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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#コロナ禍

『凜として生きる』(平塚敬一・教文館)

『凜として生きる』(平塚敬一・教文館)

キリスト者として、何かしら重荷を負うというものがあるという。どうしてだか分からないが、そのことのために心血を注ぐしかない、という思いで生きるのだ。生きることが、考えることが、すべてそれのために営まれている、という気持ちになる。
 
著者にとり、「教育」がその重荷であるのだろう。しかも、「キリスト教教育」である。キリスト教を信じさせる教育だという意味ではない。教育する側が、キリスト教精神を以て教えて

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「私たちと一緒に その先の光を見に行こう。」

「私たちと一緒に その先の光を見に行こう。」

コロナ禍での受験は、まことに歯を食いしばるような営みだった。もともと受験勉強というものはストイックなイメージがあるが、束縛の大きさから考えても、全くゆとりのない生活を強いられていた受験生である。
 
兵庫県立大学の広報チームが教えてくれた。受験生へのエールである。最初の言葉は、そこで呼びかけられたものである。

https://www.u-hyogo.ac.jp/message2021/index

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『現代思想2021 vol.49-4 教育の分岐点』(青土社)

『現代思想2021 vol.49-4 教育の分岐点』(青土社)

共通テストや35人学級というふうに大きく変化を見た昨今の教育界。さらに、2020年春からの新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一斉休校という、前代未聞の事態を経験して、教育の現場はどうなっているのか。一種の雑誌であるから、全体としてまとまりがあるわけではないが、多岐にわたる声が集められる。特別な主張を手を変え品を変え出してくるのではないが、編集の方針というものはあるだろうから、一定の方向性を保ちつつ

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大学について少し考えてみる

大学について少し考えてみる

大学とは何か。歴史を辿ると、ヨーロッパにおけるその成立をひとつ押さえなければなるまい。いまから800年ほど昔の世界に、大学は生まれた。人類は過去に大帝国をいくつか経験したが、ヨーロッパでは国家という概念よりも、むしろ私たちのイメージする都市国家としての機能が通例であったものと考えられる。その中で、互いの関係はより進展しており、いわゆる自治都市という考え方で成立した共同体は、自由に人の流れを形成して

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