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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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#模擬授業

授業の事後協議会、同じ絵を描けるか

授業の事後協議会、同じ絵を描けるか

今期の英語科教育法IVは単元を構成して、3名の履修者がリレー形式で模擬授業の授業者役を担当する。第9週からは単元のリレーが始まる。それに先立って、第7週は自分の担当回の中から15分程度の活動や説明を用意してきて、実際にやってみる。その後、授業者・生徒役みんなで検討会を行う。(この日は2コマ連続授業でたっぷり3時間あった。)
検討会には私は最初は参加せず、途中で「視点を足したい」「新たな議論のポイン

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産出的活動の模擬授業の在り方

産出的活動の模擬授業の在り方

英語科教育法IIIの振り返り,だいぶ溜めてしまったのだが,そのおかげで「書くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」の模擬授業の3つを並べて振り返ることができることに気づいた。
そもそも現状の5領域の分け方には納得していないが,便宜的に技能別に焦点を分けて学生に模擬授業を行ってもらっている。(各領域「講義」「(講義の続きと)模擬授業構想」「模擬授業&対話検」の3コマ1セット)

産出的技

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模擬授業はとにかく挑戦しよう

模擬授業はとにかく挑戦しよう

英語科教育法I,語彙指導の模擬授業回。
前の週は私が用意した語彙学習の活動を3つ体験してもらい,それに対して「より学びを深める」「より楽しくする」の2つの観点から改善案を出してもらった。それを踏まえて,どれか一つの活動を取り出し,模擬授業を実施する。今回は2人の学生のペアでの実施となった。

Odd One Outの改良版前回の授業でOdd One Outへの改善案が色々と出された中で,二人は「も

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生徒を英語の授業に巻き込むために

生徒を英語の授業に巻き込むために

2年生後期の「英語科教育法II」は、やや抽象的・哲学的な「問い」への自分なりの答えを持ち寄って、それについて議論を広げていくスタイル。
帯活動として毎回一人の学生に中学生・高校生を対象としたコミュニケーション活動を実際にやってもらったり、3週に1回模擬授業をやったりと実技的側面も配置しながらではあるが、基本的にはディスカッションから何を考えられるかが最も大事になる授業だ。

毎回の授業の起点となる

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正しさを求めて…

正しさを求めて…

英語科教育法Iの振り返り。第13回。
履修者4名が毎回一人が模擬授業をする。今回で全員が3回の模擬授業をしたことになる。

模擬授業の概要今回の模擬授業は中学1年生を想定し,ジェスチャーゲームを通して英語を使わせる授業。

8人の生徒役が4人ずつの2チームに分かれて,ジェスチャーをする順番をチーム内で決め,ジェスチャーを見て何をしているところかを英語で言い当てる。言い当てる側は自由に相談可能だが,

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二人で話せば「やり取り」か

二人で話せば「やり取り」か

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回は「話すこと(やり取り)」の模擬授業回。

前回の講義回では「コミュニケーション活動」と「言語活動」の違いを、学生に実際に両者を体験してもらいながら整理した。

その中では「言語活動よりコミュニケーション活動の方が、学習者として好きだ」という意見も見られ、どちらが良い/悪いという話ではないというところに一応着地はしたのだが、でもやはりこれから英語の先生になる学生

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ペア/グループで一つのものを視聴する意義

ペア/グループで一つのものを視聴する意義

英語科教育法の授業ログ。

模擬授業の概要今回の模擬授業は「国際英語論」に注目したもの。

元々のきっかけは模擬授業担当の学生が「イギリス英語とアメリカ英語の違いとかを扱ってみたい」という相談に来たところから。
「普段聴いているアメリカ英語と違う発音を聞き取れるようになる」という技能面に関心があるのか、それとも「アメリカ英語以外にも色々な英語がある」ということを知ってもらうことに関心があるのかと問

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生徒の反応を解釈する

生徒の反応を解釈する

英語科教育法Iの授業ログ。

模擬授業の概要模擬授業はTaylor SwiftのWe Are Never Ever Getting Back Togetherを使ったリスニングと歌詞解釈。

「grammar・writing・speakingが前の模擬授業で行ったので、listening・readingを軸とした、ペアワークも取り入れた授業にしよう」ということで、洋楽を聞き取るだけではなく、その後

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Is "more" better?

Is "more" better?

英語科教育法IIIの授業ログ。
ライティングに焦点を当てた模擬授業の回。

早速余談だが、この回から2名の4年生がゲスト参加してくれた。
4年生は昨年度までに英語科教育法を全単位取り終えているので当然私の授業に来る義務はないのだが、教員採用試験に向けて色々と協働的にやっていく中で私の英語科教育法の授業の話になり「行ってみたい」と言ってくれたので、ありがたく来ていただいた。
2人とも本来この日は全休

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英語の技能を保留する

英語の技能を保留する

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回はリスニングに焦点を当てた模擬授業。

模擬授業と実際の教室での授業の最大の違いは、「生徒」である。普通の学校教育の中での授業に生徒がいるのは言うまでもないが、模擬授業では教員採用試験等で行われることもある生徒がいない(いるという想定で行う)ものと、実際の授業の対象とされている学習者ではない人が生徒役を務めるものがある。
上で述べたように私の授業では教師・生徒そ

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学習者の知識と思考を再現する

学習者の知識と思考を再現する

英語科教育法I第8回の振り返り。
例の如く模擬授業と対話型模擬授業検討会がメイン。
今回はその模擬授業の生徒役のパフォーマンスに焦点を当てる。

模擬授業で評価されたりアドバイスを受けたりして成長が期待されるいわゆる「主役」は当然先生役を務める学生なのだが、その先生役の学生が模擬授業とそのリフレクションを通して(どれだけ)成長できるかは、生徒役の学生のクオリティに大きくかかっている。生徒役が大人(

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授業者の目線—ズームイン・アウト

授業者の目線—ズームイン・アウト

英語科教育法Iの振り返り。
毎回行なっている模擬授業は早くも2巡目の2人目まで回ってきた。正式な履修者4人が毎週1人ずつ模擬授業をするという鬼スケジュールなので、模擬授業が「学期に一度の大イベント」みたいなテンションにならず、比較的自然に日常に組み込まれる(そして地味に忙しくなり、思ったより詰めが甘くなる)という感じになっている。人数が多い教員養成学部ではなかなか経験できない授業作りのリアルなとこ

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生徒のWANTとDON'T WANT

生徒のWANTとDON'T WANT

英語科教育法Iの第3週。
今日の模擬授業は高校1年生4月を想定して、SVCとSVOを見分けられるようになろうという授業。

生徒役としての経験が活きた模擬授業S=C、S≠Oという説明を手がかりに簡単な例文でSVCとSVOの文型を整理していく。(S=C問題については授業でもまだ扱えていないので追々。ただ、5文型の導入段階において「S=Cだと考えよう」と指導すること自体には私は現段階で反対しない。)

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脈々と受け継がれるPPP型授業

脈々と受け継がれるPPP型授業

英語科教育法IIIの第3回。
今回から奇数回にはその前の偶数回の講義テーマと関連させた模擬授業と対話型模擬授業検討会を実施する。

今回の模擬授業のテーマは「仮定法」
中学3年生に初めて仮定法を導入する授業を約30分に渡って展開した。

「実際にありえない願望や想像」という説明や直説法との対比など、仮定法のUse(使用)/Function(機能)を意識しつつ、確実にFormやMeaningを抑えて

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