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キミはバリウムを飲んだことはあるか

バリウムを先日、初めて飲んだ。
バリウムとはあれである。
30代以上になると、健康診断に追加される、あれ(詳細は知らない)

なんだかんだ、のらりくらりとかわしていたが、今回ばかりは逃れられなかった。

ところで、バリウムというと悪いイメージしか聞かない。

「まずい」とか、「つらい」とか。

折角飲むのだから、ポジティブな情報はないものか。
そんな訳で、直近で飲んだ事がある夫に聞いてみた。


Q 「バリウムを飲んだ率直な感想を聞かせてください」

A「別にたいしたことないよ」

ほうほう。意外とポジティブな答えだ。
この調子でガンガン質問して行こう。

Q「どんなことをするんですか?」

A「胃を膨らませる炭酸を飲んで…あ。これが俺は結構好き」

夫は炭酸好きだ。世紀のまずさとして名を馳せたピーチ味のコーラですら絶賛してた。参考にならん。

A「バリウム飲まされて…あ。これも結構美味しい」

味覚はそれぞれだからね。

A「貼り付けにされて」 



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A「グルグル回される」 




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処刑じゃん 



みんなが耐えれるなら大丈夫(多分)

世の30代以上はみんな、そんな中世の処刑みたいなのを受けてるのか。
道ゆくあのサラリーマンも、あそこでランチしている妙齢のOLさんも。

出産以上の衝撃体験はないと思っていたのだけれど、世の中知らない事がまだ沢山あるもんだ…

でもさ。
そんな多くの人が体験できてるってことは、耐えられない事は無いんじゃないか。

この年まで人並みにいろんな経験をしていたつもりだ。
なら、大丈夫なんじゃないか。

(なんか、イケそうな気がしてきた)

元来、私は楽観的だ。
つらい事はあまり考えないようにできている。
なので、何回かキャンセルする機会があったものの、そのままにしておいた。

なので当日も、
「バリウム初めてですよね?かなり辛いですよ」 と何回も確認されても

「大丈夫です!辛いのはむしろ好きです」

などと、よく分からないことを口にしていた。

***


「しゅんたろさん、おはいりくださーい」

そう呼ばれた先はバリウムルーム。
どうしてわかるかって、もう残った検査項目はバリウムのみだからだ。

緊張を隠しつつ中に入ると、磔にされるっぽいのはどこにも見当たらない。
あるのは縦置きになった、つるっとした台だけだ。

おやおや。これはどういうことだ。
何の拘束も無しに私はグルグル回されるのか。 

  私の腕力も随分過信されたものだ。

「これ飲んで、すぐにお水飲んでください」
「はーい」

渡されたサラサラした粒状のものを口に含み、すぐに水を飲む。

「ぐ!ごふ!!!」

炭酸!! コーラよりきつい炭酸!!!

「あ。げっぷしたらダメですよー」

飲み込もうにも、こいつ逆流しようと頑張ってきやがる。
頑張って飲み込んでもまだ外に出ようとする、ガッツが半端ない。

無理じゃない? ゲップ我慢するの、無理じゃない?

「はい、じゃあバリウムゆっくり飲んでください」

おお…このとろっとした白い液体が、バリウムかー。噂のバリウムかー。

ごくん。

あれ。意外と美味しい。美味しいんだけど……

(量、多いな)

口から出ようとする炭酸
量の多いバリウム
それらを胃に収めて、グルグル回されるのか…(絶望)




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これでお終い…ではない

「はい、お疲れ様でした」
「はい…」

検査は確かにグルグル回った。
ただし自分で。

口から出ようとする炭酸をひたすら抑え込みつつゴロンゴロン寝返り打ち続ける。
それだけで、格段辛いことは………

いや、つれーわ。 

バリウムを出すための薬(下剤)を多めにもらい、これでおしまい。

なーんて、できたら楽なんだけど…




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「ままー、おかえりー!」

そう。お家に帰れば3歳の我が子が待っている。
バリウムつれーわー、なんて家でごろごろできない。

「ままー、あそびいこ」

ええええ。ママは先ほど下剤を大量に飲んだばかりなんですが。

「ねーねー、いこうよー」
「児童館なら…」
「こーえん」
「児童館」
「こーえん」
「………………」

何も知らぬ無垢な瞳とぶつかる。
心情的には、もう家でゴロゴロしたい。そしていつでも駆け込めるトイレのそばにいたい。

けれど、午前中家で夫と過ごしていた息子は、もう外で遊びたい欲がうずうずしている。
極め付けに、「自転車で行こう!」と、
いそいそとクリスマスに買ったばかりの子供用自転車にまたがる息子。

そうだよね…乗りたいよね…

「わかった。いこう。
でも、一つだけ言っておくことがある」

大事な話をするとき、私は息子の目を見て、ゆっくりと言い聞かせる。
なので、この時も私はしゃがみこみ、息子に語りかけた。

「ママは、遊んでいる途中でどこかに全力で走るかもしれない。その時、ママはあなたの言うことは聞いてあげれない。


そして、その後は何も聞かずにそっとしておいてほしい」




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