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【短編小説】待ち合わせ
“伝説の三人組バンドGVS解散! 年末ライブがラストステージ!!”
スポーツ新聞の見出しにそのニュースが並んだ。スクランブル交差点の巨大スクリーンにおどる文字、しかし立ち止まってそれを見る若者はいない。
ひと昔前、社会現象を引き起こし、一世を風靡した三人組のロックバンド。それがガボールスクリーンことGVSだ。しかしそれもひと昔、いや、ふた昔前のこと。今はもう当時若者だった中高年たちの記憶にし
【短編小説】今日のメニュー
ニャオンと飼い猫のモフが鳴きながら帰ってきた。
雲一つない朝、庭で洗濯物を干していた頼子は、しゃがんでモフを出迎えた。よく見ると、小鳥をくわえている。残念ながらもう手遅れのようだ。
「あら、今日は小さめね。でも自分で食事を捕ってきたんだからエライわ」
モフは頼子の足元で戦利品を器用に前足で挟むと頭から食べ始めた。その様子をぼんやり見てつぶやいた。
「今日のメニューは何にしようかしら?