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#病院
はじまりのはなし…孤独感③
「小さな小さな…光の粒…私はまるで蛍の呼吸のようにゆっくりと弱々しく、なんとも頼りなく瞬いていました。
周りは見渡す限り真っ暗闇で…何一つ無い物静かな場所でした。そんな空間では、私と言う一粒なんて、いつふとした瞬間に闇と同化して消えてしまっても、決して不思議ではありませんでした」
よくもまぁ…ここまですらすらと言葉が出て来るなぁと毎回関心してしまう。
彼女がはじまりの話を語る時は、決まってベッド
はじまりのはなし…光の粒②
病院に到着したなり、看護婦さんが酷い形相で駆け寄って来た。
「今は落ち着いたんですけど…彼女さん…先程まで一時間くらいずっと泣きっぱなしだったんです。お電話しようかと、婦長にも相談したんですが…午前中は様子を見ようって言われて…私は前の事もあったので、すぐにでもって思ったんですが……でも、安心して下さい。…今は落ち着いてますから…」
眠気と疲れで朦朧としていた意識から、無理矢理叩き起こされる様な
はじまりのはなし…プロローグ①
「忘れていました。ずっとずっとずっと…
忘れた事さえも、忘れてしまっていたのです。
余りにも昔の事で…これが本当の事なのかさえ、私にも疑わしいのです。
あなたに伝えたところで、あなたはきっと信じないでしょう。
あなたはきっと笑って…明日には忘れてしまうのでしょう…
大人になってから聞くおとぎ話ほど、詰まらないものはないでしょうね。
どうして子どもの頃はあんなに心が弾んだのか…私にも思い出せま