、ラケット、建築用の断熱材といった非常に広い用途があります。リサイクルは困難で日本では焼却処分されています。

欧州ではリサイクルへの取り組みが始まっていますが、用いる薬剤が有毒で扱いにくい問題があります。

長崎大学の研究チームは、粉末状

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殺菌・防虫効果のあるクスノキ

殺菌・防虫効果のあるクスノキ

近くの公園の入り口には見事なクスノキがあります。樹高40mほどある巨木です。クスノキのもつ独特の香りには、抗菌・防虫作用があり樟脳(しょうのう)として天然の防虫剤として昔から使われていました。また、腐朽(ふきゅう)に対する抵抗性が高く、仏像彫刻の材料として使われてきました。

クスノキの面白い性質として、強風が吹き荒れた後クスノキの下には小枝がたくさん散乱しています。葉っぱのみが落ちるのが一般的な

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ガラスはなぜ透明?

ガラスはなぜ透明?

ガラスは不思議な材料だ。なぜ透明で、光はいったいどのようにして固体の中を通っていくのか?
ガラスはケイ素原子と酸素原子、あと数種類の原子でできている。原子の中心には陽子と中性子を含む原子核があり、その周りを電子が回っている。

原子の大きさが例えばスタジアムほどの大きさだとすると、原子核の大きさはその中央に置かれた豆粒ほど、電子にいたっては周囲のスタンドに置かれた砂粒ほどになる。このように原子内部

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マイクロプラスチックの健康リスク

マイクロプラスチックの健康リスク

1856年にビリヤードの球に使われる象牙が社会問題になり、代替材料として発明されたセルロイドをきっかけに、急速に広まったプラスチック素材。
現代では世界中でスーパーのレジ袋は1秒間に約18万枚利用されている。

しかし、軽くて強い性質から自然分解されずにマイクロプラスチックとなり社会問題になっている。

ある研究によると、微小なプラスチックが含まれていた患者が心臓発作や脳卒中を起こすリスクが、プラ

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スプーンはなぜ味がしない

スプーンはなぜ味がしない

金属のスプーンで食事をして、金属の味がしたことはあるだろうか?
スプーンはじめ、台所の流し台、包丁、食器などステンレス製品は身の回りにたくさんある。
“ステンレス”とは、ステンレス鋼の略で、錆(stain)ない鋼(steel)の意味である。言葉通り、ステンレスは水に濡れても錆ない。鋼はすぐ錆びるのにどうしてステンレスは錆ないのだろうか。
その秘密は、その成分にクロムが含まれているところにある。クロ

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日焼け止めから修正液まで大活躍の材料

日焼け止めから修正液まで大活躍の材料

日常生活の中で「白」はすべての色の基礎となっている。その顔料として用いられるのが「酸化チタン」だ。日焼け止め、修正液、化粧品、絵の具など様々なところに使われている。
また、酸化チタンには不思議な性質があり、光に当たると分解作用や親水作用の触媒として働く。触媒とは、自らは変化せずに他の化学変化を促進する性質を持つ物質のこと。光の作用で触媒作用が働くものを光触媒と呼び、酸化チタンはその代表だ。「掃除不

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カニやエビの殻から電気部品を作る

カニやエビの殻から電気部品を作る

東北大学などの研究チームはカニやエビの殻の成分から作るキトサンが、半導体や電池の材料になることをみいだした。

紅ズワイガニの殻からキトサンを得て、1ナノメートルほどの細い繊維にした上でシートを作製した。電気を流す材料と密着させて性能を調べたところ半導体の性質を示し、さらに電気を蓄えることも確認した。

日本に豊富にある海産物から得られる原材料とあって、今後注目されそうだ。

『参考資料』
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