見出し画像

『生きざま』という教え

父親は『建築士』でした。

18歳までの実家暮らしの中で
父親の仕事を把握していたわけでもなく
特段興味を持っていたわけでもなく

祖父は建築会社を経営していましたが
どちらかというと
当時の祖父のイメージは
『大工』色が強く
経営者というよりも
「職人」としての存在に
価値を求めていたように思います。

そのため父親の仕事も
ただ漠然と

『家を建てる仕事』

と感じていたように思います。

僕が小学校低学年のとき
父親は住んでいた戸建ての家を
マンションに建て替えました。

家族が居住することはもちろん
家賃収入を得るための
投資のようなものでしょうか。

そしてそのマンションは
1階部分をすべて
会社の事務所としていました。

デスクが並べられ
建築図面図を作るドラフターを置き
応接ソファなんかもあったかな。

今でもよく見るような
「会社」のカタチが
自宅マンションの1階に
出来上がっていました。

子どもゴコロに
「なんかよくわからんけど」
という前提がありながらも
『カッコいいこと』
仕事にしているのではなかろうかと
父親の仕事に興味を持ち始めたように
記憶しています。

事務所として
目に見える状態になり
ドラフターに向かって
仕事をしている姿を見て
はじめて
父親が『建築士』であることを認識し
「大工」とは随分違う仕事であることを
理解していきました。

父親が仕事をしている姿というものは
なかなかお目に掛かることは少なく
『昼間のパパは~♬』みたいなことは
歌にされないと
わからない現実があります。

父親が「働いている姿」に
幼い頃から
身近に触れることが出来たことで
「働く」ということが
どういうことかを
学ぶことが出来たように思います。

ただ『建築士』には
まったく興味を持てませんでした。(笑)

家賃収入と事務所と家族の居住の場を
全部兼ね備えたマンション経営に
踏み切ったことは
なかなか「やり手」だなぁと思っています。
30代でそれやってんだもんなぁ。

しかもそれから5年も経たずに
別の場所に
もうひとつマンションを建て
僕たちは引っ越すことになりました。
そのマンションにも
少し小さめの事務所を作り
両方で仕事をしてました。

僕が実家を出てから数年後
たくさんの問題から
祖父の会社は行き先を見失い
「倒産」してしまいます。

父親は
自慢のふたつのマンションを
失いました。

そのあたりの過程は
僕は近くにいなかったために
知ることはなかったのですが
随分大変なことが続いていたようです。

もし
早いウチに祖父から父親に
「代替わり」をしていれば
まだ存続していた説もあります。

後付けになってしまいますが
この点も僕が『終活』にこだわって
仕事をしているひとつの理由です。

祖父の『将来設計のハナシ』を
一緒に創ってくれる人が
誰もいなかった。

建築会社を経営していて
家は設計し建築することは出来たけれど
『人生の設計』は
完全に失敗
していました。

人生が壊れてしまいそうな問題を
たくさん経ていきながらも
父親は建築会社に「就職」しました。

そこでは、本人曰く
「設計」と「営業」との
二足のわらじを履いていたようで
忙しくも充実していたようです。

楽しそうに働いていました。

またこれは後から聞いた話なのですが
父親は、芸術大学でデザインを学び
それを建築設計に取り入れ
家を建てたい家族のライフスタイルに合った
オシャレな家をデザインしていました。

そして
地域のフリーペーパーに
建築した家が
「機能性に優れた思いやりのある家」として
掲載されるようにまでなりました。

『建築士』というより『デザイナー』と
呼ばれたかったかもしれないですね。

最後の仕事は
病気のため
会社を退職してから
病気療養中の病院で
以前手掛けたお客様からの
『再度の依頼』だったそうです。

凄くないですか?

詳しいやり取りは
あまりよく知らないのですが

もうそのお客様は

父親の『ファン』であり

会社の看板など関係なく
『家』という人生最大の投資物を
「父親個人」に託している。

しかも
たまたま遭遇した病院という場所で。

最後の最期まで
建築家・デザイナーとしての
人生を全うすることが出来た
と思うと
感慨深いものがあり嬉しく思ってます。

ファンという熱を帯びた賛同者は
作ろうとして出来るものではないと思います。

父親を見ている限り
心掛けてやっていたことは
【信頼】を得ること。
【誠心誠意】行動すること。
【相手の話を聴くヒアリング】を大切にすること。

色々思い出しながら
また
父親に感謝することになりました。

直接言えないからとりあえず・・・
乾杯!!


【️終活アドバイザーつよし】
《商品ラインナップ&料金一覧》です。
お申し込みをお待ちしております。


この記事が参加している募集

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,489件

充実した活動のために サポートいただければ大変喜びます! けどそれよりも、もし参考になりましたら Twitter等での拡散いただきたいです。 宜しくお願い致します!!