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『盆栽への道』叔父さんの教えと新たな一歩

問われる盆栽を育てる覚悟

ボクは盆栽の事を知りたくて、叔父さんに電話をしてみた。

叔父さんは、前回盆栽を辞めた理由を聞いた時と同じように、盆栽ではなく野菜を育てる方が面白いぞ!という理由を饒舌(じょうぜつ)に話してくれた。

しかし、ボクが盆栽に興味がある事を再認識すると、前回と違って盆栽を育てる事の難しさを話してくれた。

叔父さんいわく『盆栽を育てるという事は、赤ちゃんを育てるのとほぼ一緒』だという。

なぜなら、赤ちゃんに毎日食事をあげるように、盆栽にも毎日適正な量の水を、四季別であげなくてはいけない。
栄養が足りてなかったら、補充してあげないといけないし、病気や害虫などからも盆栽を守らなければ行けない。

盆栽も赤ちゃんも、常に健康状態を気にかけていないといけなく、究極は盆栽に水やり出来る人がいなければ長期の旅行にも行けないと言われた。

つまり叔父さんは、ちょっとした趣味や興味で盆栽に手を出すのであれば、続けられないだろうからやめておけ!と言ってくているのだと悟った。

しかし一方で、ちゃんと育てる覚悟があって、ちゃんと育てられるならとても面白い世界だし、続ければ続けるほど深い世界だぞ!とも話してくれているように感じた。

自分にあった盆栽教室探し。

叔父さんからの言葉を受けて、盆栽を育てる覚悟が自分にあるのか、自分で自分を確かめたくて盆栽教室をインターネットで探してみた。

すると多くはないがいくつかヒットした為、その中でも気になった盆栽教室を2つ体験入学してみた。

2つ教室を体験してみようと思った理由は、全く毛色が違う教室を2つ体験して比較したいと思ったからだ。

まず、1つは百貨店内に店舗を構え、色々な所で教室を行なっている『今の時代にあったやり方』をしている教室だ。

具体的には、ホームページも充実していてわかりやすかった。
自身のPRの仕方も上手で、実際にホームページ内の予約フォームから体験教室の予約を行うと、オペレーターの方から電話があり、当日の体験内容の説明と、別途自宅に盆栽の冊子まで届く手厚いサポートだった。

一方で、もう1つの盆栽教室は老舗感が凄く、ホームページは、20年くらい更新してないのかな?と思える感じで、俳優の阿部寛さんのホームページを彷彿とさせる感じであった。

体験教室の予約も電話のみで、実際に電話すると、誰かの自宅に電話をしてみた感覚をもった。

異なる2つの教室体験さらには体験教室はやっておらず、やるなら即教室入学という事で、今回は見学だけをさせて頂く事になった。

盆栽教室を実際に体験。

まず最初に体験しに行ったのが、百貨店に店舗を構え、サービスが充実している盆栽教室だ。

教室は20代後半くらいの若い女性講師が、教えてくれるというスタイルで、女性講師は、小学校の頃から盆栽が好きで大人になっても続けていて今に至るという生粋の盆栽女子だそうだ。

体験教室では、『そもそも盆栽とはなんぞや?』という説明から始まり、教室側が既に用意してくれた体験用の盆栽、この日は楓(カエデ)を使って授業が行われた。
内容は、土の入れ替えと葉を選定して切るという内容であった。
その後は、盆栽教室に入会するなら・・・という感じでプランの説明がメインとなった。

次に行ってみたのが、老舗の盆栽教室だ。
ホームページに記載のある住所に行ってみると完全に自宅であった。
ただ、普通の民家では勿論無く、敷地内に大きな庭があり、庭では無数の盆栽が育てられていた。
鉢の数で言うと、1,000程あるように感じた。

家のピンポンを押すと物静かそうな方が現れて、『見学の方ですね。あっどうも。』と言う具合だ。
作業場に通されて待っていると、次々と盆栽教室の生徒さんが現れた。

みんな自分の盆栽を教室に持ってきていて、着席するなり、わからない事を先ほどボクに声をかけてくれた物静かそうな人に貪欲に聞いていた。
みんな先生を信頼している様子であった。

体験と見学をして辿り着いた答え。

2つの盆栽教室の体験と見学をした結果、ボクは後に行った老舗の盆栽教室にお世話になる事を決めた。

理由は、教室に通っている皆さんがとにかく楽しそうに盆栽を育てている事、そして先生の盆栽に対する考えが素敵だなと感じた事が決めてになった。

『なぜ体験教室をしていないのか?』と老舗の盆栽教室の先生に問うとこんな答えが返ってきた。

『体験教室の2時間で盆栽が理解できるとは思わない。盆栽とはそんな簡単なものでは無い。体験教室だけで終わってしまった場合、知識不足から多くの人が後に盆栽を枯らしてしまう。それは誰にとっても良くない。』と言っていた事が印象的だった。

他にも、先生が盆栽を育てる事について、自分なりの解釈を大事にされているのも素敵だと感じた。

見学中、盆栽の説明を受けているときに先生が『盆栽は、音楽の作曲に似ていて、どんな曲調で、どんな盛り上がりを作りだすのか考えるのが面白いですよ。音楽はお好きですか?』と言っていたのが印象的で、『盆栽に対する素敵な解釈だな』と思ったのが決め手となった。

つづく。

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