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【第5話】毎日火葬場にやってくる謎の女性 いったいそこで何をッ!?…【下駄華緒の弔い人奇譚】


――第5話――

ほぼ毎日、火葬場にやってくる初老の女性がいました。
その方はいつもジーパン等の軽い服装で髪の毛はボサボサ、大きな眼鏡をかけて年中、日に焼けた肌をしていました。

火葬場にきて何をするのかというと、火葬した後の骨を見に来るんです。何故かはわかりません。が、遺族さんもいる中、まったく関係のない女性がいるのは駄目だろうということでその女性が来るたびに追い返す、というのが日課になっていました。


ある日、「今日はまだ来てないなぁ」と職員同士で話していると、突然敷地内から「オラァ!」という怒号が聞こえてきたので慌てて声のする現場に向かいました。
火葬場の敷地内にお葬式が出来るスペースがありまして、そこに向かうとあの女性が男性2人に取り押さえられていました。

聞くと、女性がお葬式前にカジュアルな服装でトコトコやってきて、「ん? 誰かな?」と思いつつも様子を見ていたら、棺を開けて中をヌゥっと覗いてニヤニヤ笑っていたそうです。
そこから、誰だ? という事になり親族一同誰も知らない、完全に赤の他人だ、ということが発覚し、取り押さえられていたのです。

印象的だったのは「すみません、すみません」と取り押さえられながら口では言っていたものの、その表情は何か、とても満足した様にニヤリと笑っていたことです。

著者紹介

下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。

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