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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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#東日本大震災

自然との関係

自然との関係

幼稚園が廃れている。午後2時にお迎えというスタイルに、働く親が対応できなくなってきているのだ。夕方まで預かる保育園に、次々とシフトしていく。夕方に迎えに行けるならまだよいほうで、夜にずれこむこともあるようである。
 
幸い、私は2時のお迎えができた。車で行く必要のあることもあったが、たいていは、歩いて往復できた。これは恵まれていた。途中、舗装された道路を通ることもできたが、たいていたんぼ道を歩いた

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ブルーナと東日本大震災

ブルーナと東日本大震災

ディック・ブルーナ。亡くなったのは2017年。「ミッフィー」の作者として知られるが、福音館書店のシリーズでは「うさこちゃん」として知られる。原語では「ナインチェ」というのだが、「うさちゃん」という感覚なのだそうだ。英語訳からいつしか「ミッフィー」というほうが日本でもメインになってきたようであるが、その辺りの事情が、この本には書いてあった。『ディック・ブルーナ』(森本俊司・文春文庫)である。
 

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映画「すずめの戸締まり」

映画「すずめの戸締まり」

新海誠監督の作品を映画館で観るのは、「君の名は。」「天気の子」に続いて3度目である。私の感想だが、監督は、今回の「すずめの戸締まり」で、本当に伝えたかったことを描くことができたと思っているのではないだろうか。
 
もちろんストーリーそのものについてネタバレをしたいとは思わないので、もう少し漠然とした形で語ろうかと思う。但し、それでも映画を観るまではそうした声を一切聞きたくない、という方もいらっしゃ

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『神様2011』(川上弘美・講談社)

『神様2011』(川上弘美・講談社)

小川洋子さんが、毎週1冊の本を紹介する、FMラジオの「パナソニック メロディアス ライブラリー」で、次週扱うという予告を聞いて注文したのが日曜日。月曜日に届き、火曜日に読み始め、読み終わった。なんといい時代なのだろう。
 
番組で取り上げることになるのは、3月11日直前の放送日だからだというが、このタイトルに付く「2011」は、もちろんその東日本大震災のことを意味している。しかも、福島の放射能漏れ

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『遺体』(石井光太/新潮文庫)

『遺体』(石井光太/新潮文庫)

2011年10月に発行されたものの文庫版が、2014年に発行されている。
 
東日本大震災の後間もなく取材に入り、関係者と接触する。東北に特に関係があるのでもない。著者は、いわばルポライターである。現場での取材をモットーとして、報道されない人間の真実に近づいて描こうとする。東日本大震災は大きな課題となった。だがもちろん、それは自分の仕事のためだということで素材にしているというわけではないだろう。こ

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紅白歌合戦2021

紅白歌合戦2021

2021年の大晦日は、まず「まふまふ」さんにやられた。ネットで見るのとは全然違うと思った。生の人間の叫びが、届いた。
 
いつの間にか涙で画面が滲んでいた。こうした叫びは、自分の中に確かにあった。いや、いまもあると思う。生きづらさ、などという言葉にすると今ではむしろ軽く扱われてしまうようにすらなったようにも見える、残酷なこの事態の中で、どうしてよいか分からないような若者、不安に佇む者を、その歌詞や

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「護られなかった者たちへ」

「護られなかった者たちへ」

妻がどうしても見たいと言ったのは、佐藤健さんの故であったが、ようやく機会ができて、貴重な午後をこの長い映画で満たした。
 
もちろんネタバレは御法度である。映画のストーリーや見所をお伝えするのはよろしくない。ただ、東日本大震災を踏まえた話であること、保健福祉センターが舞台であり、その生活保護というデリケートな事柄について深い問題意識をもたらすこと、これくらいは触れてもよいものと判断する。
 
震災

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