生は虚無の中に沈む「ダンス・ダンス・ダンス 下 村上春樹」
ダンス・ダンス・ダンス 下
村上春樹
主人公の僕は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。相変わらずフラットな考えを持つ人間がいない村上ワールド。フラットではないと自覚しながらその歪みを受け入れて、なおかつフラットであるかのように過ごす登場人物が魅力的。側から見れば「変人、奇人」の簡単な一言で済まされてしまうのかもしれないけれども。人は死ぬしお金は無くなるし愛する人は変わる。全員が幸せになれない世界でもこの世界にとどまろうとする事に強い意志があった。
自宅にいながら別の世界へ行くことができる、作者の深く、暗いところまで入っていくことができる、小説は読者と作者の会話なのだと思うことがある。
今年の読書は25冊で終了(同時に2冊読んでいるけど、、、)働きながら、環境を変えながら何かを続けることは難しいと実感。与えられた時間は変わらないので、読み切る書き切るみたいな意志の強さとその継続を来年の目標にする。
○
現実が少しずつ後退していくような気がする
僕は1人の平面的パックマンとしてあてもなくただぱくぱくと点線を食べ続ける
1人で暮らす人間は知らず知らずいろんな能力を身につけるようになる。そうしないことには生き残っていけないのだ。
それはいささかオーバーだぜ
そして死人は非常に、完全に、死んでいた。
渦だろうが竜巻だろうが砂だろうが嵐だろうが自分が選んだからにはなんとかそれでやっていくしかないのだ
僕はため息をついた。そして首を振った。首を振ってどうなるというものでもないのだけれど。
→どうしようもない時に首を振るという動作をすると、誰が決めた所作なのだろう。
生は虚無の中に沈み、骨は記憶のように固く、僕の前にあった。
我々が生きることの意味がいったい何処にある?
でもいいよ、別に。それはもうどうでもいいんだ。
〜〜
エレベーターからエレベーターへと乗り移ってやっていこう。それは不可能なことじゃ無いんだ。
落ち着けよ、と僕は思った。急いだって、それほど立派な場所に行けるわけでもないだろう?
誰かが僕の為に涙を流していた。僕が泣けないもののために誰かが涙を流しているのだ。
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