おつかい

朝のコンビニから玉子を抱えた少年が出てきた。
8、9才くらいの小学生だろうか。
エコバックを左手に玉子を右手に持って少年はトコトコと歩いている。
日曜の8時前、こんな朝早くに一人少年が玉子を持って歩くのを見て、私は思わず微笑んだ。
きっと親にお使いを頼まれたんだな。
もしかしたら少年が卵料理を食べたくて、自らお使いに来たのかな。
そんな勝手な想像をしながら、少年の姿を追った。
どうやら同じ方向のようだ。
玉子、持ってるエコバックに入れたら良いのに。そう思うも、彼は持って運ぶだけでいっぱいいっぱいなのだろう。
そこまで考えが及ばないほど急いでいるのだろう。
信号を渡っている途中で少年から電話の着信音が鳴り出した。
横断歩道を渡り終えた少年は、全てを地面に置いてキッズケイタイを取り出す。そして咄嗟に玉子をエコバックに入れていた。
グッジョブ!無意識かもしれないけど良いタイミングだ。
電話は母親からのようだ。
さすがに心配になったのだろう。
少年は、ウンウンと返事をしながら歩き出した。
やがてあるマンションに来ると、その入り口に入って行った。
ここが家なのね。初めてのお使いじゃないかもしれないけど、この少年も親もドキドキのお使いだったことだろう。
朝の冒険。少年の挑戦。
朝から気持ちの良いシーンを見せてもらった。少年を見ているとなんだか微笑ましかった。
一生懸命な姿が良かったのだろう。
良いものを見せてもらった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?