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「出会いなおし」森絵都〜読書記録〜


 森絵都さんは「ラン」という作品から読み始めた。どんな人でも森さんの作品の中では登場人物の心情が分かりやすく、文章も平らな訳ではないのに読みやい印象。
「読書したいけど何読んだらいいか分からない」の質問を聞くとこの作家を答えたい。(言い切れないのは読書しない人にとって知らない場合が多く、宮部みゆき、伊坂幸太郎などの作品を答えた方が実際に読んでもらえる機会が多かったから。ぜひ2.3冊目でオススメしたい。)

 久しぶりにブックオフで見かけたので読み始める。出会い・別れ・再会を描いた短編集。出会いと別れについて描かれている作品は少なくないけれど、再会に焦点を当てた作品は珍しいように思えた。

 「青空」は、車内での回想が主な作品だったけど、昔話を読んでいるような語り口、実際の時間と回想時間が噛み合ってないことからお伽話のような感覚でした。

 「カブとセロリの塩昆布サラダ」、「むすびめ」は特に好きだった作品で、恐ろしく日常的、事件性の無い日常(揉め事が起こっているので事件か。笑)が魅力的に見えた。

 人と会うことで毎回違う部分が見えるし、時には別人と会っている気分になる。私も毎回別の一面を見せているのだろうし、Aさんと会う時、Bさんと会う時では別の部分を見せているのだろう。どの面が出ていたとしても全て私だし、新しい私に出会う度に新鮮な気持ちになる。

・なんだか良かったと思えた言葉
同語の反復がどうやら気に入ったようだ。笑

〜ママ〜
・ママは全くママのままだった
・あなたはあなたから解放される

〜青空〜
・どうしようもなく壊れてしまったもの、失ったものはもう二度と取り戻せないけれど、日々の間から光を探して生きていくことはできるかもしれない。

・時として時は時を超越する

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