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バキラが首都にやってくる
「おーい少尉、しょーうい! デートに来たぞう!」
時速500km超で飛行する機動艦の尻に突き刺さった大型砲弾、それを内側から突き破ったのは筋骨凄まじい巨女であった。
銃撃で応えた三人の兵士を、数秒かけてそれぞれ蹴り、頭突き、こぶしの一撃で昏倒させると、顔面装甲にめり込んだ銃弾を指でほじくり返しながら鉄扉を前蹴りでこじ開ける。続く通路は機動艦の先端に向けて作られている。
「ガロフ少尉、あの女は
Loki 'n' Roll
寿司はいろいろと食べ歩いた。
小樽、築地、金沢、アナハイム、ニューヨーク。どれも忘れ難い思い出だ。
しかし地元ニューポートの寿司屋、松原ほどの店はこの地球上に存在しない。特にメキシコ風の揚げ寿司は絶品だ。考えた奴はモールスやベルよりクリエイティブであり、特許を取るべき発明である。他方日本ではアロエ寿司に特許があるようだが、革新に疎く伝統を重んじる国ならではの保守的な特許である。
さておき
聖女、血の魔法、勇者。
『……市内の中学校に通うKさんは全身の血液が抜かれた状態で発見され……』
「随分老けたね」
「は?」
悪口でしかないそのセリフが自分宛てだと理解したのは、少女が泣きそうな笑顔で俺に抱きついて来たからだった。俺は妙なニュースを表示していたスマホを取り落としそうになって慌てる。
「ユキ……! ユキアキ……! やっと……!」
「だ、誰!? 俺は雪秋だけど……誰!?」
「12年も……かかったけど…
75年ぶりの挑戦者《チャレンジャー》
エドモンド・ハンクマンは時間通りにやってこないスクールバスが大嫌いだった。
待ち合わせに遅れるガールフレンドが大嫌いだった。
指定日に届けないネット通販はアカウントを削除した。
規則的なものが好きだった。
水飲み鳥の動きを何時間も眺めていられた。
仕組みを知ろうと父親の時計を分解したこともある。
やがて彼は、求めるものが空にあることを知る。
太陽、月、そして無数の星々。
天文
もしもプラズマキャノンがあったなら
もしもプラズマキャノンがあったなら、なんだって壊せるだろう。
もしもプラズマキャノンがあったなら、世界はどんなに色づいて見えるだろう。
ある雨上がりの日、田舎道を軽トラで走っていると、道端にプラズマキャノンが落ちていた。
プラズマキャノンと言っても、然程大げさなものでもない。惑星航行艦の迎撃火器や、新式戦車に使う、変哲も無い単装式収束プラズマキャノンである。
だからと言って、田舎道に転がって
マキコの黒いサンドボックス
企画班リードの棚橋が戦線離脱して3日目。だから会議もこんな調子だ。「ですからァ、Yボタンなんです」
「ロックオンはR3で決まりだ」
プログラム班・日向寺はまだ冷静。さすが堅物。
「バインド変えるだけっしょ? 何そんな渋ってンすか」
棚橋の相棒だった彼は、たぶん潰れるだろう。
仕方のないことだ。
「これが通ったらしまいにゃコアコードに手がでかねん。時期を考えろ。デバッグへの伝達も面倒だ」
「