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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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#英語科教育法

良い授業の思い込み

良い授業の思い込み

英語科教育法Ⅲの第3回は、リーディングの模擬授業回。
第1回でリーディング指導についての基本を抑え、第2回では教材分析を進めた。
それを経ての第3回、講義で学んだことや教材分析の過程で見つけた色々な発見のうち、どこを削り、どこを残してくるかが個人的な注目ポイントの一つだった。

模擬授業担当の学生は、読解に入るまえの「内容スキーマの活性化」及び「語彙の確認」に焦点を当てた。
教科書の題材は、捨て犬

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Readingを通して何を教えるか

Readingを通して何を教えるか

英語科教育法IIIの第2回。
Readingの模擬授業作り回。

模擬授業作りと言っても、『英語授業デザインマニュアル』をベースに授業を作るための教材研究がメイン。

「文章を味わう」プロセスでは、「本文の初読」「音読(範読ではない)」「モデル音声のリスニング」を通して、
・話を読んだ感想や疑問(もっと知りたいこと)」
・生徒に考えてほしいこと・知ってほしいこと・感じてほしいこと
・「話す」「書く

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自由演技からの脱却

自由演技からの脱却

2023年度も英語科教育法の振り返りを頑張っていく覚悟を決めた。
昨年度の英語科教育法IからIVまでの振り返りはこちらのマガジンにまとめてある。

授業の基本設計今年度の英語科教育法IIIは(既に見知った顔ばかりなので初回ガイダンスは春休み中に動画で済ませて),3回1セットを5セット回す15回の構成。
1セットの内容は「講義」「授業準備」「模擬授業&検討会」となっており,各セットで(4技能)5領域

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Meet the Author!

Meet the Author!

英語科教育法IVの振り返り、第5章と第6章が丸々残っているのだが、ありがたいことに前期より忙しくさせていただいたこともあり、残念ながら全部の回を振り返るのは諦めようと思う…。

というわけで、今回はいきなり最終回の振り返り。
最終回は、Meet the Author!ということで、今期の教科書『外国語学習者エンゲージメント』の原著"Engaging Language Learners in Con

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英語授業と自己表現

英語授業と自己表現

2年生,英語科教育法IIの振り返り。

ディスカッション:英語授業における自己表現トークテーマは「生徒が英語で自己表現をするために,どんなことが必要?」からスタートした。

文法的正しさを求めないこと

目的・場面・状況を示すこと

表現したいという動機を掻き立てること

表現する内容を考える時間をとること

色々な表現の仕方を示すこと

学生から出た意見は概ね上記のような内容だ。

「文法的正し

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「英語学習」と「役割」

「英語学習」と「役割」

英語科教育法IV、『外国語学習者エンゲージメント』の4章後半。

ここでは「ポジティブな教室力学と教室文化」を生み出すための教師の行動を概観した。

今回はグループワークにおける「役割」というものについて改めて考えたい。

行動2に「「私たち(we/us)」という意識を高める」とあり、その方法の一つとして、「集団への正式な関与と貢献」を促すことが挙げられている。
また、行動4は「3つのRを用いた集

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コミュニケーション能力をどう伸ばすか

コミュニケーション能力をどう伸ばすか

英語科教育法IIの第4回。
今回の問いは「どのようなコミュニケーション活動なら力が付くか」
相変わらず大きな問いだ。

実践的なコミュニケーションの力まずある学生は「道案内などの具体的経験をしておくことで、実際の場面で使える」とし、つまり教室外で起こり得るコミュニケーション場面を想定し、それを経験することで実践的なコミュニケーションの力をつけることができると考えた。
より抽象的な視点として別の学生

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「ありきたり」な活動

「ありきたり」な活動

英語科教育法I,第15回(最終回)の振り返り。
第2週から14回に渡ってやってきた模擬授業もこの日で最後。

模擬授業の概要There構文をターゲット文法に指定し,福笑いのゲームを通してThere構文を楽しく使うことを目指した。

5人ずつのグループに分かれ,1人が目隠しをする。
それ以外の4人が英語で指示を出し,目隠しをしている生徒が紙に顔の絵を描いていく。

その過程で「〜に〇〇がある」という

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「やり取り」の「発表」

「やり取り」の「発表」

英語科教育法IIIの振り返り。
遂に最終第15回を迎えたこの日は「話すこと(発表)」の模擬授業回。

授業の概要今回の授業は「発表」に焦点を当てたものではあったが,少なくとも私には思いつかなかった非常にユニークなアイデアが見られた。

生徒はペアになり教室の前方に出て「3分間2人で話し続ける」ことがゴールだ。つまり,2人での「やり取り」を人前で「発表」する。
先生からは「コントみたいな感じで」とい

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分析的理解は全ての学習者を助けるか

分析的理解は全ての学習者を助けるか

英語科教育法Iの振り返り。
模擬授業第13回目。今回の先生役の学生にとっては4回目の挑戦。

模擬授業の概要「英語は予測できる!?」というテーマで中学2年生に対して接頭辞の働きを指導する授業。
左側にいくつかの接頭辞とその意味、右側に語根となる単語が書かれたワークシートの左右を繋げて、意味を考える活動がメイン。

教師のTHINK: 「予測できることは嬉しい」検討会の中で、先生役の学生は「単語の予

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「発表」って何をどう指導するの?

「発表」って何をどう指導するの?

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回は「話すこと(発表)」についての講義回。

発表の目標高等学校学習指導要領の英語コミュニケーションIでは「発表」について以下のような目標が掲げられている。

「日常的な話題」でも「社会的な話題」でも、「論理性」が重視されるのが特徴の一つだ。
尚、英語コミュニケーションIIでは、支援の量が「一定」とされ、「詳しく話して伝える」となる。
英語コミュニケーションIII

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正しさを求めて…

正しさを求めて…

英語科教育法Iの振り返り。第13回。
履修者4名が毎回一人が模擬授業をする。今回で全員が3回の模擬授業をしたことになる。

模擬授業の概要今回の模擬授業は中学1年生を想定し,ジェスチャーゲームを通して英語を使わせる授業。

8人の生徒役が4人ずつの2チームに分かれて,ジェスチャーをする順番をチーム内で決め,ジェスチャーを見て何をしているところかを英語で言い当てる。言い当てる側は自由に相談可能だが,

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二人で話せば「やり取り」か

二人で話せば「やり取り」か

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回は「話すこと(やり取り)」の模擬授業回。

前回の講義回では「コミュニケーション活動」と「言語活動」の違いを、学生に実際に両者を体験してもらいながら整理した。

その中では「言語活動よりコミュニケーション活動の方が、学習者として好きだ」という意見も見られ、どちらが良い/悪いという話ではないというところに一応着地はしたのだが、でもやはりこれから英語の先生になる学生

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「コミュニケーション活動」と「言語活動」

「コミュニケーション活動」と「言語活動」

英語科教育法IIIの授業ログ。
話すこと(やり取り)の講義回。

自分が学習者として教室で日本語話者同士で英語を話すのが嫌いだったこともあって、話すこと(やり取り)の活動は授業者としても苦手分野だ。
授業準備の段階から2-3週間かけていつも以上に勉強したのだが、90分の授業でどこを話してどこを削ぎ落とすかの判断が難しかった。

最終的には、中部地区英語教育学会でも話題になった「コミュニケーション活

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