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うつわマガジン2017

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#うつわ

王様の耳はパンの耳

王様の耳はパンの耳

「ここだけの話ね」という言葉がなくとも、クローズドな意を示すおしゃべりへの感情は、知ったど!というワクワク感どころか、やり場のないモヤモヤが残るから苦手だ。しかもそのモヤモヤは普通の何倍も大きく広まるもので。穴を掘って告白しても、そこらじゅうに広まる。そんな大意を持つ「王様の耳はロバの耳」は、人に対する寛容さを説いた神話だ。

バレンタインディの日につくった王様ロールサンドの端っこ。薄切りパン

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トマトの出汁ジュレ

トマトの出汁ジュレ



「だしジル」ではなく「だしジュレ」

美味しいトマトが驚くほど安価な国イタリアで当たり前に極上を食べていたからか、日本のトマトはイマイチ~!なんて、引っ叩きたくなるような小言から正直に書き出そう。そんな人が東京で極上トマトに出会ったのだから。

ミラノ万博2015にて、日本館に出店した京懐石の料理長は、トマト出汁を使った創作和食を編みだしていた。昆布と同じグルタミン酸が含まれているトマト。旨味

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ふきのとう味噌パスタをつくろう!

ふきのとう味噌パスタをつくろう!

オペラ「蝶々夫人」の最終幕はなんとも切ない情景からクライマックスを迎える。待ち焦がれた「春」がやってきて、長崎の港に夫が乗っている軍艦が入港した。着物を整え夫の帰りを待つ蝶々夫人は裏切られていることをまだ知らない。(過去記事▶︎春を待つMadame Butterfly)

写真「蝶々夫人とふきのとう」

「ふきのとう味噌」をつくろう!

ふきのとうが雪の下から芽吹く。
「春」がやってきたのだ。ザク

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土鍋のなかのカヌレ

土鍋のなかのカヌレ

型の溝を泳ぐ蜜蝋。キャンドルの灯りがゆらぐ暗いキッチンで、ボルドーの修道女たちは卵黄とバターと砂糖をゆっくりとまぜる。落ちる砂を眺めながら砂時計でカヌレの焼き時間を計っていたのだろうか。

「8分2分(はっぷん にふん)」という名のカヌレ。名前は焼き方に由来しているとオーナーに聴いてから、17世紀の修道女たちの様子を頭に描くようになった。カリッとした食感と香ばしさに、やさしいバニラビーンズの甘い香

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ロズマリヌスを乗せた「海の雫」

ロズマリヌスを乗せた「海の雫」

「ロズ」は雫。
「マリヌス」は海。

船のごとく、海のしずくのように、自由に穏やかに泳げますように。うれしいご縁あり、ロズマリヌスを乗せた紅い舟はお嫁にいった。
お礼と愛をこめて。

(※ラテン語Rosmarinus; 伊ロズマリーノ 英ローズマリー)

写真:「舟のうつわ」Cocciorino

「地球のかけら」を意する工房Cocciorinoは
魅惑の素材をのせる器として
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海を越えて魅惑の食材

海を越えて魅惑の食材

鯛のカルパッチョに赤いミニバラ(エディブルフラワー)を添えて。白のスプマンテか白葡萄酒をゆっくり飲みたい。

赤鯛の「赤」がおめでたく、またこの「赤」が邪気を追い払うともいわれている。その上「おめで鯛」という言葉にもかけていて…と、海外で日本食材や料理のうんちくを説明するのがけっこう厄介。「邪気」とはどんな単語で表現したら適するのか?「赤がなぜ?」と聞かれたらどう答えれば腑に落ちるか。イタリア

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食育なんてかたくるしいこという前に魅惑の食材の味をのべよう

食育なんてかたくるしいこという前に魅惑の食材の味をのべよう

おなかもお料理するヒトもつかれたら、ささっとね。一汁一菜がいい。カラダもよろこぶ。

土井善晴氏も言う。「一汁一菜はご飯とおかずを兼ねた味噌汁でええということです」「汁は具だくさんに、具材にきまりはなく自由な発想で」。

(Cocciorinoのお茶碗/お米への恩恵を表現したアート作品/某保育園所蔵)

英語より日本語と農産物や民俗学的な学びを重視!という稀な学校に幼小中高と通っている(英語も

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魅惑の食材「カカオという神からの贈り物」

魅惑の食材「カカオという神からの贈り物」

前記事で魅惑の食材について少し綴ったが、お次はカカオという食材。

年末のごちそうさん会で30年来の仲間といただいた「フォンダンカカオ」は太田哲雄シェフの手づくり。制作や個展のバタバタでなかなか“哲雄くんのおいしい”を体験できなかったが、年末ようやく魅惑の「フォンダンカカオ」を取り寄せる機会が訪れた。

希少なペルー産オーガニックカカオ100%(小麦粉などの粉が入っていない)の贅沢な焼き菓子。

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