夕波

小説の欠片のようなもの、思い出の断片、伝えそびれた何か、日々の泡沫。そんなことを綴ってゆきます。
  • 連載小説(になる予定)おむすびころりんのお爺さん、のかわりに女の子がベーグルサンドを落としたらこんな感じになるはず、と思
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スッテンテレツク!(4)

仁良(じろう)町の古墳は、N市郊外のなだらかな丘陵の上にあった。 斜面を利用してツツジや紫陽花が植えられて、古墳というよりのんびり散歩したり近くの小学校の遠足コ…

スッテンテレツク!(3)

校外学習当日。 この日たたらは朝五時起きでベーグルを焼いた。 多めにこねて、生地の段階で冷凍すればいいかと思ってかなりの量を作ったが実際に必要なのは朝食二人分とた…

スッテンテレツク!(2)

週に一度の会合に参加し、週末はスーパーのレジ打ちにいそしみ、高校へいく他は家にいる。 たたらの青春はこの繰り返しだった。 与那抜たたらに友達はいない。そんな高望…

スッテンテレツク!(1)

こぽこぽと、あぶくが水面へのぼっていくように、今日も老人たちの濁った呼吸の音がする。 古くて埃っぽい管から出てくるいやなにおいのする音は、不快のかたまりを削り出…

前世症候群

病院は住宅街のなかにひっそりと建っているふるいレンガ造りで、びっしりと蔦におおわれていた。 古めかしい看板がなければ、画廊か純喫茶だと思って入る人がいるかもしれ…

ひとねむりと海の神様

空では行き場を失ったクジラがひと啼き、ゆるりと尾びれをひとひねりして やがて焼けゆく西の雲間へと消えていった。 本当はいまごろ陸(おか)で暮らしているはずが、なぜ…