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ネムキリスペクト

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ムラサキさん主催の「ネムキリスペクト~眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー」に参加した作品がたまってきたのでひとつにまとめてみました
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23:50 バスルームから愛をこめて

23:50 バスルームから愛をこめて

ラジオ…というと、わたしはこの曲が思い浮かぶんですが・・・・
ちょっと聞いていただきながら、スタートです

今週もはじまりました。日曜23時50分、まもなく月曜日です
眠れないあなたは明日の出勤にうんざりしているのでしょうか、昨夜のケンカが気がかりなのでしょうか、それともまだ恋人と一緒ですか

新しい週の始まり『バスルームから愛をこめて』
今夜もお風呂からお届けします。こんばんは…ひらさわ たゆで

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ムラサキ侍

ムラサキ侍

TOP画:娘のコレクションより

日本農林規格(JAS規格)によると醤油の種類は・・・・
「こいくち」「うすくち」「さいしこみ」「たまり」「しろ」の5種類に分類されるようです

・こいくち(濃口)
日本のしょうゆ消費量の約8割を占めるしょうゆ
つけ、かけ、煮もの料理や合わせしょうゆにも適しています

・うすくち(淡口)
色が淡く、料理の色や味わいを生かす関西料理に欠かせないしょうゆです

・たまり

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LA-LA-LA

LA-LA-LA

夜汽車って、生活の中であまり身近ではないせいか、ちょっとイメージが湧いてこない…

けれど、

外は暗くて景色も見えないのに、車内はむせかえるほど人が充満している

画面とか、逆に

車内も景色も閑散としていて無意味に明るいにもかかわらず、だれも乗る気配がない…もしくは吹雪の中に停車していて発車時間をひたすら待っている

とか、

どちらかというとそんな淋しい印象が強く思い起こされるのです。…が、

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壁にガムテープ

壁にガムテープ

そんな場所がうちにはある

男の子がいる家なら、もしかしたら経験があるかもしれない

男の子だけじゃない

やんちゃなお父さんも然りだ(特に体育会系)

なんなの!?

壁を素手で壊せる自分を知りたかったの?

それとも力強い自分を鼓舞したかったの!?

漫画の世界の話じゃない

穴が開いたら修理しないといけないの、お金がかかるの!

次の週にはキレイにふさがるドラマやアニメと違うのよ

そう言え

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魔術

魔術

あれはいつの記憶か…
幼少期の頼りない情景ながらも、いつまでも脳裏にあるあれは、現実だったのか作りものだったのか。今となっては確認する術もないが、あれがまがい物ではなく真の奇跡なのだとしたら、魔術以外のなにものでもないだろう

それはドキュメンタリー番組だった
どこの国かは知らないが、日本ではない。服装を見る限り、それほど豊かな土地とも思えない雰囲気で、村にひとつしかない医者のような風情で、奇跡は

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あこがれの「常連さん」

あこがれの「常連さん」

こちらを訪れたのはもう1年以上も前・・・・
ついこの間のように思うのは、歳のせい? いやいやいや、初めてのひとり旅だったから、鮮明に覚えているのでしょう。本当は今年の誕生日にもいきたかったの。そうそれはまさに! お決まりの…と「恒例行事」のように、わたしの日常に当たり前のように刻みたかったのだ

そこは・・・・

The Ryokan Tokyo YUGAWARAずっ~っと焦がれてやまなかった場

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セカンド・ヴァージンⅤ

セカンド・ヴァージンⅤ

  ~ 恋 愛 小 説 ~
case1:あゆみ

初恋は甘酸っぱいの?
青くてすっぱすぎて、本当は美味しくないレモンなのかもしれないじゃない
ファーストキスは前歯の接触しか記憶にない…とかね

「夢がねぇな」
そう言った高校時代の彼の初恋は「幼稚園の時、担任の先生」だと言う。
それが夢のある発言なの? そもそも、幼稚園児のちんちんで担任の先生をどうにかしようなんて思ってもいなかったくせに…
それ

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脳内殺人 ~ 生きながらにして ~

脳内殺人 ~ 生きながらにして ~

ひとは誰しも一度は、頭の中でだれかを殺したことがあるのではないか。

わたしが最初に殺意を抱いたのは実の祖母だった。
祖母は子どもが嫌い…もとい、苦手な人だった。本人の中ではうまくこなせていると思っていたのかもしれないが、子どもの扱いがまったくなっていない。子どもが目の前で遊んでいると、その端からおもちゃを片付けて歩くような人だった。
口から出てくることはいつもブラックで、そんな言葉しか覚えてこな

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宵闇横丁 -弐-

宵闇横丁 -弐-

踊リハ楽シ… 祭リハ楽シ…
今宵 宵闇横丁二 市ガ立ツ 神ガ立ツ
踊リハ楽シ… 祭リハ楽シ…
飲メヨ歌エヨ 食ラエヨ舞エヨ
ハァ… 宵ノ酔イノ夜イ

この世とあの世の境があいまいな場所、逢魔が刻の一瞬に、昼と夜とが入れ替わる。昼と夜とは別の顔・・・・。
昼は1日、夜も1日と数えられていた時代のこと。逢魔が刻は思わぬ時、黄昏時の訪問者。黄昏、たそかれ、誰ぞ彼? 
ムラの境のオドリバで化粧を興じて入り

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妄想家族 『ツレがDietしてまして 』

妄想家族 『ツレがDietしてまして 』

非常に気分悪い



いや、いいことなんでしょうよ、中年ですから気を使っても・・・・



でも腹が立つ





春くらいから、なにか気になったんでしょう。すでに手遅れだけど

足の爪が切れないとか、靴下が履けない等々・・・・今さらね

妻は体が柔らかいので、どこがつかえようが全然支障ありませんけど



まずは朝ごはんのおにぎりが減りまして、

夕飯も食べなくなりまして、会社から2時

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雨音はキスの調べ♬

雨音はキスの調べ♬

送ってくれるはずの車は、一歩エントランスを出た途端に後姿を遠ざけていった。こちらの姿を黙認しつつ、無情にも通り過ぎたのだ。
(またやった・・・)
そう、初めてじゃない。小走りに追いかけるわたしの滑稽な姿に、運転席の彼がほくそ笑んでいる顔が目に浮かぶ。もちろんそのまま走り出していくわけでないことも知ってる。困惑するこちらの姿を見て楽しんでいるのだ。

案の定、数キロ先で車のお尻は赤く光って止まった。

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しあわせなキス

しあわせなキス

「ねぇ、生霊ってあると思う?」
「生霊? なにそれ」

「夢を見るのよ。いやな夢」
「夢?」
「そう。…不快なキスをされる夢」
「キス?」
「そう、口を覆われるような、いや~なやつ」
「あぁ、それはやだわ」
「起きてから拭いたくなる」

「それがさ、元カレのキスに似てるんだ」
「え~未練?」
「まさか。だから嫌なんだってば」
「なるほど」

「毎日ではないけど、うたたねしてるとね。くるの、それが」

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・・・・のような、恋

・・・・のような、恋

私はよく、大きな仕事をやり遂げたあとや、大型連休の初日など、とにかくたっぷりと眠りたい時に温泉施設を利用していた。

そこは、通勤途中の駅裏に土蔵造りの大きな建物が背を向けて建っていて、いつもなんの建物なのか気になっていた場所。造り酒屋にしては場所的に違和感があるし、居酒屋では大きすぎる。いつか正面玄関に立ってみたいと思っていた建物のひとつだった。

店主の心配りだろうか、土蔵の周りにはわずかばか

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世界一のストーカー

世界一のストーカー

引っ越しをして、慣れない土地に住むようになってから妙な癖がついた。
子どもたちが玄関を出たあと、窓越しに後姿を確認し、姿が見えなくなってもつい耳を澄ませてしまうのだ。なにも聞こえてこないと安堵する。こんな時の取り越し苦労は大いに歓迎だ。

母親のこうした取り越し苦労は、子どもが生まれた瞬間から始まった。
「守りたい…!」ただその一心だ。この世で唯一自慢の宝物、神様がくれた大事な大事な輝く命。ふたり

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