らせん
テレビ版エヴァの考察とか与太話とか。
新感覚オスモウパンク小説「オスモー・イン・ザ・スカイ」の連載マガジンです。
「知ってる? 旧校舎裏で幽霊が出るらしいよ」 休み時間、前の席の彼女はアタシにそう言った。 「……ふーん」 「タカミちゃん、こういうの好きでしょ。ただ、条件があって……二段ジャンプすると出るらしいよ」 思わず、ズッコケそうになる。 「つまり、校内に二段ジャンプできる怪人がいるってこと?」 「よく考えるとそっちのが怖いかも……」 いかにも彼女らしい雑な話だったが、不思議と悪い気はしなかった。興味もないくせに、アタシに話を合わせるために、いちいちこういうネタを仕入
『第千三百六回 大バイオテクノロジー盆栽展』 と大きく筆書きされた会場の門を潜ると、その先にはいつもの光景が広がっていた。 巨大化したザクロ、動き回るツタの触手、頭から松の生えた六つ子、空を飛ぶイチョウの鉢植え。これらすべてが「盆栽」だ。俺もこのコンテストに参加して長いが、年々カオスになっている気がする。 盆栽という趣味がある。鉢植えを剪定し、矯正し弄くり回して盆の中に自然を表現するという、実に気の長い遊びだ。植物に対する虐待ではないかとも思うのだが、どうやら風流な
ご無沙汰しております。碌星らせんです。 好評いただいた、エヴァンゲリオン読み解き与太話note『いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン』完結からだいぶ経ちましたが、このたび新劇場版に着手することとなりました。 たぶん、受かっていたら、2024の冬コミに出します。 まぁ、「なんで今さら」という反応が目に見えるようですが、これには事情がありまして……端的に言えば「シン・仮面ライダーのBDが発売されるから」です。 『シン・仮面ライダー』Blu-ray & DVD 202
『トラペジウム』という映画を見た。面白かった。ただ、なかなか判断が分かれる映画だったように思う。ちなみに、原作小説は読んでいない。 (余裕があったら後で読みます……) そして、見終わった後で考えたことがある。 果たしてこれはアイドルものなのか? 青春ものなのか? その答えは、Yesであり、Noでもあると思う。 作品を言いあらわすなら、上の記事の通り、「アイドルを目指して志半ばで大失敗する映画」という表現が正に適切だ。 だが、アイドルものとして見れば最後に待つのは失敗であ
世間の流れは早いもので。 かつては板状だったデバイスが、バイオロボティクス技術の発達で触手状になるまで、さほどの時間はかからなかった。 幾つもの複合センサとスマート軟材料アクチュエータ、AGI。様々な技術が融合したそれを、皆が三本目の手や尻尾のように使った。伸縮・硬軟自在の棒は単に道具としても便利だったし、一見生物のように見えなくもないそれを、ペットのように扱う者も居た。 今や街中で見る人間の3割くらいは「尻尾」を生やしている。 だが、技術というものにはいつも光と影がある。
もしもプラズマキャノンがあったなら、なんだって壊せるだろう。 もしもプラズマキャノンがあったなら、世界はどんなに色づいて見えるだろう。 ある雨上がりの日、田舎道を軽トラで走っていると、道端にプラズマキャノンが落ちていた。 プラズマキャノンと言っても、然程大げさなものでもない。惑星航行艦の迎撃火器や、新式戦車に使う、変哲も無い単装式収束プラズマキャノンである。 だからと言って、田舎道に転がっていてよいものではない。不法投棄だろうか? キャパシターを確認し、スイッチを入れる
月日が経つのは早いもの。劇場公開の後、なんとAmazonプライムで配信が始まったシン・エヴァンゲリオン。新劇について色々語りたいのは山々なんですが、それは別の機会。 あと、結構前の話となってしまいましたが、当連載がnote公式に紹介されました。これも読者の皆様の応援の賜物です。ありがとうございます。 そんなわけで、「シン・エヴァ公開までの情報で新世紀版エヴァを読み解く」というのが本連載のコンセプトだったわけですが。シン・エヴァンゲリオンを踏まえて、重大な解釈修正が一つ
登場人物紹介 ・水戸黄門 越後のエチレン問屋の隠居を名乗る老人。 正体は日本を漫遊し世直しを行うEDO幕府の高官であるとされる。 その証として電子印籠に基づき幕府A.O.Iの権限を一時的に借り受けることができる。 ・助さん、角さん 黄門のガードマン役。元々は生身の人間であるが、エチゴヤ・インダストリアル製重サイバネティクス 適合者Skelton-Ⅲモデル、Diffusionモデルである。物語の途中で合体機構が実装される。 助さん、角さんの記憶は電子化されており、
いまのところ、(株)カラーからもKAD〇KAWAからもお叱りを受けずに済んでいる『いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン』。ご好評を頂いているようですが、思わぬ副作用が。 時節柄、地上波で新劇をやってたせいもあり、本連載を手掛かりに新劇場版を解釈しようとする試みがちらほら。 未完結作品に手を出すのはどうなのさ、と悩んだものの、このままでは逆に混乱を引き起こしてしまう。ということで、急遽新劇場版編をちょっとだけ。 というか、前提として(当たり前のことですが)、『新世紀エ
新劇場版、再延期だそうです。残念であり、仕方ないという納得もあり。しかし個人的に一番大きいのは、はやく「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」させてくれ……! という思い。 25年前(!)のアニメをこねくり回し、ここまで来てしまった皆さん。本連載はとりあえず今回で最終回となります。 本編の前に、ちょっと話が逸れますが量産機とロンギヌスの槍について。結局のところ、コイツら何? というお話。 ①量産機について ゼーレ、元々は野望のためオリジナルのアダムを利用しようとしてい
今回でテレビ版は最後です。タイトルの元ネタは短編SFの名手、ハーラン・エリスンの『世界の中心で愛を叫んだけもの』。 旧ガイナックス系作品のお約束、SF作品タイトルですが。作品内容とはあまり関係ない……と、見せかけて。同タイトル収録の短編集の前書きに、こんな文章があります。この短編集も機会があれば是非読んでほしい。 「他者はあなたにこう教えるために存在する。すなわち、夜が近づきつつあるとき、われわれはすべて地球という異邦の惑星に住む異星人であるということ。キリストも、人間
劇場版最終話前に、エヴァンゲリオンのテレビ最終話について。ご存知の方はご存知の、「おめでとう」というアレです。 よく投げっぱなしとか言われますが、ぶっちゃけると製作スケジュールの都合の様子。なので、実は精神世界描写に全振りしたテレビ版でも、随所に劇場版のエッセンスが見られます。 つまり、「劇場版を見ないと位置づけがよくわからないシーン」が出てくるという……。なので、本連載では劇場版の流れをわかった上でテレビ版に挑む、という構成になりました。 シンエヴァが早いか、連載完
劇場版最終回。本連載にここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。まだもうちょっと続くんですが。 冒頭の監督挨拶。「5人の女性」についてですが、メインキャスト陣という解釈がされることは多いものの、「キャスト」は別枠で上がっているため疑問。素直に、個人的な謝辞と捉えるのが良いのではないかと。 といわけで、ゲンドウのターン。 ゲンドウの野望は「ユイとの再会」な訳ですが、ユイは初号機と融合して戻ってこない。そればかりか、神に近い不滅の存在となってしまった。 そこで
前回も言いましたが、エヴァンゲリオンの劇場版25/26話、劇場仕様ということでかなり過激な表現が各所に使われています。掘り下げると必然的にエグい話もすることになるので、その辺ご注意を。 それ以外は、もはや多くは語りません。それではエヴァンゲリオン劇場版『Air』、行ってみましょう。 冒頭。常夏の廃墟で立ち尽くすシンジくん。もはや会いに行くべき人は誰も居らず、学校もない今、することはない。カヲルくんは自分で手にかけてしまい、ミサトさんは怖いし、今やレイも怖い(主にリツコ
エヴァの与太話とかブッシャリオンとか、書きたいもの溜まってますが、ちょっと気になったので忘備録的な真面目な記事。 ・発端のツイート 気付いたらRT数がエラいことになっていた。 ・なんで石油の埋蔵量と太陽光パネル比べてるのさ 至極尤もな疑問です。石油は資源の一カテゴリ、太陽光パネルは一設備。どういう比較なのさ。ということですが、理由は単純で、そもそも 伊藤ヒロ先生のこのツイートに対する反応だったので、こんなことになりました。 先生は『魔法少女禁止法』やアダルトゲーム
さて、まず最初にエヴァンゲリオンの劇場版というものにについて。 エヴァンゲリオンの製作スケジュールがなんとなくヤバいことは、ネットフリックスのテレビ放送版を見ていてすら伝わってくるわけですが。遂に25話、26話で限界突破。視聴者を混乱の渦中へと叩き落とすこととなりました。 時に1996年。25話、26話を本来のカタチにリメイクし、同時に新作劇場版を公開することが決定。しかし、そこから更に製作スケジュールが遅延した結果、総集編と新規25話をくっつけたものが『シト新生』とし