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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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#教師教育

産出的活動の模擬授業の在り方

産出的活動の模擬授業の在り方

英語科教育法IIIの振り返り,だいぶ溜めてしまったのだが,そのおかげで「書くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」の模擬授業の3つを並べて振り返ることができることに気づいた。
そもそも現状の5領域の分け方には納得していないが,便宜的に技能別に焦点を分けて学生に模擬授業を行ってもらっている。(各領域「講義」「(講義の続きと)模擬授業構想」「模擬授業&対話検」の3コマ1セット)

産出的技

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授業に対する生徒の思いを知るために

授業に対する生徒の思いを知るために

英語科教育法IIの振り返りを一週分抜かしていたことに気づいた。

今回の(大きな)問いは「授業に対する生徒の思いを知るためには何ができるか」

生徒からのコメントを受け付ける学生らは主に大学での経験からミニッツペーパーなどの学習者側から先生に何かを伝えることのできる機会・媒体を用いることを挙げた。
ミニッツペーパーに何を書かせるかについては、結構先生によって個性の出るところで、ある先生は「今日気づ

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教師に求められるエンパシーの能力

教師に求められるエンパシーの能力

英語科教育法IV『外国語学習者エンゲージメント』の第4章前半。

どこまで包括できるか本章の1つ目の原則は「手本を示して集団を導く」である。
その手本の見せ方の一つに「誰をも排除せず、あらゆる人を受け入れる包括性(inclusivity)」を示すことが挙げられている。
著者はこう続ける。

これに対してある学生は少し具体的な場面を想定して問いを投げかけた。

これに対して別の学生は「持っているクラ

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省察的実践の技術的熟達

省察的実践の技術的熟達

英語科教育法で行う模擬授業の後には「対話型模擬授業検討会」を行うことが私の授業の恒例となっており,「8つの窓」(教師と生徒それぞれのDO/THINK/FEEL/WANT)をもとに授業を振り返る。

今回は授業の展開に合わせて2つの場面に分けて8つの窓を提示した。第1場面は生徒がペアでやり取りしている時間,第2場面は生徒が先生に(予め決められた)質問をし,それに先生が答える時間であった。
それぞれの

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教師教育者の意図

教師教育者の意図

英語科教育法IIの振り返り。
いつもは学生にも授業を思い出してもらって、更に思考を深めてもらえればみたいな気持ちも持ちながら書いているが、今回は完全に自分のための省察としてのみの目的で書く。
まぁ、教師の省察を実際に見せたり聞かせたりすることも教師教育者の仕事なので、そういう目的もなくはないが、それでも今回は見せすぎではないかという気がする。

英語科教育法IIは「問い」に基づいてディスカッション

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「発表」って何をどう指導するの?

「発表」って何をどう指導するの?

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回は「話すこと(発表)」についての講義回。

発表の目標高等学校学習指導要領の英語コミュニケーションIでは「発表」について以下のような目標が掲げられている。

「日常的な話題」でも「社会的な話題」でも、「論理性」が重視されるのが特徴の一つだ。
尚、英語コミュニケーションIIでは、支援の量が「一定」とされ、「詳しく話して伝える」となる。
英語コミュニケーションIII

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正しさを求めて…

正しさを求めて…

英語科教育法Iの振り返り。第13回。
履修者4名が毎回一人が模擬授業をする。今回で全員が3回の模擬授業をしたことになる。

模擬授業の概要今回の模擬授業は中学1年生を想定し,ジェスチャーゲームを通して英語を使わせる授業。

8人の生徒役が4人ずつの2チームに分かれて,ジェスチャーをする順番をチーム内で決め,ジェスチャーを見て何をしているところかを英語で言い当てる。言い当てる側は自由に相談可能だが,

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ペア/グループで一つのものを視聴する意義

ペア/グループで一つのものを視聴する意義

英語科教育法の授業ログ。

模擬授業の概要今回の模擬授業は「国際英語論」に注目したもの。

元々のきっかけは模擬授業担当の学生が「イギリス英語とアメリカ英語の違いとかを扱ってみたい」という相談に来たところから。
「普段聴いているアメリカ英語と違う発音を聞き取れるようになる」という技能面に関心があるのか、それとも「アメリカ英語以外にも色々な英語がある」ということを知ってもらうことに関心があるのかと問

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「コミュニケーション活動」と「言語活動」

「コミュニケーション活動」と「言語活動」

英語科教育法IIIの授業ログ。
話すこと(やり取り)の講義回。

自分が学習者として教室で日本語話者同士で英語を話すのが嫌いだったこともあって、話すこと(やり取り)の活動は授業者としても苦手分野だ。
授業準備の段階から2-3週間かけていつも以上に勉強したのだが、90分の授業でどこを話してどこを削ぎ落とすかの判断が難しかった。

最終的には、中部地区英語教育学会でも話題になった「コミュニケーション活

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英語科教育法についてラジオで語りました

英語科教育法についてラジオで語りました

Anfieldroad先生の英語教育2.0podcastにお招きいただき、武田信子・多賀一郎(2022).『教師の育て方』学事出版 をタネ本にして英語科教育法の在り方について考えた。

今回は「学生にどこまで任せちゃう?」「どれぐらい口出しせずに見守る?」みたいな話もしたのだが、まさにこの対談の直後の英語科教育法Iで対話型模擬授業検討会の司会を学生に任せてみた。
前々から出来るだけ早く司会を学生に

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生徒の反応を解釈する

生徒の反応を解釈する

英語科教育法Iの授業ログ。

模擬授業の概要模擬授業はTaylor SwiftのWe Are Never Ever Getting Back Togetherを使ったリスニングと歌詞解釈。

「grammar・writing・speakingが前の模擬授業で行ったので、listening・readingを軸とした、ペアワークも取り入れた授業にしよう」ということで、洋楽を聞き取るだけではなく、その後

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Is "more" better?

Is "more" better?

英語科教育法IIIの授業ログ。
ライティングに焦点を当てた模擬授業の回。

早速余談だが、この回から2名の4年生がゲスト参加してくれた。
4年生は昨年度までに英語科教育法を全単位取り終えているので当然私の授業に来る義務はないのだが、教員採用試験に向けて色々と協働的にやっていく中で私の英語科教育法の授業の話になり「行ってみたい」と言ってくれたので、ありがたく来ていただいた。
2人とも本来この日は全休

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長い文と複雑な文

長い文と複雑な文

英語科教育法Iの授業ログ。
かなり間が空いてしまって、第何回の振り返りかはよく分からない。

この回から模擬授業は3周目に入り、なかなか挑戦的な内容に。

模擬授業の概要5人ずつのグループに分かれてのライティング。
スクリーンに表示された写真を見て、それを表す英文をみんなで考えて書く。
そして以下のルールを設定してゲーム性を持たせる。
① 単語数の多いグループに1ポイント
② 一番スペルの長い単語

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英語の技能を保留する

英語の技能を保留する

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回はリスニングに焦点を当てた模擬授業。

模擬授業と実際の教室での授業の最大の違いは、「生徒」である。普通の学校教育の中での授業に生徒がいるのは言うまでもないが、模擬授業では教員採用試験等で行われることもある生徒がいない(いるという想定で行う)ものと、実際の授業の対象とされている学習者ではない人が生徒役を務めるものがある。
上で述べたように私の授業では教師・生徒そ

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