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下駄華緒の弔い人奇譚

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怪談最恐戦2019の怪談最恐位、送り人ミュージシャンの下駄華緒が送る連載企画です。火葬場・葬儀屋の赤裸々事情、日常生活では知り得ない葬礼やご遺体の話、はたまた不思議な体験まで、余… もっと読む
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元火葬場職員が綴る真実…9/5発売『火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側』まえがきを特別公開&トーク・サイン会のご案内ッ!!

元火葬場職員が綴る真実…9/5発売『火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側』まえがきを特別公開&トーク・サイン会のご案内ッ!!

死と向き合い続けてきた一級火葬技士の
壮絶な体験談とあなたへのメッセージ!

あらすじ・内容火葬場――あなたも死後必ず連れていかれる場所。しかし、その実態は謎に包まれている。
 そこで、元火葬場・葬儀屋職員の下駄華緒を水先案内人に、火葬場の隠された真実を明かし、普段見ることのできない火葬場の裏側やダークサイドを白日のもとにさらしていく…

蓋が幾重にも目張りされている棺
 
轢き逃げしたのち無届で

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はじめに ―僕が火葬場・葬儀屋で働いた理由―

はじめに ―僕が火葬場・葬儀屋で働いた理由―

まずはじめに、僕は元火葬場職員として働いたその後、葬儀屋に転身した経緯があります。

こういう話になると必ずと言っていいほど聞かれることがあります。
それは「なんでその仕事をやろうと思ったの?」です。

ある人は言います、そんな仕事してて怖くない?と。またある人は腐乱死体とか見るのキツそう、と言います。
確かに子供のなりたい職業ランキング上位に入ったことなんておそらく無いだろうし、大人からしてもな

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【第1話】死体が動いたっ!? 新人火葬場職員、驚愕の初出勤【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第1話】死体が動いたっ!? 新人火葬場職員、驚愕の初出勤【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第1話――

ぼんやりと葬祭業という場所に飛び込んでみたいと思いを馳せていると、神のいたずらか天の采配か、知人が火葬場職員として働いているという情報を得ました。
早速相談させていただき、晴れて面接を経て初出勤の日がやって来ました。

「当日持ってきてください」と電話越しに言われたのはメモと筆記用具、そして勤務開始にあたっての書類や印鑑などごくごくありきたりなもので、これから働く「火葬場」という

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【第2話】火葬した子どもが枕元に… 夢うつつで交わしたあの世とのしりとり【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第2話】火葬した子どもが枕元に… 夢うつつで交わしたあの世とのしりとり【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第2話――

ある日、火葬場に子供がやってきました。
やってきたと言っても、遺体として、です。
火葬場職員は常になるべく冷静に対応するようにしています。見方によっては冷たい印象を与えてしまうかもしれませんが、職務であるボタン操作ひとつで火葬が出来ていなかった、途中で火が止まっていた、などという重大事故を防ぐ為に、あえて感情移入しないよう努めているのです。

ですが、人間ですから心の中は常に揺れ

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【第3話】人が焼けるとどんなにおい? 火葬場職員しか知り得ない強烈な嗅覚体験談!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第3話】人が焼けるとどんなにおい? 火葬場職員しか知り得ない強烈な嗅覚体験談!【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第3話――

においというのは記憶にとても印象が残るようで、葬祭業から離れた今でも道端で寝ているホームレスの人を横切ったときに「あ、もう亡くなってるかも」と分かるようになりました。遺体のにおいを覚えているからです。

くさい、という言い方は不謹慎かもしれませんが揺るぎない事実ですのであえて申し上げますが、くさいのはなかなか辛いものがあります。

火葬場でよく遭遇するくさい場面は火葬中に起こりま

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【第4話】骨が…増えてるッ!? 火葬場職員が明かす驚きの人骨ばなし【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第4話】骨が…増えてるッ!? 火葬場職員が明かす驚きの人骨ばなし【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第4話――

“のど仏”は火葬場職員になると必ずといって良いほど重要視する骨の一部です。
みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが仏様が座って合掌しているようにみえる事からのど仏と言われています。
喉にある、ゴクリと飲み込むと動くのど仏……の事では実はありません。あれは軟骨で、火葬すると残りません。じゃあ、どこかというと第二頸椎、首の骨の上から二番目の骨になります。それこそが火葬場で見る、の

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【第5話】毎日火葬場にやってくる謎の女性 いったいそこで何をッ!?…【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第5話】毎日火葬場にやってくる謎の女性 いったいそこで何をッ!?…【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第5話――

ほぼ毎日、火葬場にやってくる初老の女性がいました。
その方はいつもジーパン等の軽い服装で髪の毛はボサボサ、大きな眼鏡をかけて年中、日に焼けた肌をしていました。

火葬場にきて何をするのかというと、火葬した後の骨を見に来るんです。何故かはわかりません。が、遺族さんもいる中、まったく関係のない女性がいるのは駄目だろうということでその女性が来るたびに追い返す、というのが日課になっていま

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【第6話】生きたまま焼く? 火葬場の噂、驚愕の真相を元職員が暴く!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第6話】生きたまま焼く? 火葬場の噂、驚愕の真相を元職員が暴く!【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第6話――

今回は、ネット上など様々なところで噂されている都市伝説的な話の『嘘』を暴いていこうと思います。

まず、体の悪い部分が火葬した後に黒く残る、という話。
これは嘘です。火葬場職員自身も信じ切ってしまっている場合もありますが全く根拠のないデマです。
黒い部分は悪いところ説の発端は不明ですが、一つの話として昔、まだ火葬技術が発達しておらず野焼きで火葬していた時代は完全に綺麗に骨だけにな

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【第7話】全身灰まみれ! 結構ハードな火葬場職員の洗濯物事情!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第7話】全身灰まみれ! 結構ハードな火葬場職員の洗濯物事情!【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第7話――

ぼくの母親はお化けや心霊の類いに関しては極度の怖がりで、きっと人骨なんて見た日には「ぎゃー!」っと叫びだすんじゃないかと思うほどです。
火葬場で働くと言ったときも「もぉ…変なの連れてこないでよー?」と応援しつつも複雑な気持ちだったようです。

口でもそう言うものの、実家暮らしをしながら火葬場で働いていた時は「シャツは綺麗にしとかないとみっともないでしょ!」と制服で使っている白いカ

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【第8話】危く失明! 火葬場職員にとって超キケンな遺体とは?【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第8話】危く失明! 火葬場職員にとって超キケンな遺体とは?【下駄華緒の弔い人奇譚】

――第8話――

みなさんペースメーカーはご存知ですか?
「あれでしょ? 心臓のやつですよね?」そうです、アレです。
ペースメーカーの詳しい事は置いておいて、火葬場ではペースメーカーが遺体にあるかないかがとても重要な情報になります。

なぜかというと、ペースメーカーの中にある電池が火によって加熱されると「パァーンッ!!!」と破裂します。ぼくの個人的な感覚では、火葬を始めて15分から30分くらいの間

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【第9話】ネットの噂に要注意! コロナ患者の葬儀についてのウソとホント【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第9話】ネットの噂に要注意! コロナ患者の葬儀についてのウソとホント【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第9話―

昨今のニュースでは新型コロナウイルスの話題で溢れていますが、多くの方々が今回のパンデミックに対して意識が変わった転換期の出来事といえば著名人の感染、そして亡くなったという知らせを聞いた時ではないでしょうか?

しかもご遺族でさえ故人の顔を見ることが出来ずに、最終的には遺骨になって初めて帰ってきた…という。

ですが、ネットを中心に情報が錯綜して何が本当で何が間違いなのか分からなくなっ

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【第10話】遺体の口から出ていたのは… 葬儀屋に降りかかった身の毛もよだつ出来事!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第10話】遺体の口から出ていたのは… 葬儀屋に降りかかった身の毛もよだつ出来事!【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第10話―

葬儀屋さんって「待つ仕事」って言われているんですよ。
何を待つかというと電話なんです。例えばご家庭に伺って「誰か死んでませんかー?」などと葬儀屋さんの方から聞いて回るなんてことはあり得ないわけです。なので、基本的には遺族さんからの電話を待っています。

そして、ある日の昼過ぎです。
会社の電話が鳴ったので受話器をとったところ「すみません…母が亡くなりまして」と中年くらいの男性の方か

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【第11話】「寂しいんじゃないかと…」 引き取り手のいない遺骨をめぐる数奇なお話【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第11話】「寂しいんじゃないかと…」 引き取り手のいない遺骨をめぐる数奇なお話【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第11話―

火葬場には、遺族からの引き取り待ちの遺骨が沢山保管されているところもあります。僕の働いていた火葬場には大体200以上くらいの遺骨が骨壺に納められて安置室に保管されていました。

人には本当に様々な事情があり、お骨あげには来なかったけどその後引き取りに来る人、遺骨を引き取る気のない人、そもそも親族がおらず天涯孤独の人などもいます。

その中で印象的だった事がありました。

大体二ヶ月

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【第12話】強烈にアツい真夏の火葬場! その過酷さを元職員が激白!【下駄華緒の弔い人奇譚】

【第12話】強烈にアツい真夏の火葬場! その過酷さを元職員が激白!【下駄華緒の弔い人奇譚】

―第12話―

最近では昼の太陽の日差しもそろそろ暖かくなってきたかなぁと思います。肌寒かった日々は終わりを告げ、夏に向かっているのを実感します。

が、火葬場の夏は物凄く大変です。
何が大変かというとその「暑さ」です。もしかすると「熱さ」という表現の方が合っているかもしれません。どれくらいかというと、四季に関係なく常に職員の熱中症には気をつけないといけないほどです。しかも必ずと言っていいほど全国

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