マガジンのカバー画像

母になっての私の話

31
母親になってから感じたこと
運営しているクリエイター

記事一覧

私が無痛分娩を選んだ理由

私が無痛分娩を選んだ理由

6/10 多分人生最後の出産をした。
私はこの出産を、麻酔を使用して出産時の痛みを軽減する「無痛分娩」にしようと最初から決めており、結果望み通りの出産になった。

先進国では多く取り入れられている麻酔を使用しての無痛分娩という出産方法は、日本では全出産の6%程度と言われている。
それ故、名前は知っているが実際どうなんだ?と疑問に思う人も多いだろう。
無痛分娩と言っても、病院によって取っている形式は

もっとみる
君の書く、7色の手紙

君の書く、7色の手紙

4歳の息子は今年の6月から保育園に通っている。
顔見知りのいない園にいきなり放り込まれた彼の重圧は計り知れないが、幸い、元々人懐っこい彼に友達ができるには、それほど時間を要さなかった。

ただ、一人っ子な上に、それまで男の子の友達しかいなかったので、クラスの女の子と今ひとつ馴染めていないようで、出てくる名前も、男の子の名前ばかりだ。

まあ、それは仕方ないかもしれない。
教室に入っていきなり、「エ

もっとみる
満月の夜は、"一千億人分の一"の孤独と奇跡をかみしめて

満月の夜は、"一千億人分の一"の孤独と奇跡をかみしめて

例えば、今朝読んだ新聞を思い出してみる。

それは、記者が「過去から現在に至る人類の総数」について読者から質問をされたが、答えがわからず頭を悩ませた結果、著名な本から引用した、という内容だった。

〈時のあけぼの以来、およそ一千億の人間が地球上に足跡を印した〉とある。数字の当否は見当もつかない。

勿論前後には色々書いてあったのだが、最近特にポンコツになった頭で明確に思い出せるのはこの一文くらい。

もっとみる

諦めの先には、寂しさがある

窓を開けると、涼しい風が私を包む。
それは、昨日まで当たり前のようにあった夏の暑さなど微塵も無い、「秋」の風だった。

暦通りきちんと秋を告げたこの風は、”寂しさ”に似ている。
もっと厳密にいえば、”諦めた後の寂しさ”に、私は似ている気がする。

子どものころから、私は怠惰な性格で、何かを一生懸命やる前に、自分で「これ以上はできない」と投げ出すことが多かった。
要領が良いというよりは、冷めていた。

もっとみる
いつか、「やり直したい」と思う日が来る

いつか、「やり直したい」と思う日が来る

最近、息子を怒るときにハッとすることが多い。

今まで、息子を怒るとき、とにかく息子の動きを止めることを重視していた。
なので、「コラ!」「だめでしょ!!」「やめなさい!!!」
と言った、短いフレーズを肺に溜めた酸素と共に一気に吐き出す。

というのも、活発に動き始めた幼児というのは、とにかく「命の危険」にまっしぐらに走っていく。
そして、親の言葉に耳を貸さない。

お前majiで馬耳東風
命の危

もっとみる
子どもへの「性教育」のすゝめ

子どもへの「性教育」のすゝめ

昨日、こちらのnoteをアップしたところ、オススメをして頂いたりと、反響が大きかったです。

オススメしてくれたのがどちらも男性というのも、感慨深かった。

当時、同じ性別の「大人」にさえ理解されなかったのに、違う「性別」から理解されるという経験は、noteで書かなければ得られなかったもので、
「ああ。書いてよかった」と心の底から思えました。
この場を借りて御礼申し上げます。

さて、昨今、子育て

もっとみる
いつか、あなたの助けになればいい

いつか、あなたの助けになればいい

「むすこちゃん。そこはね、むすこちゃんの大事なところだから、他の人に見せちゃいけないし、触らせてもダメなのよ」

膝をかがめ、目線を合わせ、わざとらしくしかめっつらをして。
しかし怒ってない、とアピールするために高めで穏やかな声色。
そうしてゆっくりと、4歳の息子に話しかける。

それは、息子がパンツからちょっと飛び出たソレを、更に引き出そうとつまみ上げ、かつ「まま、みてみて!」と嬉しそうに声をか

もっとみる

木くん

6月も末だっただろうか。
息子が公園で枝を拾った。

何の変哲もないその枝を、何故か彼は大事に抱えて家に連れて帰った。

「公園で拾ったの、お家に入れて欲しくないなぁ。ばっちいから」と眉をひそめる母に対し、4歳の息子は、まずその枝をお風呂で丁寧に洗うことから始めた。

タオルで丁寧に拭かれたソレに、息子は麦茶をコップに入れて、
「のど乾いたね。はい、どーじょ」と飲ませる真似をし、レゴで作った家に招

もっとみる

いつだって、夢は甘く現実は苦いもの

「たぴおかみるくてぃーがのみたい」

唐突に息子が言ったのは、三月も半ばも過ぎようという頃。

暖かい日も続き、桜も綻びそうなこの時期。
春の陽気に誘われて、お散歩がてらショッピングセンターに行き、『ちょっとお腹すいたからここでお昼食べよ』などと話しながら、フードコートの片隅にて腰を落ち着けた時だった。

その言葉に、思わず目の前にいた夫と顔を見合わせる。

タピオカミルクティーと

もっとみる
あなたの中をのぞきたい

あなたの中をのぞきたい

ひな姉が始めたマガジンがとても素敵で、思わずnoteを書いてしまった。

(まさに垂涎もののマガジン)

他の人が何持ってるかって、なかなか聞きにくい。

だって、開けたら、そこには「その人自身」が入ってる。

かわいい、カッコいい、おしゃれ、シンプル。
そんなバッグにまるっと自分を包んで外にお出かけするのだ。

何を得て、何を捨ててきているのか。
端的に現れているのが、その中身。

もっとみる
ムスコのために走る夜

ムスコのために走る夜

その時、私は夕飯の支度をしていた。
その間、息子はしまじろうのDVDを見ていた。

それはいつもの日常だった。
何の変わりもない、いつも通りの時間。

「ままー」

DVDに夢中なようで、呼ばれるのはいつものこと。
なので調理の手は止めずに、「はいはーい」と返事をする。

大抵はそれだけで満足する。
姿が見えないことへの不安がふと心を掠めるせいかな、と思い、それがどこか嬉しく思

もっとみる
キミはバリウムを飲んだことはあるか

キミはバリウムを飲んだことはあるか

バリウムを先日、初めて飲んだ。
バリウムとはあれである。
30代以上になると、健康診断に追加される、あれ(詳細は知らない)

なんだかんだ、のらりくらりとかわしていたが、今回ばかりは逃れられなかった。

ところで、バリウムというと悪いイメージしか聞かない。

「まずい」とか、「つらい」とか。

折角飲むのだから、ポジティブな情報はないものか。
そんな訳で、直近で飲んだ事がある夫に聞いてみた

もっとみる
令和に生き残った銭湯に行ったら、昭和も平成も逆戻りした

令和に生き残った銭湯に行ったら、昭和も平成も逆戻りした

去年の年末のことだ。
突然、お湯が出なくなった。

何言ってるんだコイツ。なんてお思いでしょう?
私も何が起こってるか分からず、夫に至ってはその事態にガチギレ。

色々検証した結果、我が家の給湯器は天に召されたことが判明した。

繰り返すが、年末のことだ。
どこも事業所やってない。

幸いにも実家に帰る2日前だったので、予定を大幅に伸ばしての滞在を申請し、急場を凌ぐ事にしたのだが、問

もっとみる
失敗デートと息子と贈るばーすでーそんぐ

失敗デートと息子と贈るばーすでーそんぐ

夫は私たちが世界で一番好きだ。
私たち、というのは息子と私のことである。
常々「君ら2人がこの世からいなくなったら、俺はもう生きていけない」と言い、息子の一挙手一投足に目尻を下げる。

そんな彼は、10月11日が誕生日だ。

妻である私は、日頃の感謝を込めて、息子を保育園に預けてランチに行こうと誘ってみた。
要は、おデートのお誘いだ。

気恥ずかしい思いを隠しながら、「10月11日、仕事休

もっとみる