風のうわさ

誰かがうわさした

彼が死んだと

彼とは私のこと

ああ、確かにそのとおりだ

私は確かにあの日死んだ

誰かに殺された

だけども私は今生きている

ふむ、どういうことか

殺されたのは私の心であって

私自身が死んだわけではない

私は、あの日犯人に殺されて時を止めた

そしてずっと今にいる

今にたたずんでいる

ここは地上の空の上

空っぽな地球の上に立っている

人間は消えた

あの日、私が消した

私を殺した奴らによって消えた

彼らは知らなかった

私を殺すということは世界が終わるということに

奴らが私を殺したことにより、世界から人は消えたのだ

消えた者たちはどこへ行ったのか

もちろん風になり、灰になり、影になり

この世界をさまよってる

もちろん私を殺した奴らも私を殺した途端に灰となった

そこは平等だ

さて、彼は死んだ

そう噂した者は誰か

それは風になった者たちだ

風はおしゃべりだからな

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