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2021年12月の記事一覧

「ポテトチップス」③

「ポテトチップス」③

「ちょっとあんた、こんな時間にどこに行くのよ?もう暗くなるのに」
ソファーに腰掛けた母ちゃんが煎餅を食べながら言った。暗くなるといってもまだ夕方の4時だ。小学生でもあるまいし、もう高校生なんだから子ども扱いするのは勘弁して欲しい。

「ちょっと友達ん家に行ってくるから」
めんどくさいから母ちゃんには嘘をついて家を出た。俺の足はさっきナツキと別れた公園に向かっていた。ナツキがもう公園にいないことはわ

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「ポテトチップス」②

「ポテトチップス」②

私、どこをどう歩いて帰ってきたんだろう…

気がつくと家のドアの前に立って、インターホンに記されたアルファベットを見つめていた。

誰にも会いたくないな…ふぅ~っ、と深くため息をつき、ドアノブに手を掛けようとしたときガチャッとドアが開いた。

「あっ」
思わず伸ばした手を引っ込めた。

「あら、ナツキ早かったのね。部活は?」

「な~んだ、お姉ちゃん、来てたんだ。部活は…なんか調子悪いからサボっち

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「ポテトチップス」①

「ポテトチップス」①

「ユウヤ、一緒に帰ろう!」

えっ…俺と?一瞬自分の耳を疑った。

1ヶ月くらい前の席替えで、ナツキは俺の前の席になった。俺とナツキはその日のうちにLINEを交換した。正直、女子とLINEできる日が来るとは思っていなかった。それは俺にとって今年一番の奇跡だ。ナツキとLINEでやりとりしたのはたったの三回だけど、俺はそれをスクショして大切に保存している。

普段ほとんど誰とも口をきかない俺に話しかけ

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生きていればそれでよし!

生きていればそれでよし!

「自分はいったい何やってるんだろう…」
と自己嫌悪になることってありますよね。

「よし○○を頑張るぞ!」と思ったけど、思っただけで何もやらないで何日もやり過ごしたり、そもそも何のヤル気自体が全然出なかったり…などなどなど。

そんな時、真面目な性格な人ほど「私は毎日何やってんだろー」と自分で自分を責めたり自己否定するものです。私にだってたまにあります。

でも、
「生きていればそれでいいじゃない

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38歳の自分へ

38歳の自分へ

1年間、おつかれさまでした。

いろいろあったけど、
あなたが頑張ってくれたおかげで、
今日の自分があります。

そのことに感謝したいです。

特に、note をはじめてくれたこと、
やめずに続けてくれていたことは、
今の私にとって、
かなり大きな財産です。

普段、あなたのことが
あまり好きじゃないと
言っていますが、
照れもあります。

本当はそんなに嫌いでは
ないのかもしれません。

周りの

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私の存在証明その9   もちつもたれつ

私の存在証明その9 もちつもたれつ

今回は、さくっと本題に入ろうと思います。

私は、仕事探しと並行して、得意を仕事にするアプリサイト「ココナラ」に登録しています。出品はまだです。
「クロスステッチのキット作り代行」や「クロスステッチの図案(色指定もしてある)から作品を刺していく」、
あとライター修行として、「広報紙に載せるコラムやブックレビュー代行」や「依頼者だけに書くエッセイ・短編小説執筆」もやろうかなと思っているのですが…。

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いつでも、ゼロからスタートっ!!

いつでも、ゼロからスタートっ!!

いつでも、ゼロからスタート。

そういう気持ち、気概で、
やってくぞ!!
って、だけな話です。

本当は、現段階では、
私もまだまだ、難しいです。

ですが。ですぞ!!

この、noteも。
記事の内容も。
自分のキャラとかでも。

あるいは、仕事でも。

出し惜しみは、しない。
したくない。

惜しげもなく、与える。
与えたい。

自分がオリジナルのつもりだから。

今後も、さらに、今以上のモノ

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漢字のお話!「忍」編!

漢字のお話!「忍」編!

皆さん、こんにちは。らむらむ爺でございます。
本日は「忍」という漢字についてお話ししたいと思います。

「忍」
という漢字には「我慢する」「こらえる」といった意味がありますよね。人生、時に我慢することも大事ですよね。

ちなみに「忍」という漢字は、
「刃」に「心」と書きますね。

刀の刃は叩けば叩くほど強くなります。
心も、そんな刀の刃のように、耐え忍ぶほど強くなる。または刀の刃のように強い心で何

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曖昧な夜に絵描きが思うこと

曖昧な夜に絵描きが思うこと


曖昧なヨル

曖昧なヨルに

曖昧なへやに居ると

曖昧が押し寄せてくる

昼間の喧噪と秩序の左脳を閉じ

曖昧に右脳だけが目醒める

ことばの意味もわからない

ただそこには

かたちといろがある

指と筆の境界線

筆とキャンバスの境界線

溶けていく

混ざっていく

柔らかく凍ったおとが聴こえる

からだ中の骨が共鳴する

やがてからだが溶けていく

残ったひとみだけが

空と化したかた

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地元の話がしたい

地元の話がしたい

月1で市の広報物が届きます。

気になる話題ではないことが多いので、
大体、読まずに捨ててしまうのですが、
今月号はちょっとばかり、
気になる内容です。

「地下鉄・地下鉄街誕生から50年」
だそうです。

私の住む札幌に、
地下鉄ができたのは、
1972年のことでした。

アジア初の冬季オリンピックが、
札幌で開催されるのに、
合わせて地下鉄が開業したそうです。

記事によると、
60年代の札幌

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龍(りゅう)の涙探し(全2回 その2)

龍(りゅう)の涙探し(全2回 その2)

朝日が海にキラキラと光っている時だったよ。ぼうやの龍は今の常滑市の大谷の海岸にたどり着いたんだ。陸地とは広い広いところだったよ。遠くに小高い丘が見えたんだ。高砂山のことだよ。ぼうやの龍はねあの高い山に登ればお空の父さんに会えるって思ったんだね。涙も見つかるって思ったんだね。

そこでぼうやの龍は能面を顔に着けて砂浜へと上がって行ったんだ。すると、すぐにね、能面を着けた顔はカッカと熱くなってきて、し

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龍(りゅう)の涙探し(全2回 その1)

今日はね、愛知県の常滑市の熊野神社に伝わるお話だよ。

ポンと昔の昔。ずっと大昔のことだよ。伊勢の海にお母さん龍とこどもの龍が仲良く住んでいたよ。お月様がとってもキレイな夜のことだったよ。

「父さんはどこにいるの?」
「ぼうやのお父さんはね、この海で300年も生きて立派な龍神様になってお空に昇って行かれたのよ。神様になられたのよ」
「僕に会ってからお空へ行けばよかったのにね。僕、父さんに会ってみ

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