【読書感想】としょかんライオン【絵本】
✔️まず、あなたが、図書館の図書館員や利用者だったら、図書館を利用しようとしているライオンにどう対応しますか?と問いかけられる。
見た目が恐かったり、前評判が悪かったりして、それで、暴れそうとか、大きな声を出しそうとか、他人に危害を加えそうとか。そんな理由で、最初から排除するのは間違ってる。
間違ってるって頭ではご理解していても、変なイメージがつきすぎた、なんだか得体の知れない恐いものに対して、普通に接するってなかなかできないと思う。わたしもそうだ。
✔️つぎに、図書館では「走らない」「大声を出さない」という絶対的ルールがあるが、時と場合によっては、ルールをやぶっていいかどうかが問われる。
ルールやマニュアルはほんとうは凄く大切だと思う。わたしは個人的に、悪い意味で使われる「マニュアル人間」や良い意味で使われる「臨機応変」って言葉が嫌いだ。
マニュアルを遵守して日夜働いている人たちがいるからこそ、原子力発電所などの高度で危険を伴う施設は、一般市民に電力という生活必需品を供給しつづけてくれているし、逆に、マニュアルを無視して独断でショートカットして、重大な事故に繋がった例もあるからだ。
ルール破りって、判断が難しいと思う。だけど、このライオンは、人の命を救うためにルール破りを犯す。それは、自分は嫌われてもいい。大好きな図書館という居場所が永遠に失われてもいいっていう覚悟の上だったと思う。それは、自分の存在を初めて認めてくれた図書館長のために。
✔️最後に、百獣の王ライオンは、恐がられていることは百も承知で、だからこそ、図書館利用を許されたことに感謝し、あるいは、恐れつづけている人たちの信頼を得るために、館長の仕事を手伝いつづけていたと思う。
でも、みんなから恐れられているものが受け入れてもらえた方だって、ほんとうは恐いのだ。
いつまた排除されるかもわからないのだから。だって、生まれつき異質なものは、どうしたって目立っちゃうし、ちょっとしたことで、すぐに嫌われものに戻っちゃうから。
言うまでもなく、この絵本に出てくる
図書館
→公共の場所
→みんなが当たり前に過ごす場所
ライオン
→あなたが恐い(怖い)と思っているもの
→あなたが偏見をもっているもの
に、それぞれ置き換えて読むことができる。
だからって、この絵本は道徳的すぎたり、小難しい内容なんて一つもない。柔らかいタッチの絵を見ながら、子どもから大人まで楽しくサラッと読めちゃって、それでいて、読後には、心の中にジワジワと明るい光が残るのだ。
この絵本は、年末年始に田舎に帰省したときに母に薦められました。最後まで読んでくださって、ありがとうございます。スキをクリックしてくださると嬉しいです。