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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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2021年4月の記事一覧

『寂聴 般若心経 生きるとは』(瀬戸内寂聴・中公文庫)

『寂聴 般若心経 生きるとは』(瀬戸内寂聴・中公文庫)

30年も前にベストセラーだったそうで、私も鈍い。やっと手にして読んだ。般若心経については何冊か解説書を開いたことがあるが、これがいちばん親しみがもてたし、分かった感覚がした。
 
最近は、寂聴さんについても知らない若い人が増えてきたと思うが、その説明はここでは割愛する。女性である。小説家である。いろいろあって、出家して僧となった。作家活動も続けており、本は非常によく読まれている。その寂聴さんの語る

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尼崎脱線事故と精神医学

尼崎脱線事故と精神医学

「福知山線」という名前なので誤解が生じるかもしれないが、場所は兵庫県の尼崎。「鹿児島本線」と言いながら、福岡県の博多駅を考えているようなものである。
 
福岡では、福岡西方沖地震が起きてまだ落ち着きを取り戻せていなかったかもしれない頃だった。朝のニュースで飛び込んできたのは、列車がマンションに突っ込んでいる、ショッキングな映像だった。もはや一両目は形を留めていない。目を覆いたくなるような惨状だった

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幸せになる秘訣 (マタイ5:1-12)

幸せになる秘訣 (マタイ5:1-12)

聖書を読んでもらおうと思って、新約聖書をプレゼントする。若く貧しい私たちの結婚式での引き出物でした。読んでくださった親族がどれほどいたか分かりませんが、もし、聖書とは何が書いてあるのかな、と開いたら、まず最初のカタカナの人名の羅列に、思わず引いてしまうのではないでしょうか。信仰に基づいて昔の教会が決めたこの順番ですが、これはなかなか厳しいものがあります。
 
よし、ではそこを飛ばして頁をめくってみ

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熊本地震から5年

熊本地震から5年

2016年4月14日、熊本地震の最初の一撃は、塾での授業中のことだった。もう間もなくすべて終わり、帰りの仕度を始めようかという呼吸の頃だった。さすがイマドキである。教室中に、突然ウワンウワンと異常な音が響きわたった。
 
これは何だ、と私が驚いている中で、初期微動が始まった。これで私の脳裏にはすべてがつながった。「机の下に潜れ!」
 
かなり強く揺らされた。横揺れだったと思う。これが熊本に震源をも

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いないほうがいい、という思いから

いないほうがいい、という思いから

自分のような者が生きているということに、不条理を覚えていた。地球上の資源は限られている。とくに石油系の素材は、量が限られている。成人しても運転免許に興味がなかったのはこうした心理による。だがいまは車を運転する。今日もプラスチックを棄て、燃料としての油を煙に変えている。呆れる。また、いったい今日一日で、いくつの命を殺して食べたことだろう。それは、動物の肉を食べないから殺したことにならない、などという

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