739番 田中
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大岡昇平「野火」読書感想文
読書をしているうちに大岡昇平を知る。
あちこちの本の巻末の解説に “ ケンカ大岡 ” の異名が登場してくる。
海音寺潮五郎には「史実を曲げている」と突っかかり論争になったとか。
井上靖も「フィクションが過ぎる」と突っかかられて、気の毒なことに論争になったとか。
松本清張にもだ。
ほっとけばいいのに「推測が浅い」と突っかかり論争になったらしい。
めんどくさそうな人、という印象があった。
そ
739番 田中「自己紹介」
まず、プロフィールのアイコンが初期設定のまま。
フォローやスキの、お礼のポップアップも初期設定のまま。
記事のトップ画像だって、タイトルだって、ワンパターンのまま。
だいたいにして『739番 田中』とは不適切ではないのか。
『中卒』を称するのもいかがなものか。
それでも note を続けて1年が経ちました。
自己紹介くらいはと、おくらばせながら投稿した次第です。
経歴については省きます。
三島由紀夫「不道徳教育講座」読書感想文
33歳の三島由紀夫のエッセー。
すでに有名人となっていて、結婚もしたばかり。
69編があって、どのタイトルも過激に並んでいる。
どれほど不道徳なのか、いくつかを順番に挙げてみる。
『教師を内心バカにすべし』
『大いにウソをつくべし』
『人に迷惑をかけて死ぬべし』
『泥棒の効用について』
『処女は道徳的か?』
1編は5ページ。
文体は軽快。
「なのです」「です」「でしょう」という話し言葉で書か
レイモンド・チャンドラー「待っている」読書感想文
ハードボイルドの大作家とは知っている。
現代の作家にもお手本にされていて、あちこちの本の作中で紹介もされている。
1回は読もうとは思っていたけど、今までに読んだハードボイルドって、それほど好きにはなれなかったので躊躇させていた。
しかしながら。
期待してない読書のほうがおもしろい場合が多々ある。
試しに読んでみた。
この本には、5編が収められている。
4つの中編と、1つの短編。
終わりにある
瀬戸内晴美「女の海」読書感想文
瀬戸内晴美を読まなければ。
のちの瀬戸内寂聴の『いのち』を読み終えて思った。
それを著す95歳の瀬戸内寂聴は、体の不調で書くこともできなくなりつつある。
ラストには自嘲する。
今まで400冊以上書いたがベストセラーがない。
もう片目が見えなくなっているし、ペンを持つ指も曲がっている。
それでも断筆することなく未練がましく書いていると、3ページほどとりとめもない。
が、最後の一文だけは力強
浅田次郎「天切り松 闇がたり 第1巻」読書感想文
天切りとは夜盗の手法。
深夜に大屋敷のてっぺんに上り、風に吹かれて腕を組んで、ズイッと仁王立など決めるのが劇的。
そして、瓦4枚を外して入り込んで盗る。
闇がたりとは、盗人の話法。
6尺四方から先には声が届かない。
松とは村田松蔵。
老齢の元夜盗。
9歳で盗人の一家に入った大正6年から大正12年頃までの、見たこと聞いたことが語られる。
「鼠小僧のそのまた昔、富蔵藤十郎が大内山の御金蔵からか
ちばてつや「あしたのジョー」マンガ感想文
実はよく知らないマンガだった。
よく見ると、55年前のマンガになる。
読んだことがないのに、読んだつもりになっている。
矢吹丈、力石徹、丹下段平という名前も、泪橋という交差点が明治通りにあることも、名言だってラストシーンだって知ってはいるのに、あらすじはよく知らない。
改めて読んでみた感想としては、全12巻のうち5巻終盤までの第一部がおもしろい。
矢吹丈と力石徹との対戦となる
力石のストイッ
又吉直樹「火花」読書感想文
読んでみると、おもしろいの一言しか感想が浮かばない。
それでは読書感想文にならないので、もっと考えてみた。
まずは、文章のテンポがいい。
読んでいて気持ちがいい。
登場人物のセリフが、文章のアクセントになっているように感じるし、これは話すことを仕事としている人の成せる技なのかと思わせる。
148ページという短い物語の中に、20歳から32歳までの12年間の場面が、テンポよく流れるよう書かれて収
スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」読書感想文
初めてのスティーヴン・キング。
映画の原作者とは知っていたし、3本ほど観ていた。
たまたまかもしれないけど、その3本とも、よくわからないまま話が進んで、やがて「軍がきた!」となって、やはりよくわからないまま終わるパターンだった。
それでいて、アメリカでは有名なホラー作家だという。
さらに10年はかかって、映画の『スタンド・バイ・ミー』の原作者でもあるとも自然に知った。
つまりは、興味もなかっ