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いつも私を追い立てる彼
彼は寒くなる時期になるといつのまにかやってきて、無言のままいつも私を容赦なく追い立てた。私があわてふためく様を見ても、なんとも思っていないようだった。
彼がいる限り、心の休まる暇はない。
早くいなくなってほしいと思うのに、最後の一日だけはわずかな情がふるえて、ほんのすこしだけ彼との別れを寂しいと思ってしまう。
これが今生の別れというわけでもない。
どうせまた次の来訪で、心の余裕を少しずつ削り取ら
面と向かって「つまんね。」と言われた高校時代のこと
「つまんね。」
一瞬、目の前の女の子に何を言われたか分からなかった。
高校1年の、あれはいつ頃だったか。
クラスメイトのサミちゃんはそういって私の話を遮った。
中学校の卒業に合わせて熊本から引っ越し、千葉の高校へ入った私はその時素直に思った。
ーそうか、都会では面白い話じゃなければ聞いてもらえないのか、と。
八千代市は都会ではないし、都会だったとしてもそんなことはないのだが、九州から友達が一
Eテレお母さんあるあるを過ぎた片思い風に綴る
いつから彼を知っていたのかと改めて聞かれると思い出せない。
何しろ10年近く昔のことで、気付いたら日常の中にその「青」はふと入りこんでいた。
笑っていない目と個性的な風貌にあっているような、あっていないようなのんびりと間延びした声は、日々バタバタと暮らしていた私にとって何をしていても耳に入るものだった。
あの頃。一定の距離を保ったまま、疲れきった私は家の中から長いこと彼を眺め暮らしてきた。
彼
映画「LAMB/ラム」
#映画感想文
(見た人向け、ネタバレありますご注意ください)
アイスランドの辺境で、その生き物はアダと名付けられた。
羊飼いの夫婦が亡くした小さな娘から譲り受けたその名前は、漢字をあてると「徒」になると気付いたのは、映画を見終わってからのことだった。
山岳信仰とでもいうのだろうか。
日本の山には人間が立ち入ってはいけない場所があって、山でしか使わない忌み言葉があるそうだ。
山のこちら側が俗世だ
ミニマリストになりたかった
(2018年末の日記より抜粋)
結婚してから約10年。
ずっと不要なものを手放したくて、いろんなものを捨ててきた。
拍車がかかったのは、3・11のあと。
計画停電で、炊飯器を使うのをやめて、鍋でごはん炊けばいいじゃん、と思って、ついでに古いコーヒーメーカーも捨てた。
比較的大きなものを一気に二つも手放して、気持ちがよかった。
そう、ものを捨てることは、私にとってこの上もない快楽だった
一説に