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年間50冊読む為の読書記録

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年間50冊読みたい。 主にInstagramへの記録がメイン 〜〜~~ 2020年:73冊 2021年:27冊 2022年:現在39冊(8/18時点) 2023年:24冊 202…
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記事一覧

旅が栖だったあの頃とこれから。

旅が栖だったあの頃とこれから。

 2020年、私たちの旅は完全に足を止めた。世界を飛び回っていた人達が突然家から出ることができなくなった。一度足を止めて自分と向き合い、やりたいことを見つめなおす良い機会ではあったとは思う。ただ、当分の間は旅を生業とし、旅と共に生きていこうと決めていたから、こんなにもあっけなく自分が描いていた理想が崩れるなんて思いもしなかった。目標が実現してから1年足らずというの春の夜の夢のごとき時間だった。平和

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特別なことはなくても「西加奈子 おまじない」

特別なことはなくても「西加奈子 おまじない」

おまじない
西加奈子

「特別なことはなくても、日常のあり得ることを代弁してくれるからこそ共感できる言葉の数々」

・感想
初版が発行されてから3年もたっているのかと驚きました。文庫が好きですが、読みたい作家さんの作品はできるだけ早く読むようにしようと思います。いつか出版された本の帯を書いてみたい!と思いつつ、その大抵はキャリアのある実力者が書くものであって、さてどこで実力を身に着けようと思うこの

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必ずしも希望の夜明けにならないとしても「夜が明ける 西加奈子」

必ずしも希望の夜明けにならないとしても「夜が明ける 西加奈子」

夜が明ける
西加奈子

読んでいる途中、人間の生物としての生々しさが文章からぞわぞわと伝わってくる。フィクションと忘れるほどの内容はだんだんと気持ち悪さを覚え、読み終わった後はアカデミー賞の洋画を観た喪失感を味わった。それはハッピーエンドで終わることのない終わりの見えない不幸と、不安を苦しみを一人で抱え続ける人間の強さと弱さが入り混じり、生への叫びが込められている作品だったからだ。

迷えば迷うほど心ときめく「わたしのマトカ 片桐はいり」

迷えば迷うほど心ときめく「わたしのマトカ 片桐はいり」

わたしのマトカ
片桐はいり

あけましておめでとうございます。(おそい)

2022年初投稿。

月に2冊読めるようにしたいです。年間30冊読めたらいいなあ。

文章に、旅行記に決まりが無いなと思ったエッセイ。巧妙なテクニックがあるというより、とにかく人の温度が文面から出ている作品。やっぱり世界を旅できる仕事につきたい。面倒で複雑で煩わしく思う人間がいとおとしいと感じる旅に出たいものだ。


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その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。「炎上する君 西加奈子」

その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。「炎上する君 西加奈子」

炎上する君
西加奈子

とりあえず読み終えた、先に年内に投稿しておこう。

2021年残り4分駆け込みで読了した作品。もっとしっかり読みたかったが致し方無し、やり切った満足感を味わいたかったので、、

フィクション、特にある風船の落下は架空話が強いと感じたけれど、人間生活の煩わしさとそこからの解放は誰しもが考えた事があるから、妙に納得した。自分がある種の悩みを抱えていても、その程度の事で悩んでいる

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わからないところがまた魅力「もぎりよ今夜もありがとう 片桐はいり」

わからないところがまた魅力「もぎりよ今夜もありがとう 片桐はいり」

もぎりよ今夜もありがとう
片桐はいり

友人から片桐はいりのエッセイを勧められたのが今年の頭。グアテマラの弟を読んでからだいぶ放置してしまった、、ごめんネ。(グアテマラの弟が1番面白いと聞いたはずなので許してくれるはず)

映画のもぎり、今ではなくなった職業?変わってしまったその魅力と片桐さんの生い立ち、映画お芝居との向き合い方が少しわかったような気がします。ものすごい技術的に凄いというより、好き

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生は虚無の中に沈む「ダンス・ダンス・ダンス 下 村上春樹」

生は虚無の中に沈む「ダンス・ダンス・ダンス 下 村上春樹」

ダンス・ダンス・ダンス 下
村上春樹

主人公の僕は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。相変わらずフラットな考えを持つ人間がいない村上ワールド。フラットではないと自覚しながらその歪みを受け入れて、なおかつフラットであるかのように過ごす登場人物が魅力的。側から見れば「変人、奇人」の簡単な一言で済まされてしまうのかもしれないけれども。人は死ぬしお金は無くなるし愛する人は変わる。全員が幸せになれない

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意味なんてもともとないんだ「ダンス・ダンス・ダンス 上 村上春樹」

意味なんてもともとないんだ「ダンス・ダンス・ダンス 上 村上春樹」

ダンス・ダンス・ダンス
村上春樹

 札幌の街から主人公である僕の物語が始まる。ホテルを舞台に物語が展開されてやがて東京へ。東京では警察、学生時代の同級生、娼婦といった奇妙な人間との出会いの中で、僕の物語が進む。

 久しぶりの村上春樹。羊をめぐる冒険に続く物語だけど、それを知らずに購入した。内容を知らずとも村上ワールドに入ればそんなものは関係なかった。やはり今作もなぜかモテる僕はすぐに女と関係を

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「出会いなおし」森絵都〜読書記録〜

「出会いなおし」森絵都〜読書記録〜

 森絵都さんは「ラン」という作品から読み始めた。どんな人でも森さんの作品の中では登場人物の心情が分かりやすく、文章も平らな訳ではないのに読みやい印象。
「読書したいけど何読んだらいいか分からない」の質問を聞くとこの作家を答えたい。(言い切れないのは読書しない人にとって知らない場合が多く、宮部みゆき、伊坂幸太郎などの作品を答えた方が実際に読んでもらえる機会が多かったから。ぜひ2.3冊目でオススメした

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不幸なことに不幸なことがなかった「ひとり暮らし 谷川俊太郎」

不幸なことに不幸なことがなかった「ひとり暮らし 谷川俊太郎」

ひとり暮らし 
谷川俊太郎

〇感想
読み始める前に思ったのは過去の偉人の作品に手をつけようとした。高校生の頃の合唱曲にもなっているほどの人だったから。Google検索してみるとTwitterアカウントが存在した。現存されている偉人の方だった。既存の事でも時間が経つに連れて凄みが分かってくることがある。それは目の前にある時には気づかず、遠くから見る事で、ぼんやりしていた輪郭や大きさがわかってくるよ

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進んで行く事を知っているだけ「蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 芥川龍之介」

進んで行く事を知っているだけ「蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 芥川龍之介」

 蜘蛛の糸を読んだ事がなかったのでもったいないと思い読み始めた。通勤中に読んだ事と純文学であることから理解度が足りてないような気もする。今後は猫の手も借りたいという表現に加えて、「蜘蛛の糸にも縋りたい」という文学的言い回しを使っていきたい。

 結局1ヶ月半かけて読み終えた。芥川賞というワードは耳馴染んでいるものの、その作品にしっかり触れた事はなかったかも。子ども向けの芥川作品を集めましたと書いて

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