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外国語教育_at my desk

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外国語教育について考えた・考えてる・考えるために書いた こと
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#学校

現場で使える教育社会学

現場で使える教育社会学

今年度,初めての担任や初めての生徒指導部での経験から,(やはり初めて)生徒の「問題行動」の裏側にある様々な事情を真剣に考える機会を得た。
そして,これまで学校教育の中でも教科教育(特に英語教育)についてばかり考えてきた自分の教師としての「脆さ」を自覚し,教育社会学なる分野をより深く学ぶ必要性を痛感した。

そんな折にタイミングよく出版されたのが,中村・松岡(2021)『現場で使える教育社会学: 教

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『民主主義の育てかた』読書会 #4

『民主主義の育てかた』読書会 #4

毎週火曜夜に行うこちらの本の読書会。

今回も小学校教員・中高一貫校教員・大学院生(修士課程・博士課程・教職大学院)と多様なメンバーで。

今週は第3章 三谷高史「「地域と教育」論—コミュニティ・スクールは誰のために」

(本記事の引用元を表す頁数は,特にことわりのない場合,本章からの引用である。)

コミュニティ・スクールとは私立中高一貫校で働く私はコミュニティ・スクールという概念についてすらよ

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『民主主義の育てかた』読書会#3

『民主主義の育てかた』読書会#3

こちらの本の読書会。「はじめに」から毎週火曜日の夜に1章ずつ進めて今週は第2章,大日方真史「「私事の組織化」論—教師の仕事にとって保護者とは」

前回の第1章に比べると幾分か読みやすい文章で正直助かった。

とは言え,議論は毎度の如く深まり,特に保護者との関わりを日々意識する小中高の現職教員陣はその関わり方について(少なくとも私としては)普段意識しないレベルまで言語化する機会を得た。

また,今週

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『民主主義の育てかた』読書会#1

『民主主義の育てかた』読書会#1

神代健彦(2021)『民主主義の育て方 現代の理論としての戦後教育学』をゆっくり読み進める読書会を始めた。

noteとして公開しながらも,読書会の記録としての機能も兼ね一つの記事の中で考えがコロコロ変わることもあり得る。

また,対話の中で生まれた言葉・アイデアも,個人のセリフではないような形で導入する部分がある。

そんなわけで,実際に行われた読書会を基にしたフィクションとも言える。

また,

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『デジタルで変わる子どもたちー学習・言語能力の現在と未来』 読了。

『デジタルで変わる子どもたちー学習・言語能力の現在と未来』バトラー後藤裕子

週末の保護者会で生徒たちのネット依存問題について少しだけ話をしなければいけないということもあって,何か知見を得られればと急ぎで読破。
途中までは(本来の目的通り)保護者会で話せそうな内容を探しながら読んでいたが,後半,特に第7章「デジタル時代の言語能力」は数年先に英語(国語)教師をしていることが予想される全人類に読まれた

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「失敗してもいいよ」は本当か?学校教育と外国語学習。

勤務校の同僚の先生方と一緒にコーチングについて専門の先生から学んでいます。そんな講座の中である先生の発した疑問がとても刺さりました。

「学校の授業で,生徒が失敗していいと思ってる場面ってあるんでしょうか?」

確かに,ないかもしれない。

というのが今このnoteを書き始めている瞬間の自分の考えです。書いていくうちに変わるかもしれません。

先生は成功してほしがっている学校の先生は生徒に何か挑戦

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ロッド・エリス先生のTBLTに関する講演を聞きました。

中部地区英語教育学会(2021/6/26-7, オンライン)の初日,オーストラリア・パース大学のロッド・エリス教授による50周年記念講演ということでTBLT(タスク・ベースト・ランゲージ・ティーチング)についてのお話を聞きました。TBLTについては自分自身まだあまりちゃんと勉強できていないので,自分用のメモも兼ねてここに簡単にまとめます。

Taskの定義「タスク」とは何か。よく授業で行われる「ア

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『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』—英語教育の圧倒的な罪深さ。

『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』—英語教育の圧倒的な罪深さ。

武田信子先生の『やりすぎ教育 商品化する子どもたち』を読んだ

全体を通して自分のこれまでの教師としての言動・振る舞い・考え方を批判的に問われ続け,教師という職業の中では比較的筆者の言う「エデュケーショナル・マルトリートメント」に理解があると思っていた自分も,よくよく思い返せば「成功」を目指した教育の一端を積極的にになっている部分もあることを否めないことを自覚した。
第3章には乳幼児期の話,第4章

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『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

去年の夏に買ってこの春休みにようやく『学校英語教育のコミュニケーション論』(榎本, 2019)を読んだが,本当に読んでおいて良かった,軽く命を救われたレベルの話。

本の内容をざっくり自分程度にざっくり話せる内容の本ではないけど,学校で行われる英語の授業の中で本当に起きている「コミュニケーション」とはどのようなものなのかを,著者である榎本先生が実際の高校の教室に入り込んでつぶさに観察したもので,英

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